子どもの感染急増 学校での
対策徹底呼びかけへ 政府

新型コロナウイルスに感染する子どもが急増する中、政府は多くの地域で夏休み明けとなる来月以降にはさらに感染が広がるおそれがあるとして、発熱などの症状のある児童・生徒の登校を見合わせるなど、感染対策を徹底するよう改めて呼びかける方針です。

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスに感染した子どもの数は、今週17日までの1週間で、
10歳未満が7441人、
10代が1万4734人と、
増加していて対策が急務となっています。

政府は多くの地域で夏休み明けとなる来月以降になれば、学校現場や部活動などを通じて、さらに感染が広がるおそれがあるとして、改めて感染への警戒を呼びかけることにしています。

具体的には、発熱などの症状がある場合には児童・生徒の登校や教職員の出勤を見合わせるとともに、健康観察も徹底するよう求める方針です。

また、緊急事態宣言の対象地域にある高校では集団感染の事例も相次いでいることから、時差登校や分散登校、オンラインによる授業などを積極的に活用するほか、抗原検査キットの活用も促すことにしています。

一方、地域一斉の休校については、子どもたちの学習機会を確保する観点から、要請しない方針です。

【お断り】
このニュースについて、感染した子どもの数が今週17日までの1週間で、◇10歳未満が4万7000人あまり、◇10代が10万2000人あまりと、いずれも前の週の9倍あまりになっているとお伝えしましたが、この数字は誤りでした。
正しくは◇10歳未満が7441人、◇10代が1万4734人でした。
大変失礼しました。

都内の子どもの感染広がりは

新型コロナウイルスの感染は子どもたちの間でどのくらい広がっているのでしょうか。

東京都が公開しているデータによりますと、都が公表した感染者のうち、10代以下はことし1月にはおよそ3300人でしたが、3月には800人ほどまでいったん減少しています。

ところが、先月には前の月の3倍以上となるおよそ5300人となり、今月は18日までのデータですでに1万人に上っています。

すべての世代の感染者に占める割合も増加傾向が続いていて、ことし1月にはおよそ8%でしたが今月は18日まででおよそ14%となっています。

小児科医「“子どもは感染しにくい” 認識改めて」

横浜市の「ときえだ小児科クリニック」では、診察前に行うPCR検査で陽性になった子どもの患者のウイルスを調べると、先月中旬ごろから感染力が強いデルタ株がおよそ半数を占めるようになりました。

これまで症状を訴えるケースはほとんどありませんでしたが、最近は、高熱や息苦しさの症状、それに頭痛やけん怠感などを訴える子どもが増えているといいます。

また、子どもの感染をきっかけに、大人に感染が広がる家庭内感染も目立つようになりました。

先月、39度の高熱の症状を訴えて診察を受けた1歳の女の子は、PCR検査の結果、デルタ株だったことがわかりました。

その後、父親にも症状が現れると悪化して、医療機関で人工呼吸器を装着する治療を受けたということです。

クリニックの時枝啓介院長は「これまでは外で感染した大人が家庭に持ち込む家庭内感染のパターンが多く見られたが、これからは、学校や保育園などで子どもどうしが感染し、子どもが家庭に持ち込んで感染を広げる、家庭内感染のパターンにも注意が必要になると思います。特に小さなお子さんがいる家庭で、子どもを隔離することはほとんど不可能で、家庭内感染は避けられないのが実情で、ワクチンを接種していない大人は重症化するリスクも考えて対策を徹底してほしい」と話しました。

そのうえで、夏休みが終わり、新学期が始まる時期になっていることについて「何の対策も取らないまま学校が始まったら、個人の努力ではどうにもならない部分で、大丈夫なんだろうかと心配しています。子どもは感染しにくいと思っている人も多いですが、デルタ株の感染力は強く、これまでの認識を改めて感染対策を徹底してほしい」と話しています。