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「空き家を売りたい・買いたい」そんな時どうするの?

コロナ禍で広がったテレワークによって、家で過ごす時間が長くなり、暮らしやすさや価格の低さを求めて、郊外の空き家への需要が高まりつつあります。しかし、一方で空き家の扱いに困っているという人もいるのではないでしょうか。そこで、今回は「空き家を売りたい」「買いたい」と思ったらどうしたらいいのか。空き家問題などを含めた不動産について、40年以上取材してきた編集者の中川寛子(なかがわ・ひろこ)さんにお聞きしました。
(クローズアップ現代 住まいの問題 取材チーム)

空き家を売りたいと思ったら、まずここを確認!

空き家を売りたいと思ったら、まずは不動産会社などに相談しようと考える人が多いと思います。しかし、すぐに相談に行くのではなく、事前にしっかりと2つのことを確認しておいてほしいと中川さんはいいます。

中川寛子さん

① 自分の意思だけで動かせる物件なのかどうか

中川さん

「相続した家を売りたいっていう話になったときに、そもそもそれは可能なのかということを確認してほしいです。自分だけが相続人だと思っていたのに、調べてみたら他にも相続人がいる、長年相続登記されていなかったなど様々なケースがあります。自分一人の意思ですぐに動かせるのかどうかということを確認してください」

また、所有権や相続権といった法的な確認だけでなく、親族との合意形成や隣近所への挨拶などもしっかりしておいたほうがよいと指摘します。

中川さん

「契約の直前まで来て、売り主から『売るのをやめたい』と契約を破棄されるケースをしばしば聞きます。自分が相続したんだから売却していいと思うかもしれませんが、地元にいる親族が『何言ってんだ』と言い出すようなことがあったりするんですね。なので、そもそもこれは具体的な行動に移して大丈夫かということをまずきちんと把握することが大事です」

② 空き家がある地域の相場を確認しておく

空き家を売りに行く前に、売買価格の目安を知っておくことも大切です。価格の相場は、不動産会社あるいは不動産ポータルサイトに掲載されている物件から推測できるほか、そうしたサイトに掲載するほどの物件数はないものの、不動産取引自体は行われている場合には、国土交通省の「不動産取引価格情報検索システム」で調べることができます。

不動産取引価格情報検索システムのページ画面
中川さん

「売れるかどうかの前に、周辺の相場を調べることをおすすめします。不動産の取引が行われているところであれば、ある程度の相場が形成されていると思いますので、それが目安になります。一方、国交省のサイトでもそういった情報が全然ないような地域は、ほとんど不動産の取引が行われていない地域だということです」

売りたい空き家がある地域で不動産の取引が全然行われていない場合には、自分自身で価格を決めなくてはなりません。そこで、中川さんが注意してほしいこととしてあげるのが「欲をかかない」ということです。

中川さん

「空き家を売却しようと思った時、特に不動産取引があまり行われていない地域の場合には、なるべく欲をかかないことが大事だと思います。

空き家がなぜ処分できないかということにも関わってくるのですが、権利とかの問題以外に“売り主が物件の価値を客観視できていない”という問題があります。『いくらで買ったものだから、そんなに安く売るのは嫌だ』というように考えてしまう。例えば、その土地の不動産を求める人がいなくなってしまっているのに、『30年前には1億円だったものが300万円なんてとんでもない』と考えてしまい、売れなくなってしまうというようなことはよくありますね」

空き家の売却を依頼する前に、その地域で不動産の市場が成り立っているのか、成り立っているとしたら実際に取引されている価格はいくらなのか。不動産の取引があまり行われていない地域では、購入時の価格にとらわれずに、現時点での物件の価値や需要を考えて価格を決めることが重要だといいます。

イメージ)空き家外観

売却を依頼するときに持って行ってほしいもの

売ることができる空き家かどうか、その地域の相場はいくらかを調べたら、いよいよ売却依頼の相談となります。相談に行く前に、以下のような書類を準備していくと、スムーズに相談、売却を進めることができるといいます。

・土地・建物の登記済証(権利証)あるいは登記識別情報
・固定資産税や都市計画税など税金の納付書の最新のもの
・建築確認通知書・検査済証
・測量図・建物図面・建築協定書

