北朝鮮 弾道ミサイル発射 日韓首脳会談をけん制か

防衛省は、3月16日午前7時すぎ北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射され、1時間余り飛行したあと、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したとみられると発表しました。また、防衛省はその弾道ミサイルについて、ICBM=大陸間弾道ミサイル級だと発表しました。
これまでのところ船舶や航空機への被害の情報はないということで、防衛省が警戒と監視を続けています。

防衛省によりますと、16日午前7時9分ごろ北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発が東の方向に発射されました。

ミサイルはおよそ69分間飛行し、午前8時18分ごろ、北海道の渡島大島の西、およそ250キロの日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したと推定されています。
これまでのところ船舶や航空機への被害の情報は入っていないということです。

北朝鮮が弾道ミサイルや弾道ミサイルの可能性があるものを発射したのは14日以来で、ことし6回目となります。またミサイル発射は、北朝鮮が発表した戦略巡航ミサイルを含めると、ことし8回目です。
北朝鮮はアメリカ軍と韓国軍が合同軍事演習を行うなか、米韓両国への対決姿勢を鮮明にしています。

また岸田総理大臣は、16日、韓国のユン・ソンニョル大統領と会談します。防衛省が北朝鮮の発射の意図を分析するとともに、警戒と監視を続けています。

浜田防衛大臣は「アメリカなどとも緊密に連携し、情報の収集や分析および警戒監視に全力を挙げるとともに今後追加して公表すべき情報を入手した場合には速やかに発表したい」と述べました。

岸田首相「同盟国との連携よりいっそう緊密に」

岸田総理大臣は、午前8時半すぎ総理大臣官邸に入る際、記者団に「北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。私からは、国民への情報提供と安全確認の徹底を指示した。このあと報告を受けてNSC=国家安全保障会議の4大臣会合を開催する」と述べました。

そして「北朝鮮の意図を申し上げる立場にはないが、地域の平和と安定は、関係国にとって大変重要な課題であり、同盟国、同志国との連携もよりいっそう緊密なものにしていかなければならないと感じている」と述べました。

“船舶への被害の情報なし” 海上保安庁

北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたとみられることを受け、海上保安庁が日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

“北朝鮮 スナン付近から1発発射” 韓国軍発表

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が16日午前7時10分ごろ、首都ピョンヤン近郊の国際空港があるスナン(順安)付近から長距離弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。

通常より高く打ち上げる「ロフテッド軌道」か 政府関係者

複数の政府関係者によりますと、北朝鮮から発射された弾道ミサイルの可能性があるものは、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、まだ落下していないとみられるということです。

今回の発射について、政府関係者の1人は「今月13日から行われている米韓合同軍事演習への反発に加えて、16日に行われる日韓首脳会談をけん制するねらいがあるのではないか」と話しています。

“北朝鮮が日本海に向け弾道ミサイル発射” 韓国軍

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したと16日午前7時17分ごろに発表しました。韓国軍は、アメリカ軍とともに詳しい分析を急いでいます。

北朝鮮は、去年に続いてことしに入ってからも、毎月、弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射を繰り返していて、14日も短距離弾道ミサイル2発を発射したばかりです。
また北朝鮮は、今月13日から行われている定例の米韓合同軍事演習に強く反発していて、朝鮮労働党の中央軍事委員会の拡大会議で「戦争抑止力をより効果的に行使するとともに威力的、攻勢的に活用するための重大な実践的措置を決定した」と、今月12日に発表していました。

韓国の通信社、連合ニュースは、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が16日、就任後初めて日本を訪れて日韓首脳会談に臨むのに合わせて弾道ミサイルを発射したのではないかとの見方を伝えています。

北朝鮮がICBM級の可能性がある弾道ミサイル発射 12回目

防衛省によりますと、北朝鮮が射程5500キロ以上のICBM級の可能性がある弾道ミサイルを発射したのは、2023年2月以来で、今回が12回目です。

前回、2月18日は北朝鮮の首都ピョンヤン付近から発射され、およそ66分飛行したあと、北海道渡島大島の西方およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域内の日本海に落下したと推定されています。

防衛省によりますと最高高度はおよそ5700キロ、飛行距離はおよそ900キロで、ICBM級とみられていて、弾頭の重量などによっては射程距離は1万4000キロを超え、アメリカ全土が射程に含まれる可能性があるとしています。

これについて北朝鮮はICBM級の「火星15型」の発射訓練を行ったと発表しています。

去年11月18日に北朝鮮の首都ピョンヤン付近から発射されたミサイルについて防衛省は、新型のICBM級の『火星17型』と推定されるとしています。

このときの発射の最高高度はおよそ6000キロ、飛行距離はおよそ1000キロでおよそ69分飛行したあと、北海道渡島大島の西、およそ200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられています。

防衛省は弾頭の重さによっては射程は1万5000キロを超え、アメリカ全土に届くとみられるとしています。

ICBM級の9回目の発射は去年11月3日で、最高高度は2000キロ程度、飛行距離はおよそ750キロと推定されています。

8回目は去年5月25日で、防衛省は発射された少なくとも2発の弾道ミサイルのうち最高高度がおよそ550キロとなったものについて、ICBM級と推定されるとしたうえで、「火星17型」の可能性も含め分析を進めています。

7回目は去年5月4日で、最高高度は800キロ程度とロフテッド軌道で発射されたとみられています。

防衛省はこのミサイルについて、ICBM級の弾道ミサイルの可能性も含めて分析を進めています。

6回目は去年3月24日で、北海道の渡島半島の西、およそ150キロの日本海、日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられています。

防衛省によりますと飛行時間はおよそ71分と過去最長で、最高高度は6000キロを超えたと推定されています。防衛省は、弾頭の重量などによっては射程は1万5000キロを超えると考えられるとしています。
この発射について北朝鮮は「火星17型」の発射実験に成功したと発表しています。

5回目は去年3月5日で、防衛省によりますと、最高高度はおよそ550キロで、「火星17型」であったとみられるとしています。

4回目は去年2月27日で、防衛省によりますと、最高高度はおよそ600キロで、ロフテッド軌道で発射されたと推定され、「火星17型」であったとみられるとしています。

3回目は2017年11月29日で、「ロフテッド軌道」で発射されたミサイルの高度は4000キロを大きく超えたと推定され、防衛省は弾頭の重量などによっては射程は1万キロを超えると考えられるとしています。

この発射について北朝鮮は「アメリカ本土全域を攻撃できる新型のICBM、『火星15型』の発射実験に成功した」と発表しています。

2回目の発射は2017年7月28日で、北朝鮮は国営メディアを通じて「火星14型」の2回目の発射実験に成功したと発表しました。1回目は2017年7月4日で、「火星14型」とみられています。

「ロフテッド軌道」で発射され、防衛省によりますと通常の軌道で発射したとすれば射程は少なくとも5500キロを超えるとみられるとしています。

北朝鮮の最近の発射

北朝鮮はことしに入って、
▼元日に「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイル1発を発射しました。
▼先月は18日にICBM=大陸間弾道ミサイル級の「火星15型」1発、
▼20日に「超大型ロケット砲」2発をそれぞれ発射しました。
▼また、23日にも戦略巡航ミサイル「ファサル2型」4発を発射したと、翌日になって発表しています。
▼そして今月に入ると、9日に「火力襲撃訓練」として短距離弾道ミサイル6発を、
▼12日に潜水艦からの発射訓練として、戦略巡航ミサイル2発をそれぞれ発射したと、発表していました。
▼さらに14日には「地対地戦術弾道ミサイル」の発射訓練として、短距離弾道ミサイル2発を発射したばかりでした。