拉致問題解決には
どんなチャンスでも」首相

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との日朝首脳会談をめぐり、安倍総理大臣は参議院決算委員会で、キム委員長が招待されている国際会議の場を念頭に、「拉致問題の解決のためどのようなチャンスも見逃すつもりはない」と述べる一方、首脳会談を行うには問題解決に資する必要があるという考えを強調しました。

この中で安倍総理大臣は、さきの米朝首脳会談について、「ことし4月の日米首脳会談で、私からトランプ大統領に対し、『首脳どうしの合意を署名文書で残すことが重要だ』と提起した。共同声明は首脳間の合意を文書の形で確認した重みのあるもので、北朝鮮の非核化に向けた土台となった」と述べ、評価しました。また、安倍総理大臣は拉致問題をめぐり「北朝鮮は知っているすべてのことを話し、すべての拉致被害者を1日も早く日本に帰国させてほしい。キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長には米朝首脳会談を実践した指導力があり、北朝鮮と互いの相互不信という殻を破って、一歩踏み出し解決したい」と述べました。

そして安倍総理大臣は、ロシアのプーチン大統領がことし9月、ロシア極東で開かれる国際経済フォーラムにキム委員長を招待していることを踏まえ、「拉致問題解決には、どのようなチャンスも見逃すつもりはない。チャンスがあればそれを何とかつかみたい」と述べ、首脳会談の実現に積極的に取り組む考えを示しました。

その一方で「日朝首脳会談を行う以上は核・ミサイル、拉致問題の解決に資する会談としなければならない」と述べました。

さらに、米朝首脳会談を受けて見直しの必要性を指摘する声もある新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備について、「いかなる事態にも対応しうるよう万全の備えをすることは当然だ」と述べました。

一方、河野外務大臣は、北朝鮮の非核化に関連して、「アメリカのポンペイオ国務長官は、『大量破壊兵器やミサイルだけでなく、ウランの濃縮施設や再処理施設、核実験場をはじめ47項目のCVID=完全で検証可能かつ不可逆的な廃棄をすべてやらなければダメだ』と明確にしている」と述べ、アメリカの北朝鮮側への要求が47項目に上っていることを明らかにしました。