『らんまん』に登場!横倉山とは
- 2023年06月29日
連続テレビ小説『らんまん』で主人公の万太郎たちが訪れた横倉山。万太郎のモデルとなった、牧野富太郎博士も足しげく通ったと言われています。その魅力を取材しました。
(高知放送局 リポーター 五十嵐優衣)
牧野博士も通った横倉山
横倉山は、牧野富太郎博士の故郷、佐川町の隣町、越知町にあり、牧野博士も足しげく通ったと言われています。
標高およそ800メートル。自生する植物はおよそ1300種類という、植物の宝庫です。
牧野博士はこの豊かな自然に魅了され、熱心に研究を続けてきました。
横倉山で採集された標本などをもとに牧野博士が学名を発表した植物は、土佐植物研究会の鴻上泰会長や県立牧野植物園によりますと、27種類に上ります。(※分類学的な研究が進み、現在、無効となっているものも含む)
今もその多くをここで見ることができます。
ガイドの斉藤正広さんに案内してもらいました。
斉藤さんは横倉山のふもとで暮らしていて、20年以上、横倉山を観察してきました。
歴史は4億年以上
横倉山の歴史は4億年以上にも及びます。それを証明するものが、横倉山のふもとにある「横倉山自然の森博物館」に展示されています。
こちらは、4億年以上前のクサリサンゴと、日本では珍しい、古生物の筆石(ふでいし)の化石です。
実は、横倉山の一部はかつて南半球にあった小さな大陸でした。それがここまで移動してきたと言われています。長い年月を経た複雑な地質が、植物の多様性を支えています。
斉藤正広さん
「ここは石灰岩地で、4億2千万年前のシルル紀と言われる時代の石灰岩です」
さらにこちらは、蛇のような模様が特徴の蛇紋岩です。
斉藤正広さん
「蛇紋岩は非常にかたい岩で、この下に植物の根ができないから、なかなか大きな木ができないんです。地形そのものが非常に変化に富んでいます。そのため、多様な植物が生まれ、牧野博士も足しげく通ったと言われています」
長い年月を経て多様な植物が自生する横倉山。そんな横倉山を象徴する植物を斉藤さんが教えてくれました。
斉藤正広さん
「この山の象徴は、まずアカガシ。300年、400年の年月を生きて、コブができたり、左右に傾いたり、いろんな育ち方をしています」
牧野博士ゆかりの植物
こちらは牧野博士が命名したヨコグラノキです。実はこの木、とても貴重なんです。その理由を斉藤さんが教えてくれました。
斉藤正広さん
「この木は日本で唯一、いや世界で唯一かもしれない、牧野博士がこの木から枝をとって標本にした実物が残っているからです。牧野博士の手のぬくもりが残っているかもしれません」
さらに、こちらは牧野博士が和名を発表したコオロギランです。8月から9月に見ごろを迎えます。
ラン科の植物で、草丈はおよそ5センチ。花は4ミリほどしかありません。
斉藤正広さん
「牧野博士は同行者とこの山に来た時に休憩中に食事をしていて、足元を見た時に見たことない、この植物を見つけたそうです」
名前の由来は花弁の色と形。コオロギが羽根を広げた時の姿に似ていることからコオロギランと名付けたそうです。
現在は絶滅危惧植物にも指定されています。非常に小さいため、足元に咲いているコオロギランが踏みつぶされて、横倉山でも減ってきているといいます。観察する時は足元に注意して、むやみに足を踏み入れないように、気を付けてほしいということです。
今が見ごろ!幻想的な光るキノコも
さらにこちらは、夏の短い期間しか見られないシイノトモシビダケです。
シイノトモシビダケは、キシメジ科のキノコで、かさの部分は1、2センチほどの大きさです。昼間は茶色ですが、暗闇の中で淡く緑色に光ります。一度姿を現しても天候などの影響ですぐに見られなくなることもあるそうです。7月上旬まで見られるということです。
斉藤正広さん
「『らんまん』の放送が始まって、これまでにないくらい、たくさんの人が県内外から訪れていて、横倉山も盛り上がっています。牧野博士ゆかりの植物はもちろん、たくさんの植物が自生しているのでぜひ足を運んでみてほしいです」