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Q14 空き家を子どもに残したくない。売るために何から始めれば?

クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「空き家を売るために何から始めればいいのか」というお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)

相談内容

広島県呉市に両親と暮らした家があります。私は一人娘で嫁ぎ、両親が亡くなって12年が経ちました。固定資産税、家財保険、管理にかかる費用などもあり頭を抱えていました。昨年秋より家財処分を始め、きれいにしました。呉市は引き取りもないし自分で売らなくてはなりません。このままでは子供たちにも迷惑がかかるので、なんとか手放したいと思います。いい提案はないでしょうか。

(広島県/女性/54歳)

回答

“ 田舎暮らしをしたい人は案外多いものです。まずは不動産会社に相談を ”

解説

(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)

ご自分の代で解決したいという意思、たいへん素晴らしいです。ご兄弟もいらっしゃらないとのことで、おひとりで家財処分から対応されるのは本当に大変だったのではないかと思います。ご相談内容からは売却に向けてどの程度具体的に動かれているのかわかりませんので、まだ何も動かれていない想定でお答えさせていただきます。

まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。不動産業者の探し方については過去の質問をご参照ください。

Q5 空き家の売却、信頼できる不動産業者はどう見つける?

地方から都市部に生活圏を移した方の多くは、もともと住んでいた地域に対して「あんなところ、わざわざ新しく人は住まないよ…」という先入観を持ちがちですが、「田舎暮らしをしたい!」という人は案外といらっしゃいます。

また、物件のある呉市は移住・定住者や子育て世代に対し住宅取得の支援補助が用意されています。そうした制度を利用したいと空き家を探している方もなかにはいらっしゃいます。以前に当センターが請け負った埼玉県秩父市のケースでは、市街地から車で30分程度の空き家に引き取り手が見つかりました。決して立地は良くない物件であっても、建物がきれいだったりすれば買い手が見つかることはあるのです。

また、「不動産会社に相談して空き家バンクにも登録したけどまったく売れない」という方から「新しくできた相続土地国庫帰属制度はどうなの?」という質問がよく寄せられます。今年の4月から運用が始まった制度で、「相続したけれど処分に困る土地を、お金を払って国に引き取ってもらう」というものです。ただ、この制度なかなかハードルが高く、かなりの手間と費用負担が想定されます。対象となる土地は以下のすべての項目をクリアする必要があります。

・建物が存在しない
・担保権や使用収益を目的とする権利が設定されていない
・通路その他の他人による使用が予定されていない
・土壌汚染されていない
・境界が明らかでない土地や所有権等についての争いがない
・崖がなく、通常の管理に過分の費用・労力を要しない
・通常の管理・処分を阻害する工作物、車両または樹木が地上に存在しない
・通常の管理・処分をおこなうために除去すべき有体物が地下に存在しない
・隣接する土地の所有者等との間にトラブルを抱えていない
・その他、通常の管理または処分にあたり、過分の費用・労力を要しない

また、承認申請を行なうには審査手数料がかかり、この手数料は不承認等になった場合も返還されません。

空き家を解体して、土地の境界に争いがないことを証明(確定測量)し、土壌汚染がないかを証明すべく土を掘ってサンプルを出して…と、解体費用とは別に数百万円かけた上で国に受け取ってもらえるか相談が始まるといったプロセスです。国が税金を用いて適正に公平に管理するという意味では正しいのですが、なかなか現実的な答えでないのもまた事実です。

「再建築不可物件」に関する相談でもお答えしたように(Q13 売るに売れない!再建築不可物件の空き家に困っています)、どうにもならない場合は、隣地の方に「費用はこちらが負担するので引き取ってもらってもらえないか」といった交渉をしてみるほうが現実的なところもあります。不動産会社や空き家バンク登録と並行して、自治会や地域の方々にも相談してみるのもひとつの突破口になるかもしれません。

上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事)
2013年 NPO法人設立。全国で空き家などの適正管理や利活用に取り組む。
東村山市空家等対策協議会副会長など、複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員も務める。
『あなたの空き家問題(日本経済新聞出版社)』著者。
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