国家備蓄の石油放出を検討
日米韓で協調も 政府

原油価格が高騰する中、政府はアメリカの要請を受けて国内にある石油の国家備蓄の余剰分を市場に放出する方向で検討を進めていることが分かりました。日米、それに同じくアメリカから要請を受けている韓国と、3か国で協調して供給量を一時的に増やすことも検討しており、原油価格の上昇を一定程度抑えるねらいがあるものと見られます。

原油価格の上昇は世界各国でガソリンやさまざまな石油製品の価格上昇につながり、車での移動が中心のアメリカでは消費者への悪影響が広がっています。

また、日本でもコロナ禍からの景気回復の妨げになるとして懸念が高まっています。

こうした中、関係者によりますと政府はアメリカの要請を受けて、国内にある石油の国家備蓄の余剰分を市場に放出する方向で検討を進めていることが分かりました。

日本は国が石油を備蓄しており、ことし9月末時点で145日分を国内で保管しています。

石油の放出は法律でガソリンなどの供給不足や地震など災害時に限定されており、価格上昇の対応策としての放出は想定していません。

一方、国内の石油需要は年々減少しており、政府としては余剰分であれば法律の枠組みの中で放出が可能だとして検討を進めています。

放出は日米、それに同じくアメリカから要請を受けている韓国と、3か国で協調して供給量を一時的に増やすことも検討しています。

放出できる量は限られるものの、政府としては協調姿勢を示すことで原油価格の上昇を一定程度抑えるねらいがあるものと見られます。

岸田首相「しっかり検討して結論を出す」

岸田総理大臣は、視察先の松山市で記者団に対し「日米、あるいは関係国との協調を前提としながら、法的に何ができるか、いま検討を進めているという状況にある。ぜひ、各国の状況、あるいはわが国として何ができるか、しっかり検討したうえで、結論を出していきたい」と述べました。