熊谷知事 東京パラ学校観戦
「授業とリスク変わらず」

東京パラリンピックが原則として、すべての会場で観客を入れずに開催することが決まったことについて、競技会場のある千葉県の熊谷知事は17日朝、記者団に対して「やむをえないと思う。残念だが、いたしかたない」と述べました。

東京パラリンピックで千葉市の幕張メッセでは4つの競技が開催される予定です。

原則、無観客での開催が決まったことについて熊谷知事は17日朝、記者団に対し「やむをえないと思う。会場を満員にしようと何年もかけて取り組んできた身とすれば大変残念だが、いたしかたない」と述べました。

また、安全対策を講じたうえで実施することになった、学校観戦チケットによる子どもたちの観戦については「しっかり評価する。世界中のパラアスリートのプレーを通して、パラリンピックの意義を子どもたちが受け取り、共生社会を実現してくれると信じている」としたうえで「各学校の実情を踏まえて各自治体が判断していくが、県としてもできるかぎりサポートしていきたい」と述べました。

また、感染対策の徹底呼びかけと矛盾しないかという質問に対しては「私たちは家から出るな、学校に来るなとは言っていないので、矛盾していない。バスで教員の引率で移動するので、学校で授業を受けることと基本的にリスクは変わらず、科学的根拠にもとづいて判断していくことが必要だ」と述べました。

千葉県では約230校が観戦を希望

東京パラリンピックで4つの競技が開催される千葉県では17日、現在で公立と私立の小・中・高校など合わせておよそ230校が観戦を希望していて、およそ3万5000枚のチケットが配布される予定です。

配布される枚数は教職員のものも含めて、千葉市で2万8409枚、我孫子市で1389枚、成田市で513枚など8つの市と町の207校で3万1436枚となっています。

このほか、私立が12校で2097枚、県立が12校で1867枚となっています。

観戦の対象は今月25日から幕張メッセで行われる4つの競技で、大声を出さない、座席を消毒するなどの感染防止対策を徹底するとしていますが、県によりますと、学校によっては改めて保護者の意向を確認することにしていて、今後希望者は減る可能性があるとしています。

このうち県内のチケットの8割が配布される予定の千葉市では、167のすべての市立学校で今月20日までに改めて意向調査を行い、希望者が観戦する予定です。

記者団の取材に応じた神谷俊一市長は「高い教育効果が期待でき、一生の財産として心に残る機会にしてもらうため実施を決めた。批判はあると思うが学校から市内の会場まで貸し切りバスで直行直帰するため、通常の学校での教育活動と感染リスクは変わらない。無観客で行われることで、会場内での密も避けることができる」と前向きな考えを示しました。

宣言延長受け店舗などに入場者数制限要請

千葉県は、緊急事態宣言の期間が来月12日までに延長されたことを受けて、新たに生活必需品を販売する店舗などに対して、入場者数を制限するよう要請することを決めました。熊谷知事は国に対して、今後も感染拡大が続いた場合には「大規模集客施設の休業などさらに強い措置を検討してほしい」と述べました。

千葉県は緊急事態宣言の期間が来月12日まで延長されたことを受けて17日夜、対策本部会議を開きました。

この中で、県は食料品や医薬品など生活必需品を販売する店舗や売り場、運動施設や遊技場などに対して、入場者数の制限などを行うよう要請することを新たに決めました。

制限などの具体的な基準は設けず、各事業者の判断に委ねるということです。

また県民に対しても、混雑した場所への外出を5割以下に減らすよう要請することも決めました。

なお、宣言の延長でこれまで飲食店などに求めてきた酒類の提供自粛や時短営業などの要請も継続することになります。

熊谷知事は「今の感染拡大の状況では宣言の延長はやむをえない。まさに今、大災害の対応さながらの危機的状況であることを県民一人一人に理解してほしい」と訴えました。

そのうえで、国に対して今後も感染拡大が続く場合には「大規模集客施設への休業要請など、より強い措置が実現可能なように検討を進めてほしい」と述べて、協力金の財源確保も含めて検討を求める考えを示しました。

このほか会議では、自宅療養者への支援を強化するため、民間事業者に毎日の健康観察を業務委託することや夜間に入院先が決まらない患者を受け入れて酸素投与を行う専門外来を確保する方針などを確認しました。

また県立学校の部活動については原則、練習試合や合同練習は行わず、大会の2週間前から県内での練習試合のみ認めることを決めました。