今回はサッカーの話題です。和歌山からJリーグチームを生み出そうと活動しているクラブチームのアルテリーヴォ和歌山。地道に実績を積み上げ、この冬は和歌山県リーグから、その上の関西リーグ昇格をかけた戦いを行っています。
しかしアルテリーヴォのJリーグへの道は険しく、まず今目指している関西リーグの上位に入り、各地域リーグの上位チームとの戦いで勝ち抜きその上のJFLを目指します。さらにそのJFLでも上位に入り、Jリーグチームとして戦えるかどうかの判断を突破し、初めてJリーグへ昇格…。なかなか遠い道のりですが、是非Jリーグという夢を実現させてほしいものです。
さて、今回ご紹介したのは、チームのキャプテンを務める阿部巧也選手です。以前にも天皇杯出場を決めた際、スタジオに出演していただきましたが、今回は阿部選手への密着取材。
阿部選手は山形出身で、これまで京都、群馬、沖縄とJFLなどのチームに在籍し、群馬や沖縄ではサッカー教室での指導など、主にサッカーのみで生計を立てていました。
沖縄ではキャプテンも務めた中心選手。アルテリーヴォ和歌山より、ゼロからのチーム作りに協力してほしいという誘いで、自分がプレーしていたリーグよりさらに遠ざかりますが、あえて和歌山にやってきました。
「自分が引っ張っていって、チームを押し上げる」という思いの持ち主で、熱い男です。最初の年は大阪で仕事をしながらのプレーでしたが、ことしの春から和歌山での仕事を紹介されてやってきました。
普段は、和歌山市のデイサービス施設で仕事をしながらサッカーを続けており、サッカー選手としての阿部さんを後押ししようと、施設のお年寄りの皆さんがいつも熱心に応援しています。試合の際は会場で声援を送ったり、施設内でも試合の映像をみんなで見たりするそうです。
応援の際、阿部選手のミスや不満の残るプレーに対しては「今のはダメやろー」「もっとこうせなあかん」など、なかなか辛口な声も飛びます。それも阿部選手にもっと上を目指してほしいという愛情の裏返しです。応援するときも、批評するときも大きな声が飛び交いますが、それにしても皆さんお元気です。阿部さんの存在が皆さんに元気を与えているんです。皆さん口々に「阿部ちゃんから元気をもらってる」とおっしゃっていました。
そんな阿部選手とアルテリーヴォにとって大事な試合、関西リーグに昇格できるかどうかの試合がやってきました。
デイサービス施設の皆さんも、20人ほど応援に駆けつけ、笛や旗なども使い大きな声援を送った結果、PK戦の末にアルテリーヴォが勝利しました。
PK戦では阿部選手がキッカーをつとめ、落ち着いてゴールネットを揺らしました。その直後、スタンドの皆さんに向けてガッツポーズ。試合後もスタンドに駆け寄り、応援の皆さんと言葉を交わしていました。
阿部さんはお年寄りの生活を支える、お年寄りの皆さんもサッカーの応援で阿部さんを支える。取材を通じ、本当にいい光景だなあと思いました。お互いが刺激しあいながらの日々。お年寄りの皆さんにはこれからも元気で阿部さんを応援してほしいと思いますし、阿部さんには、すばらしいプレーでアルテリーヴォを引っ張っていってほしいと思います。