上記の書類以外にも、購入時に受け取った書類やパンフレットなどが残っているようであれば、それも持参するといいといいます。

中川さん

「不動産会社は実際に取引するときには、書類があっても、きちんと物件の瑕疵(かし)がないかってことをもう一度調べ直さなければならないので、なるべくそのための手間を省いてあげたほうが売ってもらいやすい可能性もあります」

いよいよ売却の相談 どこに相談に行ったらいい

ここまで準備できたら、いよいよ空き家売却の相談となります。
主な空き家の売却方法としては、①「不動産会社に相談する」のと、②「空き家バンクに登録する」といった2つの方法があるといいます。

① 不動産会社に相談

多くの人が相談に行くところとして、まず思いつくのが不動産会社だと思います。しかし、不動産会社の中でも空き家の売却に関してはどこを選んだらいいのでしょうか。
不動産会社選びでは、それぞれの不動産会社がどのような物件を扱っているのかを事前に確認することが大切だと中川さんは指摘します。

中川さん

「病院(医療機関)に内科や外科があるのと同じように、不動産会社にも、何を扱っているのか、何を得意にしているのかの違いがあります。病院(医療機関)の場合はみなさんわかっていると思いますが、不動産会社の場合には、『とりあえず駅前に不動産会社があったから電話してみよう』と連絡した結果、『賃貸しかやっていません』と言われて、『相談しに行ったのに断られた』というようなことが起きがちです。適切な不動産会社に依頼することが大切なんです」

しかし、売却を取り扱っている不動産会社でも、空き家の売却に関しては前向きに相談に乗ってくれないところも多いといいます。空き家は建物の状況を調べる必要があるなど手間がかかる一方で、仲介手数料が低く収益が見込めないのが理由のひとつだといいます。

そうした中、数は少ないながらも、最近では一般の消費者に販売するだけでなく、自社で買い取ってリフォームなどを行い再度販売に出す、あるいは賃貸に出すという会社も登場しています。そういう不動産会社の場合には、前向きに買い取ってくれる可能性もあると中川さんはいいます。

② 空き家バンクに登録

地元自治体の「空き家バンク」に物件を登録する方法もあります。特に、地域に不動産会社がない場合には「空き家バンク」の利用は有効だといいます。
「空き家バンク」とは、空き家を登録し、その情報を空き家の利用を希望している人に紹介する行政が運営する制度です。

当初は、自治体ごとに空き家情報を管理していましたが、2018年からは公募で選定された特定の民間業者を通じて、全国の空き家バンクを検索出来るようになりました。空き家のある地域に住んでいる人だけでなく、その地域に移住したい人など全国各地からその情報を見ることができるため、買い取ってもらえる可能性がより広がります。

③ 隣近所などに相談

イメージ)空き家外観

隣近所に相談する方法があります。隣近所に相談して買ってもらうという方法は、特に地方では不動産会社などより先に検討しておくのもおすすめだといいます。

中川さん

「家が隣りあっていて、東京のように不動産価格が何千万円ですという話でなければ、『誰か来たときの駐車場でもいいし、とりあえず買っておくか』というような話は、地方では割と聞きます。売却を考えた最初の段階で周辺住民に聞いてみるのもおすすめです」

それ以外では、地域に空き家を改修、活用している人がいるなら、その人たちに相談してみる、民間が運営している空き家情報の掲示板サイト、販売サイトに掲載してみるなどの手もあります。

空き家を買う前に考えるべきこと

空き家は、「少しでも安く家を買えるのではないか」と近年注目が集まりつつありますが、実際にそのような期待通りにいく例ばかりではないと、中川さんは注意を呼びかけます。特に気をつける必要があるのが、「本当に安いのか」、「本当に安全に住めるのか」といった点です。

中川さん

「空き家を買って自分で住む場合、自分でリフォームするなら、安く済むことが期待できなくはありません。でも、空き家に適切に手を入れるのは誰にでも出来るわけではなく、状態によってはすごくお金がかかるわけです。『100万円だ、安い!』と思って買ったところで、『直すのに1200万円かかりますよ』っていうことがありうるんです」

