塩分をとり過ぎたときの対処法とは?病気の危険と塩分摂取の目標値

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食で健康づくり

塩分摂取の目標値

厚生労働省の出す「日本人の食事摂取基準」では、食塩の摂取の目標値は男性1日7.5g未満、女性6.5g未満です。5年前と比べると、男女ともそれぞれ0.5gずつ引き下げられています。

平成20年から30年までの10年間の食塩摂取量の変化

実際に成人が1日に摂取している平均的な食塩相当量は、平成20年から30年までの10年間で男女とも減少してはいるものの、基準にはほど遠くなっています。

引き下げの理由は?

ナトリウム(食塩)は、血液など体液の材料になるもので、生きるために必須な栄養素です。しかし、ナトリウムの過剰摂取は、慢性腎臓病胃がんの発症との関連が考えられており、高血圧から循環器疾患、脳卒中の原因にもなります。
減塩することで、これらの発症率や重症化を抑え予防することができます。

実は、最低必要量は1日1.5gで、日常の食生活で不足や欠乏の可能性はほぼありません。しかし、1日1.5gまでという極端な減塩を行うと、特に高齢者では味がもの足りないことから食欲が落ち、体力低下などにつながるおそれがあります。このため前回より0.5g引き下げられるにとどまりました。

食塩とり過ぎへの対処法

食塩のとり過ぎ対処法 カリウムの効能

食塩のとり過ぎを抑えるには、野菜などに含まれるカリウムが役立ちます。カリウムは、ナトリウムを体の外に尿として排泄させる働きがあります。カリウムをとることで、循環器疾患・脳卒中など、高血圧が原因と考えられる病気による死亡率が低くなるとされています。

ただし、病気や高齢者で体力が低下している方は、医師に相談して取り組む必要があります。特に腎臓病の方は、カリウムのとり過ぎに注意してください。

カリウムが多く含まれている食材は、ほうれんそう、枝豆、バナナ、キウイフルーツ、里芋、納豆、昆布、ピーナッツ、メロン、すいか、抹茶などがあります。

減塩食品を使ったレシピや地域の取り組み
減塩鍋レシピと塩分チェックシート

アブラの健康的な摂取量

アブラは、どのような質、どのような種類の脂質を摂取するかが重要となってきます。脂質に含まれる脂肪酸は大きく3種類に分けられます。

飽和脂肪酸

体内合成できるので、必須エネルギーではなく意識してとる必要がありません。むしろ過剰にとると、コレステロールが増加し、心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクが高まります。

また、脳出血・脳梗塞の発症につながることが示されています。そのため飽和脂肪酸の摂取は、18歳以上の人で、全エネルギーの7%以下にすることが目標です。

飽和脂肪酸が多く含まれる食材は、牛脂、バター、生クリーム、クリームチーズ、牛肉、豚肉、鶏肉などがあります。

多価不飽和脂肪酸

体の中で合成できないn-6系やn-3系といった脂肪酸を含みます。欠乏すると、皮膚炎などを発症するので必須栄養素となります。
飽和脂肪酸を減らし、多価不飽和脂肪酸を増やすと心筋梗塞、循環器疾患などの発症率が下がることがわかっています。

多価不飽和脂肪酸が多く含まれているのは、キャノーラ油、ベニ花油、亜麻仁油、えごま、くるみ、いわし、うなぎ、さんま、まぐろ、さば、ぶりなどがあります。

多価不飽和脂肪酸は、生活習慣病のリスクを下げるという意味で重要です。サプリメントのような形で摂取して予防効果があるかどうかは、まだ証明されていません。

一価不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸の代表的なものとして、オリーブオイルなどがあります。オリーブオイルには、特に懸念すべき健康への弊害はありません。しかし一価不飽和脂肪酸の中でも、工業過程で人工的に作られるトランス脂肪酸には、注意が必要です。本来、人体にはない栄養素で、循環器疾患(冠動脈疾患)のリスクになります。トランス脂肪酸は、全エネルギーの1%未満が目標値で、なるべくとらないようにしましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年6月 号に掲載されています。

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