朝鮮が弾道ミサイル複数
発射か 日本のEEZ外落下

政府は9日朝、北朝鮮が複数の弾道ミサイルとみられるものを日本海に向けて発射し、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されると発表しました。

日本政府の発表によりますと、北朝鮮は、9日午前7時34分から35分ごろ、北朝鮮の東岸から、複数の弾道ミサイルとみられるものを北東の方向に発射し、およそ100キロから200キロ飛しょうしたあと、7時36分から39分ごろに、日本海に落下したと推定されるということです。

いずれも落下したのは、日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定され、これまでに、付近を航行する航空機や船舶への被害などは確認されていないとしています。

政府は、今回の発射は、日本と地域の平和と安全を脅かすもので、これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射も含め、国際社会全体にとっての深刻な課題だとして、引き続きアメリカなど関係国と連携して、情報の収集・分析や警戒監視に全力を挙げるとしています。

首相「平和と安全の確保に万全期す」

安倍総理大臣は参議院予算委員会の集中審議で、「本日7時34分から35分ごろ、北朝鮮の東岸から複数発の弾道ミサイルとみられるものが発射され、日本海海上に落下したものと推測される。詳細は分析中だが、いずれも落下したのは、わが国の排他的経済水域=EEZ外と推定され、付近を航行する航空機や船舶への被害報告などは確認されていない」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は情報収集と分析、国民に対する迅速で的確な情報提供などを行うよう指示したことを明らかにするとともに、このあとNSC=国家安全保障会議を開催し、対応を協議する考えを示しました。

そして安倍総理大臣は「今般の北朝鮮の行動はわが国と地域の平和と安全を脅かすもので、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。引き続きアメリカなどとも緊密に連携しながら、必要な情報の収集と分析、警戒監視に全力を挙げ、わが国の平和と安全の確保に万全を期していく」と述べました。

河野防衛相「北朝鮮でウイルス拡散の報道は承知」

河野防衛大臣は午前9時ごろ、防衛省で記者団に対し「きょう午前7時34分から35分ごろ、北朝鮮の東岸から北東方向に飛距離およそ100から200キロで複数発の弾道ミサイルとみられるものが発射された。日本のEEZ=排他的経済水域の外の海上に落下したと推定される」と述べました。

そのうえで河野大臣は「『北朝鮮で新型コロナウイルスが拡散している』という報道は承知している。そうしたことを含めて分析をしている。しっかりと警戒監視・情報収集に努めていきたい」と述べました。

政府 国家安全保障会議で対応協議

北朝鮮が、複数の弾道ミサイルとみられるものを発射したことを受けて、政府は、9日正午すぎから、およそ10分間、総理大臣官邸でNSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、安倍総理大臣をはじめ、茂木外務大臣、河野防衛大臣ら関係閣僚が出席しました。これまでの情報を分析するとともに、今後の対応などを協議したものとみられます。

自民 二階氏「ミサイルのたびに同じ会議」

自民党は緊急に会合を開き、二階幹事長は「ミサイルが撃たれるたびに集まって、同じような会議をして、ほとんど一言一句変わりないような文書を読み上げて終わりでは無責任ではないか。もっと『日本は怒っている』と怒りの声を上げないといけない。国民は心配しており、どう対応するか協議してもらいたい」と述べました。

韓国駐留米軍「同盟国と緊密に協議している」

韓国に駐留するアメリカ軍は、日本時間の9日午前、声明を出し、「北朝鮮がけさ、ミサイルを日本海に発射したことは認識しており、状況の監視を続け、同盟国である日本や韓国と緊密に協議している」と発表しました。

米高官「監視継続 日韓と協議」

アメリカ政府の高官はNHKの取材に対し「北朝鮮から飛しょう体が発射されたという報道は承知している。状況の監視を続け、同盟国である日本や韓国と協議している」しています。