およそ500品種が一斉に開花!ゆりの展示会
- 2023年06月29日
高知県はユリの一大産地です。高知市にあるユリの球根の輸入を手がける会社では、栽培農家にPRするために、およそ500品種のユリを一斉に開花させる珍しい展示会を開催!その魅力に迫りました。
(高知放送局 リポーター 五十嵐 優衣)
ゆりの展示会
高知市長浜にある農園で、6月15日から17日までの3日間、「ゆりの展示会」が開催されました。
会場はおよそ500品種、1万本のユリの花で埋め尽くされていました。栽培農家が新しく扱う品種を求めて全国から訪れていました。品種によって花を咲かせるまでの日数が異なるユリがイベントの日に一斉に開花するように工夫されています。
「佐賀県から来ました。ふだんは写真で決めることが多いので、分からないことも多いんですが、実際に見てこういうのがいいかなというのを選べてすごくいいと思います」
「一斉開花を一度に見られる場所はここしかないので、貴重な時間です」
準備中のハウスに潜入
「ゆりの展示会」を主催している高知市の会社です。
開場を前にイベントの責任者の水谷哲章さんに案内してもらいました。
まずは、展示会に向けて準備している農業用ハウスです。ハウスの中ではユリの甘い香りが広がっていました。
この会社では海外から輸入した球根を農家に販売するにあたって、自社の農場ですべて試験栽培をしています。
どうやって開花時期を合わせる?
ユリは品種によって成長のスピードが異なります。どうやって開花時期を合わせているのでしょうか。
水谷哲章さん
「こちらが過去20年ほどかけて蓄積した品種の栽培データです」
季節ごとに試験栽培を行い、必要な温度や水の量などのデータを集めてきました。これまでに得られたデータは、およそ1500品種にものぼります。このデータをもとにして品種ごとに作付けする時期をずらし、イベントでの開花を目指して栽培しています。
さらに、その日の気温や湿度に応じてハウスの温度を調整することで、開花の速度をきめ細かくコントロールしています。
取材した日は、冷房をつけて開花のスピードを遅らせていました。
高い品質のユリを展示
展示会に出すユリは最新品種のPRにもつながるため、品質にもこだわります。その秘けつが10トントラックがまるごと入る冷凍施設です。
水谷哲章さん
「球根の品質を保つために、球根を外気にさらさないようにしています」
ユリの球根はとてもデリケートで外気に触れてしまうと発芽してしまいます。このため、海外から冷凍輸入した球根をそのまま冷凍保存することで高い品質を保持しています。
施設内はマイナス1.5度。
球根を冬眠状態のまま保存することで、全国の農家からいつ注文が入っても出荷できるようにしています。
今年の注目は・・・
ことしの展示会で特に注目を集めていたのは・・・。
豪華な花を持つ八重咲きの「アイシャ」です。白い花にやさしい緑色の模様が特徴で、ブライダル関連のイベントでも人気があるそうです。
「ボリュームがあってきれいですね。八重咲きは花もちがいいので興味がありますね。やってみたいと思いました」
水谷哲章さん
「八重咲きのユリや花粉が飛び散らない無花粉のユリがこれから増えてくると思いますので、注目してほしいです」