わが町を守る”自主防災組織” 訓練で防災力アップ!
- 2024年03月08日
防災士の資格を持つアナウンサーの戸部眞輔です。
能登半島地震のような大きな災害が発生すると、消防や警察など公的な助けがすぐに期待できない状況となります。
そうした際に地域を守るのが、『自主防災組織』です。
その果たす役割の大切さを取材しました。
今、見直される自主防災組織の重要性
自主防災組織は、大分県内におよそ3500団体あって、町内会単位で活動している組織がほとんどです。
メンバーは、町内会の会長や役員が中心です。
土砂災害や浸水害など、お住まいの地域の災害リスクに合わせた防災訓練や、防災用品の備蓄などを行っています。
能登半島地震を受けて、消防や警察など公的な救助が来るまでの間を埋める存在として、今、自主防災組織の重要性が見直されています。
そこで、今回、私が防災士として活動する大分市内の自主防災組織の訓練を通して、防災訓練の果たす役割の大切さをポイントごとに見ていきます。
わが町を守る”自主防災組織”
中春日町(なかかすがまち)の自主防災組織が年に1回行っている防災訓練。
地元の消防団などを講師に招き、住民も含めて、およそ60人が参加しました。
大分市中心部の中春日町は、人口およそ870の住宅街で、町の中心に公園があります。
近くに大きな川や山はなく、防災訓練は、地震や火事を想定して行っています。
➀体験を通して、身近な対策につなげる
今回の訓練では、地震体験車を呼んで、能登半島地震で観測された最大震度7を体感しました。
地震体験車を呼んだのは、受け身ではなく体験型の訓練にすることで、身近な地震対策の大切さに気づいてもらおうという狙いからです。
➁ライフラインが寸断された時を想定する
電気やガスが使えなくなった時に備えて、住民が力を合わせて豚汁を作ります。
ガスを使って訓練するところもありますが、中春日町では、より実践的にまきで火を起こす訓練を続けています。
原始的ですけど、いちばん効果的だと思います。こうした備品があって、誰かは要領がわかっているので、いざというときに役に立つと思います
➂顔が分かる関係で防災力アップ!
地域の防災訓練には、もうひとつ大きな意味があります。
大きな災害が発生すると、住民同士で助け合って避難生活を送ることになります。
こうした機会に顔を合わせておくことが、いざというときに役に立ちます。
「普段から、お互いに頼りにしたり、されたり、そういうつながりができます。日頃会わない人たちと一緒に会う機会があるので、こういうイベントはものすごく大事かなと思います」
日頃から活動を通して、地域の住民の方々とコミュニケーションをとるということが、イコール、災害に備えることになると思います。そういう意味で、日常が大事かなと改めて思いました
何が入っている? 自主防災組織の防災倉庫
中春日町の自主防災組織の防災倉庫には、スコップや消火器、ヘルメット、拡声器、非常食など、救助活動や避難生活で使うもの、40種類以上をそろえています。
この日は、自主防災組織のメンバーで、倉庫に備蓄されているものを、使い方も含めて確認しました。
こちらは、断水時に使う「トイレ用の袋と凝固剤」のセットです。
人口およそ870の中春日町では、町内全体に行き渡るように、3日分を1000セット以上、用意しています。
避難所などで使うことを想定して、段ボール製の簡易トイレも組み立ててみました。
組み立て自体は簡単でしたが、実際に使うことを考えると、周りから見えないように、小型のテントなども用意しなければならないことがわかりました。
地域のことは地域で守る
防災倉庫に中には、おの、ハンマー、つるはし、それに、チェーンソーまであります。
能登半島地震のような大きな災害が発生すると、住民が協力して、家屋の下敷きになった人を助け出したり、道路を通れるようにしたりしなければならないため、おのやハンマーなどが必要になります。
防災用品の確認は、町のイベントを有効活用
こちらの発電機。停電時に、明かりやスマートフォンの充電などに使います。
発電機の動作確認は、町内会のあるイベントで行いました。
年末恒例の餅つきです。
この日は、臼ときねで餅をついたほか、発電機で餅つき機を動かしました。
こうした町内のイベントが、防災用品の動作確認の場にもなっています。
共助を理念に、これからも防災について考えていきたいと思っています。自分たちの身は地域で守るというのが大原則ですので、防災用品を準備して、地域の安全を守りたいと考えています
大切な人を守るために、地域のイベントに参加する
防災の基本は、「自分の命は自分で守る」「地域のことは地域で守る」です。
いざというときに自分自身や大切な人を守るためにも、防災訓練に限らず、お花見や盆踊り、餅つきなど、ぜひ地域のイベントに参加してみてください。
顔見知りになるだけでも、災害時の不安は大きく和らぐはずです。