震度5強で原発影響は
女川原発で落下物など

東北電力によりますと、20日の地震で震度5強の揺れを観測した宮城県石巻市などにある女川原子力発電所では、3号機の最上階にある核燃料を保管するプールの中で、小さな落下物が1つ確認されるなどしたということです。一方、原子力規制委員会や電力各社によりますと、宮城県、福島県、茨城県にある各原子力発電所やその周辺では、21日午前5時現在、放射線量を測定するモニタリングポストの値に変化はないということです。

東北電力 女川原発 落下物を確認 今後回収を進める

東北電力によりますと、20日の地震で震度5強の揺れを観測した宮城県石巻市などにある女川原子力発電所でパトロールを行ったところ、3号機の最上階にある核燃料を保管するプールの中で小さな落下物を1つ確認したということです。

また、同じフロアの床面にも似たものが1つ落ちていて、これらは点検用の足場の部材とみられるということです。

3号機のプールには1386体の核燃料が入っていますが、東北電力は、落下物が小さいことから核燃料への影響はないと考えているとしています。

一方、このプールには、先月13日の地震でも点検用の足場からボルトなどが落下していましたが、20日夜の地震のあと、このうちの1つがプール内で確認できなくなったということです。

東北電力は、今後、プール内に水中カメラを入れて詳しい点検を行うとともに落下物の回収を進めるとしています。

このほか、20日の地震によって一部、通路の天井のガラスにひびが入るなど、軽微な被害が確認されましたが、21日午前4時現在、安全上問題がある被害はないということです。

原発周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値にも変化はないということです。

東京電力 福島第一原発 21日朝から詳細な調査

福島第一原子力発電所がある福島県大熊町と双葉町では20日夜の地震で震度5弱の揺れを観測しました。

東京電力によりますと、21日午前2時現在、福島第一原発の1号機から3号機では、溶け落ちた核燃料がある原子炉や原子炉をおさめる格納容器への注水を継続していて、格納容器内部の温度や水位、それに圧力に大きな変化はないということです。

東京電力は、引き続き、状況を監視しています。

また、原子炉建屋の最上階にあり、核燃料が残されている使用済み燃料プールの冷却設備も通常どおり動いているということです。

敷地内にある放射線量を測定するモニタリングポストの値や、空気中の放射性物質の量を測るダストモニタの値にも異常はないということです。

東京電力は、汚染水を処理したあとの水をためている多数のタンクについて、午前2時現在、漏れなどは確認されていないとしています。

タンクにずれがないかや、タンクどうしをつなぐ配管に変化がないかなどの詳細な調査については、21日始めるとしています。

先月13日の地震の際は、原子炉建屋にある格納容器内部の水位の低下やタンクにずれが認められるなどの影響がありました。

また、このとき、故障したままでデータを取れなかった3号機の地震計は、19日から新たに運用が開始されていて、今回の地震では正常に作動したということで、東京電力は今後、データを評価していくとしています。

茨城 東海第二原発と再処理施設など 異常は報告されず

このほか、▽福島県にある、廃炉が決まっていて運転をしていない東京電力の福島第二原発、▽茨城県東海村にある日本原子力発電の運転を停止している東海第二原発、▽同じく東海村にある日本原子力研究開発機構の高レベル放射性廃液を保管している再処理施設などの原子力関連施設では、これまでのところいずれも異常は報告されていないということです。

原子力規制委員会や電力各社によりますと、午前5時現在、いずれの原発などの周辺で放射線量を測定するモニタリングポストの値に変化はないということです。