河井元法相 起訴内容の大半
認める 議員辞職意向も

公職選挙法違反の買収の罪に問われている河井克行元法務大臣は23日から始まった被告人質問で「妻の当選を得ようという気持ちがなかったとは言えない」と述べ、これまでの無罪の主張を一転させ、起訴された内容の大半を認めました。そのうえで、議員を辞職する意向を示しました。

元法務大臣の河井克行被告は(58)、妻の案里元議員(47)が初当選したおととしの参議院選挙で現金を配ったとして公職選挙法違反の買収の罪に問われています。

23日から東京地方裁判所で始まった被告人質問の冒頭で、河井元大臣は「全般的に選挙買収を争うことはしない。妻の当選を得ようという気持ちがなかったとは言えない」と述べ、これまでの無罪の主張を一転させ、起訴された内容の大半を認めました。

元大臣はひと言ずつことばを選びながら、ゆっくりと落ち着いた様子で、起訴内容を認めることにした経緯について話し、「多くの皆様に迷惑をかけ、逃げることなく、認めるべきことは認めることが長年支えてくれた支持者に対する私なりの政治家としての責任だと考えるに至った。国政選挙の信頼を損なうことをしてしまい、深く反省している」と述べました。

さらに弁護士から「議員としての出処進退をどうお考えか」と尋ねられると、15秒ほど沈黙した後、背筋を伸ばし、「衆議院議員を辞することとしました」と述べました。

一方で、「妻と共謀した事実は一切ありません」と述べたほか、一部の事務所スタッフなどへの現金の提供については、買収に当たらないとして引き続き争う姿勢を示しました。

広島市民からは「辞職は当然」の声が相次ぐ

河井克行元法務大臣が23日の裁判で、無罪の主張を一転させて起訴された内容の大半を認めたうえ、議員辞職の意向を表明したことについて、広島市の市民からは辞職は当然だとする声が相次ぎました。

この中で、70代の女性は「ここにきて覆すのであれば、最初から説明してほしかったですし、本当に腹立たしいです。議員辞職は当たり前だと思います」と話していました。

また、起訴された内容の大半を一転して認めたことについて、40代の女性は「なぜ今になって変わったのかわからず、最初から素直に認めてほしかったです。不信感しかありません」と話していました。

また、63歳の男性は「政治家のことなので一転して認めたことに驚きはありません。世の中の流れからして方向転換しないといけないという窮地の選択ではないか」と話していました。

自民 森山国対委員長「選挙で買収などあってはならず」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「かつての同僚議員として寂しい気もするが、政治家の責任の取り方として決断したのだろう。裁判の結果がまだ出ていないが、選挙で買収などあってはならず、民主政治の根幹に関わることでもあり、気をつけていかなければならない」と述べました。

自民 佐藤総務会長「議員辞職は当然 罪は償うべき」

自民党の佐藤総務会長は、記者会見で「罪を認めているところもあるということなので、議員辞職は当然ではないか。私は河井元大臣と同期なので、いろいろ複雑な思いはあるが、やはり行ったことに対する罪は償うべきではないか」と述べました。

立民 安住国対委員長「遅きに失した 説明責任を果たしていない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、NHKの取材に対し「遅きに失したと思う。本来であれば説明責任を果たした上での議員辞職であるべきだ。国会でも一切説明をしておらず、こういう辞職のしかたは納得がいかない。自民党総裁としての菅総理大臣にも説明責任が及ぶことになる」と述べました。