NHKさいたまブログ

第46回創作テレビドラマ大賞「月食の夜は」、25日の夜に放送されます。
家族の介護やケア、身の回りの世話を担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」がテーマのオリジナルストーリーです。

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埼玉県内でロケが行われました。演出を手掛けた相澤一樹ディレクターに、ドラマに込めた思いや出演者の魅力などを聞きました。

「月食の夜は」

高校受験で進路を決める季節。宮内駿(吉田日向)は、同級生の岸本翠(外原寧々)を好きになる。明るく振る舞う翠だが、実は心の病を患う母・美代子(安達祐実)を抱えていた。家で葛藤する翠の姿を垣間見てしまった駿は、進路など考える余地もない翠を思い、何とか彼女の力になれないかともがく。ある夜、絶対にしてはならない過ちを犯しそうになった翠のもとに駿が現れ、全てを察した駿は珍しい月食鑑賞に彼女を誘い出す…。

 

ヤングケアラーの当事者だった方に話を聴くなどして、理解を深めたという相澤ディレクター、
「実は我々が思っている以上に社会に存在するけれども、問題として見えにくいというところが難しさだと感じました。」

家族の介護やケアを行っている事実を打ち明けられない、打ち明けたくない。そんな気持ちから、学校では明るく友達と話しているようなヤングケアラーもいる――子どもたちの葛藤をドラマのなかで描くことに腐心したといいます。

 

ドラマのロケは、鴻巣市や春日部市、狭山市など埼玉県内で行われました。ロケ地に埼玉県内の各地を選んだ理由については、
「ほどよく地方でほどよく都市――この問題は日本のどこにでも普遍的にありうるんだということが伝わるようなところにしたいなと思って埼玉県内各地をロケ地として選びました。」

 

ヤングケアラーの岸本翠を演じるのは外原寧々さんです。
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「繊細さと無邪気さ、そして静かで力強いたたずまいが同居している演技が魅力的でした。注目してもらえると嬉しいです。」

翠に恋心を寄せる宮内駿を演じるのは、吉田日向さんです。
「パプリカ」を歌ったユニット「Foorin」のメインボーカルを務めていました。
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「吉田さんの演じる役はいろんなものを受け止めるという役です。パプリカを歌い踊っていたときの表現力とは異なる、現場で思ってもみなかった演技を見せてくれた、それが印象的でした。」

撮影では、繊細な心情を表現する二人の気持ちに寄り添うことを心がけたといいます。
「中学生の気持ちをどう表現するか、実際に演じてみて二人が感じたことを大切にしたいと思い、『現場で感じていることを大事にしながらやっていこう』と二人とは話して撮影を行いました。」 

 

【ヤングケアラー】
「ヤングケアラー」とは、家族の介護やケア、身の回りの世話を担う18歳未満の子どものことです。ヤングケアラーは家族の介護などに追われることで、勉強時間や友人との時間が十分に取れなかったり、進路を変えざるを得なかったりする問題に直面するということです。しかし、家庭内での問題ということで、実態の把握が難しいうえ、当事者の子ども自身が、その生活が“当たり前”になっていて声を上げなかったり、困ったときにどこに助けを求めていいのか分からなかったりするケースも多く、表面化しづらくなっています。

ヤングケアラーについての記事はこちら

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