緊急事態宣言 重点措置
拡大で各地の対応は

新型コロナウイルス対策で、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の対象地域が20日から拡大されました。政府はテレワークの実施などにより、人の流れを抑制することが重要だとして、引き続き、企業や国民に働きかける方針です。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、20日から、
▽緊急事態宣言の対象地域に茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県が追加され、
▽まん延防止等重点措置が新たに宮城、山梨、富山、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に適用されました。

宣言の対象地域は13都府県に、重点措置の適用地域は16道県に拡大され、期限はいずれも来月12日までとなります。

政府は感染拡大を防止するため、テレワークの実施などにより、人の流れを抑制することが重要だとして、菅総理大臣が経済3団体のトップらに協力を要請しました。

また国民に対し、買い物などで混雑した場所に外出する機会を半分に減らすよう求めていて、SNSの活用も含め、引き続き、企業や国民に働きかけていく方針です。

一方、政府は新規感染者数が依然として高い水準が続く中、死亡した人はことし5月が2800人余りだったのに対し、先月はおよそ400人となり、ワクチン接種の効果で抑えられているとしています。


こうした状況も受けて政府は、宣言の解除などを判断する際の根拠にもなる感染状況を評価する指標について、専門家の議論も踏まえ、見直しの検討を進めることにしています。

栃木 医師「緊急要しない手術は半分延期も」

栃木県では、19日の1日の発表としては過去最多の273人の感染が確認され、感染拡大に歯止めがかかっていません。


こうした状況について、栃木県にある自治医科大学附属病院の森澤雄司感染制御部長は「検査の陽性率が15%近い数字で推移していてこれからまだ感染者が増え、重症例もさらに増えてくる可能性が十分にある」と述べ、状況が悪化しているという認識を示しました。

病院では、来月上旬までの緊急を要しない手術の半分を延期することを決めたということで、森澤部長は「大変心苦しいが、そうしなければコロナの重症例の人を救命することができず非常に厳しい状況だ」と述べました。

そのうえで「極端な言い方をすると、交通事故に遭っても十分な医療が受けられない可能性がある。皆さんの命、生活の質を守るためにぜひ感染防止対策にご協力いただきたい」と呼びかけました。

静岡 商業施設で対応始める動き

緊急事態宣言の対象地域に20日から静岡県の追加が決まり、県は、面積が1000平方メートルを超える商業施設などに対し、店内の来店客数の管理などを要請することにしています。

こうした中、静岡市中心部にある老舗の百貨店では、店内にいる客の数を表示するモニター1台を出入り口に設置し、客が入店前に混雑状況を確認できるようにしています。

また、店内の客数が繁忙期の50%に達した時点での入場制限を、最短でも宣言期間が終了する9月12日までは続けるということです。

買い物客の30代の男性は「人流が数値でわかり、安心して利用するための判断材料になるので、よい取り組みだと思います」と話していました。

松坂屋静岡店広報担当の片川聡子さんは「お客様と従業員の安全を守るため、対策を徹底してまいります」と話していました。

京都 亀岡運動公園が利用停止

亀岡市の亀岡運動公園は、緊急事態宣言に伴って、20日から来月12日まで体育館や野球場、テニスコートなど屋内外のすべての施設の利用を停止します。

このうちプールは体調のチェックシート提出や消毒など新型コロナの感染対策をとったうえで、利用を亀岡市民に限定して今月29日まで営業する予定でしたが、利用停止に伴って、19日で今シーズンの営業を終えます。

19日も午前中から雨が降っているため、利用者の姿は多くはありませんでしたが、施設では入り口に案内を張り出したり、会場にアナウンスを流してこの夏の営業の終了を知らせていました。

亀岡運動公園の法貴隆三 支配人は、「ことしの夏は雨も続いていたので、市民の方からも残念という声がありました。来年こそ多くの人に来ていただきたいです」と話していました。

小学生2人とともに訪れていた30代の女性は、「きょうは子どもたちの思い出作りができましたが、夏休みにどこにも連れて行ってあげられなかったので、来年こそは行きたいところに行けたらいいなと思います」と話していました。

山梨 休業を決めた飲食店も

まん延防止等重点措置の適用で、飲食店などに対して酒類の提供停止が要請されることを受けて、期間中、休業を決めた飲食店もあります。

甲府市にある飲食店は県内にある酒造会社の日本酒が飲めるのが売りで、地元客だけでなく観光や出張などの県外客も多く訪れていました。

しかし、県内で新型コロナウイルスの感染が初めて確認された去年3月以降、客足が遠のくようになり、去年7月以降、1か月の売り上げは以前の半分に満たない状況が続いています。

県の特別協力要請を受けて時短営業を行ったここ数日は、客が数人しか来ない日もありました。
こうしたなか、まん延防止等重点措置が20日から適用されて酒類の提供停止が要請されることから、来月12日までの期間中、休業することを決めました。

要請に応じた店には協力金が支払われる予定ですが、休業しても経費がかかるため、赤字になるということです。
「七賢酒蔵」の杉田賢司代表は「県内で感染者が増えているので、いろいろ考えてやむをえず休業を決断しました。ただ、飲食店ばかり責められているところは多いとは思います。これを乗り越えたら、みんなで楽しく笑顔でお酒が飲めるような状況になればと思います」と話していました。