【腎臓病の食事】低たんぱく質・減塩食品の活用や調理法の工夫、献立例、レシピ

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「腎臓に負担をかけない食事」も治療の柱

腎臓病がある場合、腎機能を保ったり、低下を遅らせたりすることが大切です。そのため、薬による治療だけでなく、「腎臓に負担をかけない食事」も欠かせません。腎臓病の食事の基本は「たんぱく質をとりすぎない」「エネルギー量はしっかりとる」「食塩は控えめに」の3つです。腎臓病は、原因となる病気も進行のしかたも、個々の患者さんによってさまざまなため、医師や管理栄養士はこうした基本を押さえつつ、一人一人の患者さんに対して状況に応じた対策を検討し、アドバイスを行っています。

腎臓病の食事の基本1「たんぱく質をとりすぎない」

腎臓病の食事の基本1「たんぱく質をとりすぎない」

食事からとったたんぱく質は、腎臓で処理され、不要なものは老廃物として尿の中に排せつされます。たんぱく質をとり過ぎると老廃物が増えるため、腎臓病がある人の場合、腎臓に負担がかかります。そのため、日々の食事でたんぱく質をとりすぎないことが重要です。

腎臓病の人のたんぱく質摂取量

腎臓病がある人のたんぱく質の摂取量は、その進行の具合によって異なりますが、「標準体重1kgあたり1日0.6~1.0g」が推奨されています。標準体重とは適正とされる体重のことで、「身長(m)×身長(m)×22」の計算式で求めることができます。たとえば、身長165cmの人の場合、標準体重は約60kgなので、推奨される1日のたんぱく質摂取量は36~60gになります。

健康な人の一般的な食事では、1日に約60~80gのたんぱく質を摂取しているとされています。そのため、たんぱく質制限を行っている患者さんは、食事がもの足りないと感じやすいのです。

「低たんぱく質食品」を活用する

たんぱく質の少ない食材を増やすなどの工夫で、満足感のあるしっかりとした食事をとることが可能です。その場合、市販の「低たんぱく質食品」を活用するというのも、よい方法の1つです。低たんぱく質食品は、腎臓病などの食事療法を目的に、たんぱく質の含有量を少なく調整したものです。

市販の低たんぱく質食品

「低たんぱく質ごはん」の場合、1食分のパックを電子レンジで加熱して食べるものや、炊飯器などで炊くお米などが市販されています。ふつうのごはんの場合は100gに含まれるたんぱく質は約2.5gですが、たとえば「たんぱく質1/25」の製品の場合、たんぱく質は約0.1gとなります。

低たんぱく質食品は、ほかにも餅、そば、うどん、スパゲッティ、パン、小麦粉、クッキー、せんべいなど、さまざまな食品があります。こうした食品を使うと、主食などでたんぱく質の量を大幅に減らせる分、肉や魚の量を増やすことができて食事の満足感を得やすくなります。また、十分なエネルギー量も確保できます。低たんぱく質食品は、インターネットの通信販売のホームページから注文できます。

たんぱく質制限をゆるめる場合

年齢や腎機能の程度によってたんぱく質制限をゆるめる

特に、若い世代の患者さんの場合は、将来的に透析治療に至らないようにしたり、遅らせたりするために、しっかりとたんぱく質を制限することが多いです。しかし、たんぱく質の摂取量を減らすと、筋肉量が減少しやすくなるので、高齢や小児の患者さんの場合は、その制限をゆるめるケースもあります。

特に高齢の患者さんの場合、若いころに比べて筋肉量が減少しがちで、さらに筋肉が減ると、寝たきりなどにつながる可能性があります。そのため、筋肉や筋力が大きく減少した状態である「サルコペニア」と診断されている場合などは、たんぱく質の制限をゆるめることがあります。また、小児の患者さんの場合は、体の成長を妨げないために、制限をゆるめます。早期の腎臓病で腎機能があまり低下していない場合は、年齢にかかわらず、過剰にたんぱく質をとらないように注意すればよいとされています。

腎臓病の食事の基本2「エネルギー量はしっかりとる」

腎臓病の食事の基本2「エネルギー量はしっかりとる」

たんぱく質を制限したうえに、摂取エネルギーの全体量が不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーに変えてしまいます。そのため、筋肉量を維持するには、活動量に合わせてエネルギー量をしっかりとる必要があります。

