毎日大変だけど、ハッピーなことも多いのが子育て。そんな子育てで感じたハッピーを2回に渡りみんなでシェアしていきます。2回目は、子育て中のパパとママがハッピーを感じている瞬間です。番組に寄せられた、さまざまな「ハッピーエピソード」を紹介します。

ハッピーゲスト:
岩立京子(東京家政大学 教授)
あばれる君(お笑いタレント/2児のパパ)

今回のテーマについて

―― 子育て中、ハッピーな気持ちになったエピソードはありますか?

あばれる君さん

子どもが親をいたわる気持ちを垣間見せてくれたときですね。この前、妻がソファーでうとうとしていたとき、息子が小声で「ねぇ、ピザ作ろうよ」と言ってきたんです。聞いてみると、昼にママが「ピザ食べたい」と言ったようで、こっそり作ってサプライズしようというわけです。2人で生地からこねて、顔のようにトッピングしたピザを作って、ママが本当によろこんでくれました。サプライズの心意気がかわいいと思いましたね。


パパ嫌いからパパっ子へ成長

最初に紹介するハッピーエピソードは、2年前に「長男がママのことが大好きで、パパになついてくれない」という悩みで番組に出演したパパからです。あれからどうなったのでしょうか?

お子さん4歳・2歳のパパより

あれから2年たち、今ではすっかりパパっ子になりました。最近では、歯磨きや一緒に寝るのもママよりもパパにおねだりすることが多くなりました。子どもたち2人に絵本を読み聞かせたりしています。

振り返ると、急にパパっ子になったというより、戦いごっこなど2人の共通点ができたり、力がつよくなって私と一緒に遊ぶことが増えたりしたのが大きかったと思います。親子で、あばれる君が好きなことも共通しています。

古坂大魔王さん(MC)

ある日、急に「パパは嫌い、ママのほうがいい」と言われることがありますよね。意外とショックですよね。

あばれる君さん

そうですよね。「ママのほうが大好き」はあるかもしれないです。

岩立京子さん

パパ嫌期はよくあることだと思いますが、パパが嫌なわけではなく、「ママと一緒にいたい」から「嫌い」と言っているようですね。でも、成長にともなって「パパにはこんなよさがある」「ママにはこんなよさがある」とわかって、パパとママで頼り分けていくのではないでしょうか。年齢によって関係性も変わってきます。


きょうだい愛でハッピー

お子さん5歳・3歳・1歳のご家族より

長女(5歳)は、ふだんから弟(3歳)の面倒をよくみています。実は、2人は同じ幼稚園に通っています。でも、長女はもうすぐ卒園です。すると、ある日突然、弟が夜中に泣き出しました。「お姉ちゃんがいなくなったら、幼稚園で僕の面倒を誰が見てくれるの?」と言うのです。

お姉ちゃんが幼稚園でもお世話をしてくれているんだとわかってハッピーでした。自分のお友だちよりも、弟を優先して遊んでくれていたようです。弟もお姉ちゃんのことが大好きです。
今度、下の子を同じ園に通わせたいと思っているのですが、弟が「自分がお世話をするんだ」と言って、家でも率先して下の子のお世話をしてくれるようになりました。

古坂大魔王さん(MC)

自分がされたことは、人にしてあげようと思いますよね。それが生きているんですね。

鈴木あきえさん(MC)

やさしさがつながっていく感じですよね。

―― 子どもたちのきょうだい愛を感じることはありますか?

あばれる君さん

ある日、子ども2人がリビングで別々に遊んでいたのですが、下の子が文房具からハサミを取り出してカチャカチャやりはじめたんです。そのとき、お兄ちゃんがダッシュしてきて、「危ない!」とハサミをさっと取り上げたんです。ヒーローみたいで、とてもかっこよかったですね。

古坂大魔王さん(MC)

うちも、下の子が生まれたときに、お姉ちゃんが「小さいおもちゃは食べちゃうから隠そう」と言ったんです。でも、自分が大きくなったから買ってもらえて、遊びたいおもちゃのはずなんです。まだ3歳だけど危ないとわかるんだと思って、うれしくなりましたね。

―― 岩立さん、こんなきょうだいのやりとりについて、どう思いますか?