そして、最も重要なのが物件の「安全性」の問題です。

中川さん

「本気で買うつもりだったら、プロに安全性を見てもらうことをおすすめします。ただ、これがまた難しくて、不動産会社の人も建築についてはあまり知らない人たちが多いんです。建築関係の人とか工務店の人に見てもらう手もありますが、その人たちが木造建築に詳しいかという問題もあります。そういう意味でいうと、相談する適切な相手が身近にいないということが、空き家の問題なんだろうなと思います」

空き家の安全性に関しては、実際に空き家の改修を手がけたことがある人たちに見てもらうのがいいといいます。

地域で空き家を改修し、再生して活用しているところがあれば、そこにいる人たちに誰が手がけたかを聞いたり、工務店や不動産会社のホームページからリノベーションを手がけている会社を探してみるなどして、空き家について相談してみるといった手もあります。

空き家を買いたいと思ったら、どこで探したらいい

空き家を買う際の注意点を踏まえた上で、それでも空き家を買いたいという場合には、どこで物件を探すのがいいのでしょうか。

① 不動産会社のポータルサイト

一般的に、住むところを探すときには、不動産のポータルサイトや地域の不動産会社を利用する人が多いと思います。しかし、空き家はもともとの金額が低く、仲介手数料を取っても利益がそれほど見込めないために、不動産会社があまり積極的に紹介しないことも少なくありません。

しかし、大手不動産会社のサイトや不動産ポータルからでも調べ方や見極め方によってはいい空き家が見つかる可能性があるといいます。

中川さん

「大手の不動産会社さんのサイトや不動産ポータルで、『古家あり』で出ている「土地」が、意外に建物もよかったりすることがあります。不動産会社は、建物付きで販売すると、建物についても責任が生じますが、『古家あり』で土地として販売した場合にはその必要がありません。そうした場合に、上物(うわもの)となる建物が結構いい状態で売りに出されていることもがあるんです」

大手の不動産会社でも、探し方次第では意外といい空き家が見つかるかもしれません。しかし、古家ありとされている建物については上物はないものとして土地だけが売られているので、不動産会社には上物についての責任はなく、状態については自分自身で見極める必要があります。

② 物件情報数が豊富な空き家バンク

空き家を探すもうひとつの方法として中川さんが挙げるのが「空き家バンク」です。「全国版空き家バンク」では、日本全国1万戸以上もの空き家情報を見ることができます。

空き家についての勉強やネットワーク作りをすることが大切

最後に、空き家を適切に見極めて、本当に買ってもいい物件かどうかを判断するには、空き家を含めた不動産をたくさん見て知識を蓄えること、そしてネットワークを作っていくことが大切だと中川さんは話してくれました。

① SNSの空き家コミュニティ

空き家の情報を得る手段のひとつとして、中川さんがあげるのはSNSの空き家コミュニティです。

中川さん

「なるべく情報を集めること、力になってくれる人と知り合う努力をすることが必要です。いま、空き家関係の中でも、SNSなどでグループがいろいろあったりするので、そういうところでいろんな人たちの情報を聞いて、空き家情報に触れておくことをおすすめします。

住みたい地域が決まっているなら、その地域のコミュニティに入り、人間関係を築いておくと空き家情報が手に入る可能性も出てきます」

② 空き家見学ツアー

最近では、各地で空き家見学ツアーなども登場しています。ツアーによっては、ただ空き家を見るだけではなく、その空き家をどのように、いくらぐらいの費用で再生できるかを教えてくれるものもあります。

空き家見学ツアー

物件はとにかくたくさん見て、経験を積むことで見極められるようになっていくと中川さんはいいます。

空き家見学ツアーの参加者も、最初はなにひとつ分からないところから始まりますが、何度も参加しているうちに「この間取りはこう変えたら使いやすくなる」「こういったところの修繕に費用がかかる」といったことが感覚的に分かるようになってくるといいます。

近年、注目が集まりつつある空き家。これまで日本が抱えてきた空き家問題の解消や住宅探しに困っている人の解決策としても期待が高まっています。

暮らしを支えていく上で、必要不可欠な住居。まずは知識を学ぶことやネットワーク作りから始め、失敗しないように気をつけながら空き家の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

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