若手を抑え56歳にして和歌山県のアマチュアテニスの頂点に立つ選手。和歌山市の中井佳代子さん。一体どんな選手なのか、なぜそんなに勝ち続けることができるのか伺いました。
出演に先立ち、中井さんの練習を見せていただきました。まず感じたのが、ストロークの強さ。若い選手が放つような力強いボールを打っていました。常にボールの軌道がネットぎりぎりのかなり低い弾道。最短距離で相手に届けるスピーディーなストロークでした。
練習を続けていると次第にボールの強さに磨きがかかり、相手もそのボールに押され、ネットにかけるなどミスが出ます。「いやー、これは見事!」のひと言です。
もともと、学生時代はソフトテニスの選手で、全国大会準優勝の経験もある中井さん。その当時から腕を振る力には自信があったそうです。学生時代と比べて衰えはもちろんあるものの、今も仕事と家事のかたわら週5日の練習を欠かさないことで、その力強さを維持させています。
練習時間も長いときには3時間、4時間にもおよぶなど、ほんとうにテニスにのめりこんでいます。
ただし、その力強いストロークだけでは試合には勝てません。そこで中井さんが取り組むのは、相手が嫌がるプレーをすること。粘り強くボールを返したり、相手を両サイドに振って走らせたりと、特に攻めを強調していました。
さらに、試合状況を見ながらわざとチャンスボールのロブを上げミスを誘うなど、相手の状態も見つつそんなボールも繰り出すそうです。
なかなか考えた試合運びですが、それだけに勝利へのこだわりが強くあるんだと感じました。
今も一線級で続けられる原動力は、一番は健康のためだということでしたが、和歌山県でのランキング1位でいることについては、若い人にも頑張ってもらい、わたしを押し退けてどんどん上がってきてほしいと話していました。ところがお話を聞いていくと「やるからには勝ちたい。試合に出る以上はすべて勝つつもりでやっています」と力強いお言葉がありました。
気力、体力ともに充実している中井さん。これからも好きなテニスを楽しみながら続けてほしいと思います。
全国高校総体の陸上男子100mで25年ぶりの連覇。一度勝つだけでも大変なのに、2年も続けて優勝するという偉業を成し遂げた選手が和歌山にいるんです。和歌山北高校の九鬼巧選手。今後の日本短距離陣のトップを狙っていこうかという逸材に、今回スタジオへ来ていただきお話を伺いました。
高校3年間のさまざまなレースを終えて今はオフシーズン。ほっと一息つける時間ということでした。
九鬼選手が一気に全国の舞台でその名をとどろかせたのが、去年の全国高校総体。2年生にして、先輩たちを押しのけ見事初優勝を果たしました。
それまでは、高校1年生の時の国体5位が最高。自分としては、高校1年生から2年生にかけ一気に伸びたと話していました。その要因は、1年生の冬の練習だったそうです。
九鬼君が「冬季練習」と繰り返し言っていましたが、そこでの走りこみやウェイトトレーニングなどに、じっくり取り組んだことで、走りが数段よくなったんだそうです。
しかし、2年生にして高校日本一となって以来、苦しい時期が続きました。3年生の春先に故障もし、伸び悩んだといいます。この原因が、皮肉にも「冬季練習」だったとのこと。
2年生での飛躍的な伸びがあり、そのシーズンは12月になっても国際大会に出場したりで、じっくり冬季練習を積めませんでした。調子が上がらない中、ことしも全国高校総体に勝てるのか。そんな不安がある中、九鬼君はさらに自分を追い込みました。総体前の大事な時期に、また国際大会への出場を決めたのです。
その大会から数日で総体。長い移動時間や、時差ボケなどもあり調整が難しくなりますが、あえて「国際大会での経験も積みたい」と強行日程で総体に挑むことにしました。状態がよくない中での総体決勝、スタートで出遅れながらも中間走でスピードに乗って追い上げ、最後はわずかの差で2位以下を振り切って優勝。なぜ勝てたのかの問いに、「2連覇したい、優勝したいという気持ちがほかの選手より上回っていたからでは」と答えました。調子の悪さを、気持ちでカバーしての勝利でしょうか。
それにしても、大事な総体前の国際大会挑戦。何事も貪欲にチャレンジしていく姿。逆境でも強い気持ちを持って臨む精神力。九鬼君の、数字だけでは測れないすごさを感じました。
来春からは陸上の強豪早稲田大学へ。どんどん意欲的に取り組んで、世界にその名をとどろかせてほしいと思います。みんなで九鬼君を応援しましょう!!