住宅ローン減税 今の税制が
適用されている控除率は維持

来年度の税制改正に向けて自民・公明両党は、26日から本格的な議論を始めます。賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」の強化や、「住宅ローン減税」の控除率の引き下げなどを検討し、来月中旬までに与党の税制改正大綱を決定することにしています。

来年度の税制改正に向けて自民・公明両党は、26日、それぞれ税制調査会の総会を開き、本格的な議論を始めることにしています。

この中では岸田政権が目指す「成長と分配の好循環」の一環として、賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」の強化が最大のテーマで、従業員一人一人の給与の引き上げにつながる適用要件の見直しや税額控除率の引き上げなどが焦点となる見通しです。

また、ことしの年末に適用期限を迎える「住宅ローン減税」を延長するにあたって、ローン残高の1%としている控除率の引き下げや、控除対象となる借り入れ限度額の扱いなどについて、検討を進めることにしています。

住宅ローン減税 今、適用されている控除率は維持

住宅ローン減税では、年末時点のローン残高の1%を10年間、所得税から控除していますが、この制度は、ことしの年末に期限を迎えるため政府・与党は延長を前提に制度の見直しを検討する方針です。

制度では、低金利の環境が長期化する中、1%を下回る金利で住宅ローンを組んだ場合、支払い利息よりも多くの控除が受けられるため不必要なローンの利用につながっているとの指摘も出ています。

具体的に見てみます。

仮に年末時点のローン残高が4000万円の場合、控除率が1%の今の制度では年間に40万円の税額控除を受けられます。

しかし、年率0.4%の金利で住宅ローンを組んでいれば、支払い利息は年間16万円となるため、実際に払った利息を24万円上回る控除を受けられることになります。

このため、自民党の宮沢税制調査会長は「住宅ローン減税は、税によって利益を得る『益税』が出るという問題点があり、たださなければいけない」と強調していて、税制調査会では、年末時点のローン残高の1%としている控除率の引き下げについて議論することにしています。

また、控除の対象の借り入れ限度額も消費税率の引き上げに伴って現在は一般住宅で、4000万円まで拡充されていますが、この限度額の扱いなども検討される見通しです。

このほか、断熱性能を高めるなど、環境に配慮した一定の水準を満たした住宅の場合、借り入れ限度額を最大1000万円上乗せする措置がとられていますが、こうした優遇措置についても議論されます。

一方、税制改正で控除率が引き下げられたとしても、今の税制が適用されている人の控除率は維持されます。

子育て世帯など省エネ住宅取得で最大100万円補助へ

子育て世帯などが省エネ性能の高い新築住宅を取得しやすくするための新たな支援制度について、国土交通省は、1戸当たりの補助額を最大100万円とする方針を固めました。性能の高さに応じて補助額に差をつける仕組みで、若い世代を支えながら、住宅分野の脱炭素も加速させたい考えです。

政府は、決定した経済対策に、18歳未満の子を持つ世帯や、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯が、省エネ性能の高い新築住宅を取得した場合、一定額を補助する新たな支援制度を盛り込みました。

この制度について、担当する国土交通省は、1戸当たりの補助額を最大100万円とする方針を固めました。性能の高さに応じて補助額に差をつける仕組みで、最も大きい補助額は、断熱性を強化し、太陽光発電などで電力の使用量を抑えた住宅が対象になります。

これに次ぐ省エネ性能の「長期優良住宅」などは1戸当たり80万円、国の省エネ基準に適合する住宅は1戸当たり60万円を補助するということです。

また、自宅をリフォームし、省エネ性能を高めた場合も、子育て世帯などは1戸当たり45万円を上限に、それ以外の世帯も1戸当たり30万円を上限に補助するとしています。

国土交通省は、必要な経費として今年度の補正予算案に540億円余りを計上する方針で、若い世代を支えながら、住宅分野の脱炭素も加速させたい考えです。