岩立京子さん

お姉さんの卒園は、弟にとって第2の自立の時期ですね。下の子をお世話すると同時に、自分も横のつながりを広げていきながら、遊び込んでいく・学んでいくことも必要です。私も園長を務めていたことがありますが、あまりにきょうだいの思いやりが過ぎると、一緒にいたがってしまうことがあります。その気持ちを大事にしながらも、横に広がっていくのではないかと思います。


ふとした瞬間 〜あの時、あの言葉〜

子育て中、ふとした瞬間にかけられた言葉に感動したり、ハッピーな気分になったりすることはありませんか? みなさんから寄せられた、そんなひと言を紹介します。

「頑張れママ!」

大阪府 えみさんより

子どもがイヤイヤ期真っ盛りの2歳のころ、泣き叫び道路にうずくまる子どもと格闘していたときに、「ここで折れられないよね~ 根比べやね~ 頑張れママ!」と通りすがりの方に言ってもらえました。

イヤイヤ期がすごいときで、外に出ると周りの目も気になっていたので、うれしくてひっそり泣いた出来事です。

古坂大魔王さん(MC)

この番組でいつも言っていますが、重要なことですよね。これが、社会が変わることだと思います。子育てをしていると、周りが外部に見えるから、どうしても「すみません」という気持ちになります。そこで、「何を言ってるの、うちらもやってたよ」「うちの子はもっとすごかったんだよ」と言ってもらえると、励みになりますよね。

―― あばれる君は、ハッピーを感じたふとした瞬間はありましたか?

あばれる君さん

ある日、息子をだっこしていると、20歳ぐらいの若い方が赤ちゃんに「べぇ」「わぁ」として、笑わせようとしてくれたんです。こんなに若くて思いやりがあるんだと感じて、とてもうれしかったですね。「ありがとう」と伝えて、いちばん笑っていたのは私かもしれません。

「よくここまで育てたね!」

神奈川県 お子さん3歳双子のご家族より

うちの双子は仲よしで、家の中でも、外出していても一緒です。ある日、買い物で出かけたとき、ふと通りかかったおばさまにハッピーな一言をかけられました。それは、「よくここまで育てたね!えらいね」でした。

双子なので、ふだんから「かわいいね」「大変ね」と声をかけてもらえます。でも、こんなふうに言ってもらえたのがはじめてで、「頑張りました! ありがとうございます!」と返事をしたんです。あとから考えると、まだ3歳だけどここまで無事に育ってくれたなと思って、感慨深い気持ちになりました。

鈴木あきえさん(MC)

双子のお子さんを育てるのは、とても大変ですよね。

岩立京子さん

ハッピーさも2倍ですが、大変さは3〜4倍ですよね。オムツ替えをしているともう1人が泣いたり、ベビーカーも2人分だったり。何もかも同時にやっていく大変さは、想像を絶するものだと思います。

―― 岩立さん、実は双子のお子さんが「パパ嫌期」になっているようです。パパはめげずにアタックしたほうがいいのですか?

岩立京子さん

無理に接近しないで、成長を少し遠くから見守りましょう。「パパ嫌」と言われたら、「パパ悲しい~」と応えるなど、少し距離をとるのです。そのうち、ママがパパとの間をつないでくれたり、子どもがパパのよさをわかってきたりします。焦って急に接近しないほうがいいでしょうね。

「家にいるときくらい作りたいから」

匿名希望さんより

最近、次男(2歳)のイヤイヤ期真っただ中です。夫は仕事が忙しく家を空けることが多いのですが、「今日大変だったでしょう、大丈夫?」「いつもいなくてごめんね」と、仕事でいない週末や、子どもといる時間が長かった日はやさしく声をかけてくれます。
ある日、家族で出かけていた帰り道、一日中外にいて遊び疲れて、夕飯をつくるのもおっくうでした。すると夫が、「今日何食べる?おれが作るよ」と言って、スーパーに寄って材料を買って、あんかけ焼きそばを作ってくれました。
「家にいるときくらい作りたいから」と、さらっと言ってくれて、あばれるも疲れているはずなのに、気を遣ってくれて感謝しかありませんでした。

古坂大魔王さん(MC)

匿名希望ですが、もしかしてあばれる君のことですか?