腎臓病がある人の摂取エネルギー量はその人の活動量よって異なりますが、「標準的な活動量の場合、標準体重1kgあたり1日25~35kcal」が推奨されています。たとえば、身長165cmの人の場合、標準体重は約60kgなので、推奨される1日の摂取エネルギー量は1500~2100kcalになります。特に肥満がなければ、1800~2100kcalが目安になります。

たんぱく質を減らした分のエネルギー量は、たんぱく質と並ぶ三大栄養素である「炭水化物」と「脂質」で補います。炭水化物は米やパン、麺類、いも、果物、砂糖などに多く、脂質は油などに多く含まれています。「低たんぱく質食品」を活用すると、十分なエネルギー量を確保しやすくなります。

ただし、糖尿病や肥満がある場合は、炭水化物や脂質のとり方についても注意する必要があります。担当医や腎臓病の専門医、管理栄養士と相談して、自分に合った方法で行ってください。

腎臓病の食事の基本3「食塩は控えめに」

腎臓病の食事の基本3「食塩は控えめに」

腎臓には、体内の余分な塩分を排せつする働きもあります。そのため、腎臓病がある人が食塩を多くとると、うまく排せつできず体にたまりやすくなります。そうすると血圧が上がり、腎臓にさらに負担がかかってしまいます。そのため、食塩制限も必要となります。

食塩は控えめに 1日3~6g

食塩は1日3~6gを目標にします。ただし、一気に6g未満という目標を達成しようとすると、難しいケースが多くなります。「まずは1日あたり食塩1g減らす」ことから始めて、それを続けることで、いずれ6g未満にするという方法もよいでしょう。医療機関によっては、尿検査によって患者さんの尿から食塩の摂取量を推測することで、個々の患者さんに応じた食塩制限のアドバイスを行っている場合もあります。

「減塩調味料」を活用するなど工夫する

「減塩調味料」を活用するなど工夫する

通常の調味料よりも食塩量を減らした「減塩調味料」には、しょうゆ、ソース、みそ、つゆの素など、さまざまな製品があります。

しょうゆ用のスプレー式容器で減塩

最近では、しょうゆ用のスプレー式容器も市販されていて、使いすぎを防ぐことができます。

食塩を使わずに味付けする工夫

食塩やしゅうゆなどの調味料の代わりに、だし、酢、薬味、スパイス、ハーブなどを活用して、うまみや酸味、辛み、香りなどで味付けすると、食塩の量を減らすことができます。これらを使い分ければ、日替わりで違った味を楽しむことができ、毎日の食事を充実させることにもつながります。

「高カリウム血症」がある場合は野菜や果物に注意

「高カリウム血症」がある場合は野菜や果物に注意

野菜や果物は、体に必要なミネラルの一つである「カリウム」を多く含んでいます。しかし、腎機能の低下が進むと余分なカリウムをうまく排せつできなくなり、体にたまりやすくなります。血液中のカリウムが増えすぎると、不整脈などを起こしやすくなり、命に関わることもあります。

血液検査の結果、カリウムの数値が5.5以上だと「高カリウム血症」と診断され、カリウムの制限も必要になります。その場合、野菜や果物のとり方に注意が必要です。カリウムは水に溶けやすい性質があります。野菜を小さく刻んだり薄く刻んだり、切り口を大きくしたうえで、ゆでて、ゆで汁をこぼすと、カリウムを大きく減らすことができます。

1日3食のメニュー例

【監修】新潟大学医歯学総合病院 管理栄養士 小師 優子
実際に、腎臓病がある患者さん(高カリウム血症がない患者さん)が食べている病院食の例を紹介します。

朝食

腎臓病患者の朝食メニューの例

  • 低たんぱく質ごはん、ふりかけ、オムレツ、牛乳、生野菜サラダ、バナナ

昼食

腎臓病患者の昼食メニューの例

  • 低たんぱく質ごはん、冷ややっこ(減塩しゅうゆを使う)、ほうれんそうのソテー、オレンジ、かれいのバター焼き、しめじとたまねぎのソテー、生野菜サラダ

夕食

腎臓病患者の夕食メニューの例

  • 低たんぱく質ごはん、つくね焼き、フルーツ白玉のシロップがけ、きゅうりの甘酢あえ、野菜のカレー炒め

この3食の合計で、エネルギーは1855kcalと十分とることができ、たんぱく質は51.4g、食塩は5.9gといずれもしっかり制限できています。

献立のポイントは、「低たんぱく質ごはん」を3食とも使用することで、エネルギー量を確保しつつ、たんぱく質の量を減らすことができます。その一方で、卵や魚、肉、大豆製品などの良質なたんぱく質を含む食品を取り入れることができています。また、白玉だんごや、シロップに含まれる砂糖で、効果的にエネルギー量を補っています。味付けは、酢やカレー粉などを使って、食塩量を抑えています。

