適切調査 追加支給に
数か月かかる可能性

賃金や労働時間に関する厚生労働省の調査が不適切に行われていた問題で、雇用保険や労災保険を本来より少なく支給された人への追加支給にはシステムの改修などが必要で、数か月かかる可能性があることがわかりました。

賃金や労働時間に関する厚生労働省の調査「毎月勤労統計調査」が不適切な手法で行われていた問題では、その影響で雇用保険や労災保険などが本来より少なく支給されていたことが明らかになっています。

厚生労働省はさかのぼって追加支給する方針で、できるかぎり速やかに準備を進めるとしていますが、関係者によりますと、コンピューターシステムの改修などが必要で、追加支給の開始には数か月かかる可能性があるということです。

不適切な手法がとられていたのは、平成16年以降で、これまでの間に影響を受けた人は推計で延べおよそ2000万人、総額は合わせて530億円余りに上っています。

厚生労働省が設置した相談窓口には15日までに追加給付に関する問い合せがおよそ1万8000件寄せられているということです。

厚生労働省は、支給に向けた準備を急ぐとともに、弁護士などでつくる監察チームで問題の背景やいきさつについて調査を進めることにしています。

東京都以外には拡大せず

「毎月勤労統計調査」では、大規模な事業所のすべてが調査対象となりますが、東京都内では一部を抽出する不適切な手法が取られていました。

厚生労働省は各都道府県に調査対象の事業所のリストなどを送り、これを基に各都道府県が調査しています。

東京都には、不適切な手法で作成した事業所のリストが送られていました。

厚生労働省によりますと、去年6月には神奈川県、愛知県、大阪府の3府県に対しても同様の不適切な手法によるリストを送っていたということです。

ところが、各府県によりますと、このときに厚生労働省から調査手法を変更するという詳しい説明はなかったということです。

厚生労働省は、問題が発覚した去年12月にリストを撤回したため、不適切な手法による調査が東京都以外に拡大することはなかったとしています。厚生労働省は詳しいいきさつについて調べています。