末期腎不全で起こる尿毒症の症状と原因、治療法(血液透析と腹膜透析)

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腎不全慢性腎臓病(CKD)体がだるいむくんでいる食欲がない腎臓循環器・血管

尿毒症とは 原因や症状について

慢性腎臓病のステージについて

慢性腎臓病のステージについて

慢性腎臓病にはステージG1からステージG5の段階があり、G5まで到達した状態を末期腎不全といいます。ここまでくると、透析が必要になってきます。

末期腎不全になると、尿毒症が起こる

末期腎不全とは

末期腎不全とは、腎臓の働きが正常な腎臓の15%未満に低下し、体内の老廃物や余分な水分を排泄できない状態です。そうなると、ろ過できなかった老廃物が体中を巡り、尿毒症と呼ばれるさまざまな症状が現れてきます。

尿毒症の主な症状

尿毒症の主な症状

尿毒症の主な症状は、老廃物がたまることによる「食欲低下」「吐き気」「頭痛」「だるさ」や、水分がたまることによる「むくみ」「動悸・息切れ」「息苦しさ」「尿量の減少」などです。ほかに、「脈の乱れ」「血管の石灰化」「血圧が高くなる」「貧血」「骨が弱くなる」などの症状も起こります。

末期腎不全の治療、透析について

末期腎不全の治療は透析治療か腎移植

腎不全の治療

末期腎不全になると、失われた腎臓の働きを代替するために、透析治療腎移植が必要となります。腎移植を受ければ、健康な人に近い生活ができますが、腎臓の提供者は多くありません。現在のところ、日本では透析治療が圧倒的に多数で、透析治療を受けている患者は30万人を超えています。

透析治療には血液透析と腹膜透析の2種類がある

血液透析とは

透析治療には血液透析と腹膜透析の2つがあり、日本ではほとんどの場合血液透析が行われています。血液透析室と呼ばれる施設で、まず腕の血管から老廃物を含む血液を出し、ダイアライザーという装置を通して老廃物や余分な水分を取り除き血液をきれいにします。そして、きれいになった血液を体に戻します。
血液透析にかかる時間は1回につきおよそ4時間。これを、週3回程度の頻度で行います。

ダイアライザーの仕組み

血液がダイアライザーに入っていくと、余分な水分とともに老廃物やナトリウム、カリウム、リンといったものが、特殊な膜を通して透析液の方に出ていきます。一方、たんぱく質や赤血球はろ過されませんので、きれいになった血液が体の中の方へ帰っていくという仕組みです。
血液透析を始めると、それまでと生活が大きく変わるかもしれません。高齢者の方であれば、長時間ベッドで寝ていることにより体の筋肉が弱ってしまったり、あるいは認知症が起こるといった問題点も指摘されています。

腹膜透析とは

腹膜透析とは

透析を行いながら生活の活動力を維持するという点で、腹膜透析という治療法が注目されています。

腹膜透析では、お腹にカテーテルというチューブを挿入し、腹膜という薄い膜でできた袋に透析液を入れます。老廃物や余分な水分、イオンが体の中から透析液に移動していきます。この老廃物を含んだ透析液を体の外に取り出すことで血液をきれいにします。

腹膜透析の方法

腹膜透析には、1日3、4回透析液の交換を行うCAPDという方法と、1日1回就寝中に機械を使って透析液を交換するAPDという方法があります。
仕事や生活スタイルによって選ぶことができます。

透析治療の主な合併症

透析治療の主な合併症

透析治療にはいくつかの合併症があります。血液透析の場合は透析治療後に血圧低下や頭痛、吐き気、おう吐、立ちくらみ、動悸・息切れなどが起こる場合があります。
一方、腹膜透析では腹膜炎を起こすことがあります。また、長期間腹膜透析を行っていると、腹膜が硬くなる被のう性腹膜硬化症になり腹膜とお腹の臓器が癒着する場合があります。

長期間腹膜透析を続けていると、腹膜の機能が劣化し透析の効率が落ちてくることがあります。腹膜透析ができる期間というのは、8年から10年ほどとされています。

腹膜透析ができなくなってきた場合は、血液透析への移行が検討されます。ただ、最初から血液透析を選択するよりは、まず腹膜透析を行って活動的に過ごせる時間を長くするといったことも意義があるのではないかと考えられます。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    新たな国民病 慢性腎臓病「2つの透析治療」