腎臓病のある人が楽しめるメニュー

【考案】シェフ 関本 拓夫さん

食塩を使わない「トマトや蜂蜜のドレッシングをかけたハーブサラダ」

食塩を使わない「トマトや蜂蜜のドレッシングをかけたハーブサラダ」

ハーブサラダの材料

【ドレッシングの材料(2人分)】
・ミニトマト 40g
・紫たまねぎ 10g
・バジル 0.2g
・オリーブオイル 24g
・バルサミコ酢 10g
・蜂蜜 0.5g
・ブラックペッパー 0.6g
・にんにく 0.2g

【サラダの材料(2人分)】
・リーフサラダ 40g

【作り方】

  1. ミニトマトは半分に切り、紫タマネギとバジルは細かくちぎり、にんにくはすりおろします。
  2. ドレッシングの材料を混ぜ合わせたら、お皿に盛りつけたリーフサラダにかけて完成です。

低たんぱく質ごはんを使った「パエリア バレンシア風リゾット仕立て」

低たんぱく質ごはんを使った「パエリア バレンシア風リゾット仕立て」

バレンシア風リゾット

【材料(2人分)】
・低たんぱく質ごはん 300g
・あさり 120g
・小えび 60g
・とりもも肉 30g
・トマト 60g
・パプリカ 30g
・オリーブオイル 20g
・チキンブイヨン 120g
・パルメザンチーズ 6g
・サフラン 0.2g
・塩 1.4g
・ブラックペッパー 0.6g
・レモン 20g
・パセリ 0.6g

【作り方】

  1. フライパンにオリーブオイルをひき、とりもも肉、子えび、あさり、細かく刻んだトマト、ごはんの順でいためていきます。
  2. 十分火が通ったら、チキンブイヨン、サフラン、パルメザンチーズ、細かく刻んだパプリカを加えます。
  3. 最後に、塩とブラックペッパーで味をととのえます。お皿に盛りつけたら、パセリをのせ、レモンを添えて完成です。

ビーフシチュー

ビーフシチュー

ビーフシチューの材料

【材料(2人分)】
・牛もも肉 50g
・デミグラスソース 50g
・にんじん 24g
・バター 2g
・砂糖 1g
・塩 0.6g

【作り方】

  1. 鍋にデミグラスソースを入れて、ひとかたまりの牛もも肉を数時間じっくり煮込みます。
  2. そのあと、牛もも肉をいったん取り出して半分に切ったら、再び鍋に入れ、4つに切ったにんじんと、バター、砂糖、塩を加え、数十分ほど煮込みます。お皿に盛りつけて完成です。

イチゴとブドウのゼリー 赤ワイン風味

イチゴとブドウのゼリー 赤ワイン風味

イチゴとブドウのゼリー 赤ワイン風味の材料

【材料(2人分)】
・粉寒天 3g
・水 100mL
・グラニュー糖 12g
・レモン 少々
・オレンジ 少々
・イチゴ 20g
・ブドウ 20g
・ミントの葉 1g

【シロップの材料(2人分)】
・赤ワイン 20g
・グラニュー糖 6g

【作り方】

  1. 粉寒天と水、グラニュー糖、レモンとオレンジの絞り汁を混ぜ合わせたら、容器に入れて冷蔵庫で数時間冷やして固めます。
  2. 赤ワインとグラニュー糖は、鍋に入れて弱火で軽く加熱し、アルコールを飛ばします。そのあと冷蔵庫で冷やします。
  3. ゼリーが固まったら、半分ほどに切ったイチゴ、ブドウと一緒にお皿に盛りつけます。
  4. シロップをかけ、ミントの葉をのせたら完成です。

この4品合計で、エネルギーは742kcal、たんぱく質は16.6g、食塩は1.8gと、いずれも1食分として適度な量となっています。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年3月号に詳しく掲載されています。

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