元サッカー選手の丸山桂里奈さん・本並健治さん夫婦に、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。ベビー用品などの準備はバッチリで、楽しみにしている反面、心配や不安なこともあるといいます。そこで、大日向雅美さんに話を聞いてもらいました。

専門家・ゲスト
大日向雅美(恵泉女学園大学 学長)
丸山桂里奈(元サッカー女子日本代表)
本並健治(元サッカー日本代表)

産後の心の不調はあるの?

丸山桂里奈さん

友人が、赤ちゃんを産んだ後に心の不調を訴えていて、私も他人事ではないなと思っています。

大日向雅美さん

産後は心のバランスを崩しやすいんです。まず、体の面でホルモンバランスが急激に変わります。そこに家族が増えて、子育てで24時間振り回される状態が一時期続きます。それをわかった上で、「私にも来た」くらいの気持ちで、受け止められるといいのかなと思います。


いわゆるマタニティブルーズは、ほとんどの場合、数日から数週間ほどで自然におさまります。 

<不安な方は一度相談を>出産施設/お住まいの地域の助産院・保険センター/助産師の電話相談

ただし長引く場合もあるので、不安な方は出産前から専門機関とつながっておくと安心です。


パートナーの不調を見極めるには?

丸山桂里奈さん

2人が、お互いに相手のことを「不調かな?」と見極めることが大事だと思うのですが、どういうときなんですかね。

大日向雅美さん

「いつもと違うな」がポイントです。例えば、「いつもはテレビを見て一緒に笑っていたのに、なぜか笑わない」などです。

丸山桂里奈さん

私はよく2時間ドラマを見て泣くんですよ。「泣かなかったら」みたいなことですね。

大日向雅美さん

そうですね。いつもは2時間ドラマで泣いて感動するのに、「涙もろいシーンなのになぜ泣かないんだろう」というのは、とてもわかりやすいと思いますよ。


「助けて」と言うこと

大日向雅美さん

自分のメンタルの不調を感じたとき、いちばん大事なことは、誰かに「助けて」と言うことです。桂里奈さんは「助けて」と言えますか?

丸山桂里奈さん

言えるとは思います。でも実際は、本当に自分の限界が来たら「助けてほしい」と言えるけど、そこまでは「自分で何とかできるんじゃないか」と思って言わないかもしれません。

大日向雅美さん

「助けて」と言うのは、とても勇気がいることなんです。ママになったのに育児がつらくて、「情けないんじゃないか」と思いがちですが、そうではない。「助けてください」と言えるのは、それだけ力があることだと考えて、堂々と「助けて」と言っていいと思います。

いざというときのために、あらかじめ助けてくれる先を、ノートなどにリストアップしておくと安心ですね。

丸山桂里奈さん

うちは余っているノートがたくさんあるので書きやすそうです。

大日向雅美さん

すばらしいですね。冷蔵庫など、目に見えるところに貼っておくのもいいでしょう。本並さんは「助けて」と言えますか?

丸山桂里奈さん

言わないでしょうね。

本並健治さん

スポーツをやってきた影響か、基本的には自分の中で解消してしまうタイプですね。

大日向雅美さん

やっぱり子育てはチームプレイなので、本並さんこそ「助けてくれる先リスト」を作りましょう。産後は、パパも心の不調に気をつけてください。


パートナーの不調に気づいたら、どんな言葉をかければいい?

大日向雅美さん

いちばんよくないのは、「母親になったんだろう?」「父親でしょ?」といったことです。これは禁句ですね。それから「頑張って!」もよくありません。これ以上ないくらい頑張っているわけです。だから、「よくやってくれているよね」「大変なんだよね」のように、お互いに言い合えるといいですね。

本並健治さん

とても勉強になります。話を聞けていなかったら、「頑張れ」と言葉をかけていたと思います。

丸山桂里奈さん

本並さんは、いつも「気合いだ!気合いだ!」と言うくらい、気合いや根性を大切にしていることも大事ですが、気合いだけでは乗り切れないこともありますよね。かけてくれる言葉にも期待したいなと思います。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです