自公 エコカー減税延長など
税制改正本格議論開始

来年度の税制改正に向けて、自民・公明両党の税制調査会は、それぞれ総会を開いて本格的な議論を始めました。「住宅ローン減税」の特例措置の適用拡大や、来年春に期限が切れる、いわゆる「エコカー減税」の延長などが焦点となる見通しです。

自民党の税制調査会は、党本部で総会を開き、甘利税制調査会長は、「ポストコロナの新しい社会に向け、デジタル化とグリーン社会を目指す大きな柱が菅総理大臣から掲げられたのでしっかり対応したい」と述べました。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策の一環として、「住宅ローン減税」の特例措置の適用拡大や、来年春に期限が切れる、いわゆる「エコカー減税」の延長などを議論していくことを確認しました。

「エコカー減税」の延長をめぐっては、これまで対象となってきたクリーンディーゼル車の取り扱いなど、適用対象の絞り込みが焦点となります。

また、菅政権が重要政策に掲げるデジタル化や脱炭素社会の実現を図るため、デジタル技術の導入や温室効果ガスの削減に取り組む企業に対する優遇措置の在り方も議論される見通しです。

一方、公明党も税制調査会の総会を開き、自民党と協議しながら、こうした項目の検討を進めていくことを確認しました。

自民・公明両党は、来月10日にも与党の税制改正大綱をとりまとめることにしています。

税制改正の焦点は

来年度の税制改正に向けた与党の税制調査会では、新型コロナウイルスへの対応などが議論の焦点となります。

【住宅ローン減税】
感染の拡大で打撃を受けた個人や企業の負担を抑える措置として、焦点となる1つが「住宅ローン減税の特例措置の延長」です。

住宅ローン減税が通常より3年長く適用される特例措置を受けるには、原則として年内に入居する必要があり、新型コロナウイルスの影響で入居が遅れた場合などに限って、来年の12月末が期限となっています。

国土交通省や住宅関連の業界団体は、この入居期限を、少なくとも再来年の12月末まで延長するよう要望していて、延長の期間などが論点になる見通しです。

【エコカー減税】
次に、燃費のいい車に適用される「エコカー減税の延長」です。

エコカー減税は、車検の際に課税される自動車重量税の税率を燃費のいい車を対象に減免する措置で、来年4月末に適用の期限が切れることから、政府・与党は、期限を延長する方向で検討することにしています。

ただ、脱炭素の取り組みを進める観点から、免税や減税が適用される対象を絞り込むことも検討されていて、一部のクリーンディーゼル車やガソリン車が対象から外れる可能性があります。

【固定資産税】
「固定資産税の負担を軽減する措置」も議論される見通しです。

来年度に限ってほぼすべての商業地を対象に固定資産税の税額を引き下げるか、据え置く方向で調整を進めることにしています。

住宅地も対象に加えるべきだという意見もあり、議論が行われるものとみられます。

【カーボンニュートラルへの対応】
菅総理大臣は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目標を掲げています。

これを受けて、企業が、温室効果ガスの大幅な削減につながる設備投資を行った場合に、税負担を軽減する措置を新たに設けることにしています。

具体的には、消費電力を抑える性能の高い半導体の工場に投資する場合、法人税を軽減することなどを検討しています。

【DX】
デジタル化を後押しする税制の創設もテーマになります。

中堅企業を念頭に、DX=デジタルトランスフォーメーションに関連する投資を行った場合に、法人税を軽減する措置を検討しています。

自社のシステムをクラウドサービスに切り替えて業務を効率化する投資などが対象になる見込みです。

日商 三村会頭「中小企業に支援を」

来年度の税制改正に向けた議論が政府・与党で本格的に始まることについて日本商工会議所の三村会頭は、「こういう大変な時期で中小企業は、景気が回復するまでの間の支援がほしいと思っている」と述べました。

そのうえで、「ある程度の時間がたてば、新型コロナウイルスによる社会の変化に合わせた事業改革も必要だ。企業みずからが変わっていく積極的な動きへの支援もしてほしい」として、感染拡大で厳しい経営環境にある中小企業の下支えや、新しい事業の創出につながるような議論を求めました。