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地域づくりナビ

集合住宅が地域のコミュニティの中心に

集合住宅が地域のコミュニティの中心に

2023年9月22日更新

面倒な近所づきあいや、地域の人間関係からある程度距離を置いて、「個」の暮らしを楽しむ。それが、マンションなど集合住宅の魅力とされた時代がありました。しかし今、住民の高齢化と建物の老朽化が進む中で、再び、新しい形の人と人とのつながりづくりや、コミュニティづくりの動きが始まっています。

「お互いさま」の助け合いが、孤立を防ぐ

住民同士で高齢者の孤独死を防ぐ

横浜市栄区の公田町(くでんちょう)団地では、一人暮らしの高齢者の孤独死を防ごうと、住民有志や民生委員でつくるNPO法人「お互いさまねっと公田町団地」のメンバーが「見守り支援員」となり、高齢者の部屋を訪問するなどの見守り活動をしています。一人暮らしの高齢者の部屋には、自動的に行動を把握して安否を確認する人感センサーも設置。異常に気付いたNPOが居室を訪問して、実際に命が救われたお年寄りもいます。

ゆうどきネットワーク
一人暮らしの不安解消“孤独死”防ぐ新作戦 神奈川県横浜市栄区
(2011年7月26日放送)

他人の困りごとを自分自身の問題に

大阪府豊中市では、都会に人と人のつながりを取り戻そうと、住民ボランティアが地域の全世帯を訪問して日常の困りごとの相談相手になる「見守りローラー作戦」を行っています。なかでも賑わいを見せているのは、マンションの一室で開かれている、誰もが参加できるサロン。高齢者や子育てに悩む母親など、孤立しがちな人たちが気軽に集まれる場所です。豊中市の住民ボランティアは、合わせて8000人。体が不自由な人に、着脱しやすい手作りの服をプレゼントしたり、たまったゴミの片付けを手伝ったり。今日も人と人とがつながり、助け合っています。

ふるさとの希望を旅する
“無縁”から“創縁”へ 都市の地域づくり 大阪府豊中市
(2016年11月23日放送)

みんなが集まれば 新たな縁が生まれる

ゆりかごから墓場まで支え合う団地 東京都立川市

東京都立川市にある都営住宅「大山団地」では、孤独死が相次いだことをきっかけに、近所づきあいを作りだそうと、住民たちが隣近所の見守り活動をしています。スローガンは「向こう三軒両隣」。生け花やカラオケなど180種類ものサークルを作り、都会の住民がつながり合える場を設けてきました。さらに、自治会では、団地で亡くなった人が低額で葬儀を行える「団地葬」も行っています。集会所を利用し、葬儀の準備は住民自身が行います。ゆりかごから墓場まで地域の住民同士が支え合えるしくみが生み出されています。

ふるさとの希望を旅する
“無縁”から“創縁”へ 都市の地域づくり 東京都立川市
(2016年11月23日放送)

人のつながりが生まれる都会の居場所

人口の7割がマンションなどの集合住宅に暮らす神戸市東灘区では、高齢者の孤立が課題になっています。コミュニティサポートセンター神戸の中村順子さんが支援している「木洩童(こもれど)」は、朝9時から夜6時まで、元旦以外は一年中誰でも利用できる、みんなの居場所です。会員は650人。食事もとれるこの場所には、日々、地域の高齢者がたくさん集まってきます。さらに会員同士が特技を生かして、庭の手入れなど助け合いの事業も行っており、都会に温かな人のつながりを作り出しています。

明日へ つなげよう 復興サポート
人と人のつながりが命を救う~岩手 釜石市・大槌町 Part8~ 兵庫県神戸市
(2018年1月21日放送)

モノと人々が集まる物々交換所

埼玉県北本市の団地内、商店街の空き店舗にある不思議な空間「リビングルーム」。家々からそこに集まってきた家具や雑貨を並べ、住民同士が物々交換をして、人々のつながりを生み出しています。時には集まってきたモノたちを使ってイベントを開いたり、突然居酒屋が出現したり、緩やかで暖かい時間が流れるこの場所には、お年寄りや子ども、孤独や生きづらさを抱えた人、認知症の女性など、さまざまな人たちが立ち寄ります。

ハートネットTV
リビングルームで会いましょう~団地の物々交換所に集う人々 埼玉県北本市
(2014年6月17日放送)

地域のマンションが防災拠点に

複数の大型マンションと地域住民が連携し災害に備える

人口が集中する東京を首都直下型地震が襲った場合、大きな被害が出ることが予想されます。その時頼りになるのは、行政ではなく、近所に暮らす地域住民の力です。木造住宅が集中し、海抜も低い江東区の住宅街では、津波を心配する町内会が、近所の大規模マンションの自治会と協定を結びました。安心で安全な大型マンションを、いざという時の避難場所に使わせてもらうことになりました。マンションを地域の防災拠点として位置づける取り組みです。

クローズアップ現代
首都直下 震度7の衝撃 ~どう命を守るか~ 東京都江東区 東京都新宿区
(2012年4月19日放送)

災害対策が、マンション住民のつながりを強化

埼玉県川口市のマンションでは、東日本大震災のときに断水した苦い経験から、住民たちが費用を出し合って、井戸を作りました。災害時にはマンション住民だけでなく、近所の住民にも開放する予定です。また東京都内のマンションでは、災害に備えた講習会を開き、住民同士が顔見知りとなって、災害時にできる特技を知らせあう試みも始まりました。災害時に大きな力を発揮するコミュニティの力をつけようという動きが、都会の真ん中でも進んでいます。

TOMORROW
震災を生き抜いた孤立集落 埼玉県川口市 東京都
(2015年5月13日放送)

おわりに

多くの人が集まり暮らす、マンションなどの集合住宅。高齢化や病気、そしていつ来るかわからない災害など、心配ごとは尽きないけれど、その課題解決をきっかけに、新たな地域のネットワークが生まれています。部屋を一歩踏み出せば、そこには頼りになる「ご近所さん」がたくさんいる。そんな地域が、いま増えています。