あばれる君さん

びっくりしました! 似たエピソードがあると思って聞いていたら、最後に「あばれる」と。妻は、私のことを「あばれる」と呼ぶんです。呼ばれるまで気づきませんでした。

鈴木あきえさん(MC)

あばれる君、ハッピーの涙が流れていますよ!  

あばれる君さん

いやぁ、もうこれはハッピーじゃなくて、ナッミーですよ。本当にびっくりしました。

―― こういった声かけは、言い続けているのですか?

あばれる君さん

「家にいるときくらいは作りたい」は、言った覚えがないですね。自然と言ったのかもしれません。妻の印象に残っているんですね。

鈴木あきえさん(MC)

あばれる君が言った記憶がなくても、言われた側はハッピーが残りますよね。ハッピーの涙からも、家族のことが大好きなんだと伝わります。


パパとママのところに来てよかった

お子さん6歳のママより

ひとり娘は幼稚園の年長さんです。妊活や不妊治療の末、娘を出産したのは43歳のときでした。高齢出産ということもあり、「私でいいのかな」と思ったり、母乳が出なくて栄養が心配になったり、娘にしてあげられることが少ないように感じていました。

そんな娘が、最近言ってくれた言葉にハッピーが詰まっていました。「パパとママのところに来たんだよ、来てよかったよ、幸せだよ」と言うのです。「私でよかったんだ」と思わせてくれました。
娘は、今ではしゃべりますが、幼稚園に入園したころはあまりしゃべらない子でした。そのとき、小さい子扱いされているところを見て、娘の成長が遅いなら遅いなりにサポートしなければいけないと思いました。高齢出産ゆえに前倒しでしないと体力的にできないことが出てくるので、早期教育を調べるなどしました。自分が遅く産んだことで苦労させたくないと考えていたんです。

幼稚園の連絡ノートを見ると、パパと私が細かくびっしり書いていて、伝えきれないものは付箋に書いて貼っていました。子育てが思い通りにいかず、深く落ち込んだこともあります。そんなときに心の支えになってくれたのがパパでした。夫は娘をほかの誰かと比べることなく、「子どもは自分でなんとかしていくから大丈夫だよ」と言って、寄り添ってくれたんです。

だけど、娘はママがちゃんと寄り添ってくれていることを知っていました。「ママと遊ぶのがめっちゃ楽しい。ママが本当に大好きだから」と言います。

娘が撮影した大事にしている写真があります。パパと私の写真です。「どうして撮ったの?」と聞いたら、「ママ大好きだから、パパもめっちゃ好きだから、ほんとに今ハッピーだけどな」と言ってくれました。

古坂大魔王さん(MC)

いろんな「好き」を聞けましたね。子どもに「大好き」「めっちゃ好き」「ハッピーなんだ」と言われたら、本当によかったと思いますよね。

あばれる君さん

生きててよかったと感じますよね。「幸せ」と言っている子には、幸せが舞い込んでくると思います。育てているパパ・ママは、なおさら感じていると思います。パパもママの思いをくみ取って頑張っていると感じました。やさしいですよね。

岩立京子さん

たくさんのご家族のハッピーに出会って考えてみると、ママのハッピーの源泉は2つあると思いました。1つは、夫や身近な人からの労いの言葉やサポート。もう1つは、子どものたしかな成長の実感・手応え。それですべてが報われるような気がしましたね。

古坂大魔王さん(MC)

子どもは、親に感謝の気持ちを伝えないといけませんね。やはり子どもの言葉は響きます。

鈴木あきえさん(MC)

そうですね。私たちも親であり、子どもでもありますからね。

あばれる君さん

子どもが幸せなのは、そのパパ・ママが受け継いでくれたからですよね。バトンを渡され、私も親になれたのですから。やっぱり感謝ですね。

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです