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岡山発 飲酒運転は絶対だめ! でもアルコールはいつ抜ける?

NHK岡山「もぎたて!」ゼロへのAction~なくそう交通事故死~
  • 2023年11月15日

「飲酒しても一晩寝れば大丈夫」これは本当でしょうか?呼気中のアルコールがどのくらいで検出されなくなるか。岡山市で実験が行われました。
(岡山放送局 記者 美濃田和紅)

楽しく真面目に実験開始

令和5年9月2日(土)岡山市北区の会場に集まったのは、20代から70代の男女27人です。
お酒を飲むと、車の運転に必要な能力が落ちますが、その影響がどのくらい残るのでしょうか。呼気からアルコールが検出されなくなるまで調べて明らかにしようという実験です。

会場にはビールや焼酎、ハイボール。たくさんのお酒が準備されました。実験では、参加者がまず2時間、好きな酒を好きなだけ飲みます。ただし、宴会と違うのは、体に摂取したアルコール量が把握されることです。小さなカードに飲んだ酒の種類・量を記入して、アルコール量を細かくチェックしていきます。

法令基準の違反者が続出

お酒をたっぷり楽んで午後1時半になりました。いよいよ検査開始です。呼気に含まれたアルコール量を機器を使って測定です。

見るからにふらふらの40代の男性は、片足立ちをして2秒しか立てませんでした。男性は2時間でビール3本と焼酎4杯を飲んでいます。
 

この男性の呼気1リットルからは、酒気帯び運転の基準値0.15ミリグラムの2倍以上のアルコールが検出されました。ほかにも複数の専用機器を使い、反応の正確性やスピード、視野の広さも調べます。ほとんどの人が平常時より運転に必要な能力が大きく低下していました。
 

40代男性

自分が思ってるより、いろいろ遅くなっているのを感じました......

酒はなかなか抜けず

検査を始めて4時間後の午後5時半。27人で始めた実験は、この時点で残り10人。酔いも相まって疲れが見え始めました。 

「お酒は弱い」と言っていた、こちらの男性。男性は2時間で缶チューハイを2缶と、梅酒を1杯飲みました。午後6時半に呼気検査を受けて、やっとアルコールがゼロになりました。ようやく実験から解放され、帰宅することができました。

ありがとうー!

さらに2時間後の午後8時半。飲酒直後に基準の2倍を超えていた男性も、ようやく呼気からアルコールが検出されなくなりました。

2時間飲んだだけで、7時間8時間拘束されるというこの現実を深く受け止めて、あしたからの自分の人生に役立てたいと思います。ありがとうございました

個人差大きいアルコール

今回の実験。最後の人が検査を受けて呼気のアルコールがゼロになったのが確認されたのは、検査開始から8時間半後の午後10時でした。

実験を監修した川崎医療福祉大学の金光義弘名誉教授です。金光さんによると、ビール中ジョッキ1杯のアルコール量、約20グラムが抜けるまでには一般的にだいたい3時間かかると言われています。しかし、参加者のなかには、実験中に仮眠してもアルコールが抜けない人や、一定の値で高止まりした人がいて、個人差が大きいことが分かりました。体からアルコールが抜けるのは個人差がある。一概に「一晩寝れば大丈夫」という結果にはなりませんでした。

川崎医療福祉大学・金光義弘名誉教授

酔いのさめ方が人によってだいぶ違う。すぐにさめていく人もいるし、なかなかさめない人もいる。それは飲んだ量だけの問題ではなくて、もともと持っている生理的な特性があるんでしょう

“大丈夫”という人は危ない

今回の実験を通して、「酔いがさめて運転ができる」と思った人の中には法令基準を上回るアルコールが検出されたケースがありました。また、その基準を下回っていてもアルコールが検出される間は反応の遅れが見られた人もいました。アルコールが完全に抜けるまで、ハンドルを握っては絶対にいけないということも確認できました。

川崎医療福祉大学・金光義弘名誉教授

酔いがさめたという感覚と本当にアルコールが抜けたかは同じでないことがわかった。酒気帯び運転の基準をわずかに下回ったから安全だというわけではない。酒を飲んだ翌日はリスクがあるということを知ってほしい。

私たちのできる対策は?

金光さんは、自分の飲んだ酒の量を把握することが飲酒運転を防ぐ対策の第一歩だと説明します。
ビール500ミリや日本酒1合など、アルコール約20グラムを含む酒類を「1単位」とします。個人差はありますが、自分が飲んだ「単位」の数に4をかけた時間は、運転を控えた方がいいそうです。例えば500ミリの中ジョッキでビール3杯を飲んだら、3(杯)×4=12時間は運転してはいけません。
また、眠った場合は、起きている場合よりもアルコールが体内に長く残ります。酔いから早くさめるには、水分を補給しながら汗をかき尿を排出するほうがよいということです。
また、市販されているアルコールチェッカーを活用してもよいということです。量販店やインターネットで、安いものでは1000円ほどで購入することができます。

リスクを理解して行動を

お酒を飲んだ翌日、体に多少の違和感が残っていても、仕事や予定があって運転してしまったこと、ありませんか?
そんな時、公共交通機関を使う・休むといった正しい選択をとれるかどうかは自分自身にかかっています。楽しく飲んだあとは、リスクをしっかり理解して行動しましょう。

  • 美濃田和紅

    NHK岡山放送局

    美濃田和紅

    2022年入局 警察担当 交通を取材 好きな酒は日本酒

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