脳卒中の3つのタイプ:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血 前兆や症状について

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脳卒中脳梗塞脳出血吐き気言葉が出ない麻痺(まひ)がある脳・神経

脳卒中のリスク

脳卒中のリスク

脳卒中は、はじめ症状が軽くても2~3日経過して急に悪くなることがあります。脳卒中が疑われる場合は早めに医師の診察を受けることが望まれます。
脳卒中で一番問題になるのは、後遺症が残る人が多いということです。1回発症するとおよそ7割の人に何らかの後遺症が残ります。また、寝たきりになる原因として最も多いのが脳卒中と言われています。加えて脳卒中は、認知症や高次機能障害の原因にもなります。

脳の損傷で起きる後遺症「高次脳機能障害」とは

脳卒中の3つのタイプ

脳卒中の3つのタイプ(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

脳卒中は、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の中の細い血管が破れて出血する脳出血脳動脈瘤という血管にできたこぶが破裂して出血するくも膜下出血の3つのタイプに分けられます。

脳梗塞とは

脳梗塞とは

脳梗塞は、脳の血管が詰まる病気です。血管が詰まった先の血液の流れが悪くなると、脳の神経細胞が死んでしまいます。

脳出血とは

脳出血とは

脳出血は、脳の中の細い血管が主に高血圧で傷み、血管が切れてしまうことで発症します。脳の血管が切れると、脳の中に血液の塊(血腫)ができ、脳の一部が働かなくなります。加えて、正常な部分の脳を圧迫し、障害が出てきます。

くも膜下出血とは

くも膜下出血とは

くも膜下出血は、血管が二股に分かれている箇所に起こります。血管が弱い場所があり、そこが年とともにだんだん膨らんできて「動脈りゅう」と呼ばれるこぶができます。このこぶが破けると、くも膜下出血を発症します。くも膜下出血では脳の中というよりも、脳の表面を覆うように出血が一瞬のうちに広がってしまいます。命を落とすような重い脳出血になることが多くあります。

脳卒中によくある5つの症状

脳卒中によくある5つの症状

脳梗塞と脳出血の症状は非常によく似ています。「半身のまひ・しびれ」「ろれつが回らない・言葉が出ない」「立てない・歩けない・ふらふらする」「視野の半分が欠ける・ものが二重に見える」といった症状が現れます。
くも膜下出血は上記の症状は現れにくく、「突然の激しい頭痛」が最大の特徴です。

半身のまひ・しびれ

脳梗塞・脳出血によくある症状「半身のまひ・しびれ」

脳卒中の症状は、右半身もしくは左半身のどちらか片側に起こるのが特徴です。まひやしびれといった運動神経や感覚神経の障害が起こることが一番の特徴です。

ろれつが回らない・言葉が出ない

次に言葉の症状が挙げられます。主に2つあり、ろれつが回らない・うまくしゃべれないケースと、言葉が出ない言語障害というケースがあります。ろれつが回らないのは、話すための口や舌の筋肉の神経がまひすることが原因と考えられています。また、言葉が出ないという症状は、脳の言語中枢の障害に起因します。

立てない・歩けない

半身のはっきりとしたまひはないものの、うまく立てない、歩こうとするとふらふらしてバランスが悪いといった平衡障害は小脳の働きに影響が出ていることに起因しています。

視野の半分が欠ける・二重に見える

脳梗塞・脳出血によくある症状「視野が欠ける・ものが二重に見える」

脳卒中の症状として、目に影響が出ることがあります。視野のちょうど半分が見えなくなり、視野が狭くなるほか、両目で見るとものが二重に見えるということもあります。これは視覚中枢や眼球運動神経の障害によるものです。

突然の激しい頭痛

くも膜下出血の場合、バットでいきなり後ろから殴られたような頭痛、人生で経験したことがないような頭痛などと表現されることがあります。

脳卒中の前兆

一過性脳虚血発作(TIA)

一過性脳虚血発作(TIA)

脳梗塞の場合は、発症前に脳梗塞と同じ症状が一時的に現れる一過性脳虚血発作(TIA)が起こることがあります。一過性脳虚血発作は、脳の血管に血液の塊である血栓が一時的に詰まるために起こりますが、詰まった血栓がもろいため短時間で溶けてしまいます。すると、血流が再開し、症状は自然に治まります。
しかし、TIAを起こした人の3~4割が、その後に脳梗塞を発症します。特に、TIAを起こして1~2日間が危険です。放置した場合、翌朝に脳梗塞を発症する危険性もあるので、その日のうちに救急病院へ行くことが大切です。

くも膜下出血では2~3割の人が事前に頭痛を経験

脳出血の場合は前兆がほとんどありませんが、くも膜下出血では、2~3割の人が事前に頭痛を経験しています。いつもと異なる頭痛が突然起こった場合は、急いで救急病院へ向かうことが大切です。

脳卒中が疑われたら

重い脳卒中では意識障害が起こりますが、意識障害のない脳卒中も多くあります。
脳卒中は一刻を争う病気です。一命を取り留めた場合も、約7割に後遺症が残ると言われています。疑わしい症状が現れたら直ちに救急車を呼びましょう。

【くも膜下出血の体験談】ある朝、突然意識を失って・・・

よくあるご質問

『Q&A 脳梗塞』はこちら

『Q&A 脳動脈瘤』はこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    脳卒中 徹底解説「5つの症状を知る」