もし大分で災害が起きたら、外国人観光客をどう支える?
- 2024年05月24日
ことし(2024年)4月17日、豊後水道を震源とする地震が発生し、大分県内でも震度5弱を観測しました。いま、大分県には国内外からたくさんの観光客が訪れていますが、災害が発生した際、私たちは、外国人観光客にどう安心してもらい、避難してもらえばいいのか。そのポイントを考えていきます。
(アナウンサー 和田弥月)
大きな地震の経験が無い外国人も
まず大事なのは、「大きな地震を経験したことがない外国人もいる」ということを知っておくことです。
109の国と地域から留学生が集まる立命館アジア太平洋大学(別府市)で、4月17日の夜に発生し別府市では震度4を観測した地震をどう感じたか、9人の留学生に聞きました。
まずイギリス出身のエリオットさんです。イギリスでは、大きな災害にあった経験がないということです。
「こうした地震を経験したのは初めてでした。とても驚きました。ちょっと恐かったです。眠りかけていたので、飛び起きました」
コロンビア出身のアンドレアスさんも、大きな地震の経験はなかったそうです。
「地震の時、大学の寮にいましたが、寝ようとしていたら、突然、地震が起きてパニックになりました。荷物を持って外に出ようと考えました。これほど強く揺れる地震は初めてだったから、足が震えました」
今回話を聞いた9人中7人が、「日本のような大きな地震にあった経験がない」と話していました。
外国人の安心につながるサポートとは?
では、地震が起きた際、どんなサポートがあれば、安心するのでしょうか。
フィリピン出身のジョンさんです。
「スマートフォンでのお知らせが、いちばんいいと思います。そして、避難地図。漢字を読むのが得意ではない人もいるので、見やすいマップのようなものがあればいいと思います」
アメリカ出身のアレックスさんは、刻々と状況が変わる中で、最新の情報が欲しいと言います。
「スマートフォンのアラームとともに、最新の情報を英語で知ることができるサイトがあれば、津波などの恐れがないか確認できるので、いいと思います」
外国語が話せなくても
多言語表示の防災サイトを紹介
大きな地震の経験がない外国人は、地震が起きるとパニックになってしまう人もいます。私たちとしては、そうした外国人にまず落ち着いてもらった上で、「今、何が起きているのか」を伝える必要があります。
とはいえ、言葉の面が不安だという方も多いと思います。
そこで、外国語で防災情報を提供しているサイトを紹介するのも、一つの方法です。
そうしたサイトはいくつかありますが、NHKには、「がいこくごの生活と防災の情報」というサイトがあります。
21の言語を選ぶことができ、様々な防災情報を見ることができます。
大分県の情報が手に入るサイトもありますが、このうち、別府市の団体が、去年、ある防災アプリを開発しました。そのアプリを開発した方のもとを訪ねました。
別府の避難場所などがわかる
防災アプリ
アプリを開発した「別府国際観光港みなとまちづくり協議会」の会長、奥村伸幸(おくむら・のぶゆき)さんです。
奥村さんの団体が開発したのが「みなとオアシス安心安全MAP」です。
別府市内の避難場所や医療機関などが地図上に表示され、現在地からのルートを確認することができます。
言語は、日本語に加え、英語、中国語、韓国語を選ぶことができます。
アプリを作るきっかけは、8年前の熊本地震でした。
奥村さんが別府市内で外国人留学生と食事をしているときに、大きな揺れに襲われました。
「一緒に食事をしていた留学生は、普段は日本語を話せる方だったんですが、地震でパニックになって、母国語しか話さなくなってしまいました。何を言っているのかわからないので、どこに逃げたらいいのかも伝わらない状態になっていました。こうした経験からアプリを作ろうと考えました。
アプリは、現在のところは4か国語ですけども、将来的には132か国語まで増やしていこうと思っています」
9言語で
大分県全体の情報がわかるサイトも
このアプリは、別府市を対象としていますが、大分県全体の情報を提供しているのが、「おおいた防災情報ポータル」というサイトです。
このサイトでは、全市町村の避難場所や防災情報を、9つの言語で見ることができます。
もし災害が発生して、近くの外国人が困っていたら、たとえ外国語を話すことができなくても、こうしたサイトやアプリを案内してはいかがでしょうか。
ひとりひとりの心配りが、誰もが安心して楽しむことができる大分県につながると思います。