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静岡 障害者が企業で仕事体験 雇用率アップの制度改正前に 63社126人が参加

  • 2024年02月27日

法律で義務づけられている障害者の雇用率がことし4月から引き上げられます。実施を前に、静岡県では、障害がある人が企業で実際に仕事を体験する取り組みが、藤枝市や焼津市など志太榛原(しだはいばら)地域で行われています。

障害者の就労体験 現場では…

この取り組みは企業と障害者のミスマッチをなくすのが狙いで、63の企業が合わせて126人を受け入れています。今回、焼津市にある食品包装資材の製造などを手がける会社を取材しました。

石田開さん

ここで仕事を体験したのは、焼津市内に住む石田開さん(26)です。自閉症で知的障害があります。石田さんは、ふだんは、障害者の就労支援施設で自動車部品の組み立てなどの仕事を1日4時間、週5回行っています。

企業で仕事をしたことがなく、少し緊張気味の石田さん。まず頼まれたのは、伝票の番号と荷物の番号が一致しているか確認する仕事です。続いて、包装に使うフィルムを工場内に運ぶ仕事を行いました。荷降ろしに手こずっていると、すかさず社員が声をかけます。

社員

大丈夫ですか?大変ですか?

石田さん

大変です!

いまも5人の障害者が働いているというこの会社、今回石田さんが仕事を体験したのはこれまで障害者が働いたことがない部署でしたが、社員たちは仕事の内容をわかりやすく丁寧に説明しようと努めていました。

社員

中の物が傷つかないように、横からカッターの刃を入れてください。

石田開さん
おもしろかったです。またやりたい。

働きやすくするための工夫

石田さんが仕事を体験したこの会社では、障害がある人もない人も、ともに働きやすい環境をつくろうとさまざまな取り組みを行っています。

例えばこちら。トレイの中の納品伝票を整理する作業です。「やっといてくれると助かるよ」と書かれた札を目立つ位置に置き、その場その場でやってもらいたい仕事の内容が一目でわかるようにしました。

さらに去年10月には、障害のある人の仕事をサポートするチームを社内で立ち上げ、有志の社員13人が参加しています。

サポートチームに参加した社員

精神障害、発達障害を考えるチームの一員です。障害について知らないことがたくさんあったので、自分自身の知識としてもすごく広がっています。障害者が働いていない他部署にも、障害者雇用について「こんな工夫があるよ」と知らせる役割ができるかなと思います。

受け入れた企業の担当者 長谷川智巳さん

受け入れた企業の担当者 長谷川智巳さん
障害者ひとりひとり、得意なことも不得意なこともみんなそれぞれ違う。その人の強みを生かしてあげることで仕事と結びつけられたらいいのかなと思います。

企業で働く経験を生きがいに

取り組みを企画した、障害者の就業を支援している団体の夏目芳行さんは、次のように話しています。

障害者就業・生活支援センターぼらんち 夏目芳行センター長

障害者就業・生活支援センターぼらんち 夏目芳行センター長
企業で働くことがすべてではないと思うんですけれど、一度は企業で働くということを体験してもらいたいなと思っていますし、人それぞれだとは思うんですけれど、それが生きがいになる方もいらっしゃるのではないかと思います。

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