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Q13 売るに売れない!再建築不可物件の空き家に困っています

クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「再建築不可物件のため、売ることがなかなかできず困っている」というお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)

相談内容

親が空き家物件を相続して所有していますが、処分したくても再建築不可物件のため売ることもなかなかできず、行政に寄付を申し出てももらってもらえず。固定資産税だけかかり、築年数も50年以上とたいへん困っています。親も高齢のため、収入がなくリフォームもできません。本当に手放したいので相談にのってほしい。管理ができない老人に税金上げてなんとかしろはありえない。

(宮城県/男性/48歳)

回答

“ まずは隣近所の方に譲れないか、相談してみることをおすすめします ”

解説

(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)

今回のキーワードとなる“再建築不可物件”をご存じない方もいると思いますので、まずはそこから説明しましょう。これは、「現在建てられている建物をリフォームすることはできるが、解体して更地にしても新しい建物を建てることができない土地・物件」を指します。住宅を建築する際、「接道義務」つまり「幅4m以上である建築基準法上の道路に、建物の敷地が2m以上接していないといけない(都市計画区域や準都市計画区域での建築の場合)」というルールがあります。

住宅密集地をイメージするとわかりやすいのですが、火事などがあった際に道路が狭いと避難に時間がかかって人的被害が増えてしまうので、そうならないように再建築不可にしてしまおうという意図があります。建築基準法が制定された1950年より前に区分されている敷地や建物は接道義務を満たしていないケースが多く見られ、今回のご相談のような再建築不可物件のお悩みは実は多いです。

再建築不可物件は、新たに建物が建てられないため、売却が難しい物件となります。

では、どうしたらいいでしょうか。まずは、隣近所の人に家や土地を譲れないか相談してみることを強くおすすめします。こうした再建築不可物件は、隣地も同じ悩みを抱えていたり、隣地を獲得すれば再建築可能になるケースもあったりします。また、再建築不可のままであっても、庭や畑、駐車場代わりに使うという活用方法も想定されます。

親御さんが相続したとのことですので、もともと暮らしていたのは祖父母世代だと思います。孫世代のあなたにとっては、隣近所の方はほぼ知らない人かもしれません。親御さんがご存命の内に協力しながら話を進めていったほうがいいでしょう。日本の空き家問題では「自分には関係ない、先代・先々代の負の遺産を押しつけられた」というネガティブな意識から、どうしても動きが億劫になってしまう人が多いのですが、気持ちを切り替えて、次の世代には遺さず、自分たちの代で解決することを強く意識しながら動いてみましょう。

上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事)
2013年 NPO法人設立。全国で空き家などの適正管理や利活用に取り組む。
東村山市空家等対策協議会副会長など、複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員も務める。
『あなたの空き家問題(日本経済新聞出版社)』著者。
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