バイデン氏に「お祝い」
「拉致問題で連携を」

アメリカ大統領選挙で、民主党のバイデン前副大統領の当選が確実になったことを受けて、菅総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、「心よりお祝い申し上げたい」と祝意を示したうえで、今後、バイデン氏との電話会談やアメリカ訪問の時期を調整していく考えを示しました。

この中で菅総理大臣は、「改めてバイデン氏、副大統領候補のハリス氏に心よりお祝い申し上げたい。日米両国は、自由、民主主義、普遍的価値観を共有する同盟国だ。日米同盟をさらに強固なものにするために、そして、インド太平洋地域の平和と繁栄を確保していくために、アメリカとともに取り組んでいきたい」と述べました。

そのうえで、バイデン氏との電話会談やアメリカ訪問について、「現時点では何も決まっていないが、今後、タイミングを見て調整していきたい」と述べました。

加藤官房長官 “地球温暖化対策や拉致問題で連携”

加藤官房長官は、午前の記者会見で、「バイデン氏は、オバマ前政権時代に副大統領として力強い指導力を発揮し、日米関係の強化に多大な貢献をされたと承知している。アメリカの日米関係を重視する姿勢は変わらないと考えている」と述べました。

また、バイデン氏が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰する方針を示していることをめぐり「『パリ協定』が目指す脱炭素社会の実現に向けて、アメリカと協力しつつ、気候変動問題に積極的に取り組んでいきたい」と述べました。

さらに、加藤官房長官は北朝鮮による拉致問題について「トランプ政権の前からアメリカと連携をとっている。今後、政権が替わる中で、引き続きわが国の立場などを改めて説明し、アメリカ側の協力と連携を求めていきたい」と述べました。

一方、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画については「『辺野古移設が唯一の解決策』という立場は変わるものではない。オバマ政権時も含め、アメリカ政府との間で累次にわたり確認してきており、引き続き緊密に連携を図っていきたい」と述べました。

拉致被害者 地村さん「バイデン氏も取り組みを」

拉致被害者の地村保志さんは、9日、福井県小浜市で始まった北朝鮮による拉致問題の早期解決を目指すパネル展を訪れました。

あいさつの中で地村さんは「被害者を早く救出しないと悲しい歴史になってしまう。拉致問題の進展が見られない中、世論は政府間の交渉に大きな影響を与えるので、風化を防いで解決を願いたい」と訴えました。

また、アメリカ大統領選挙でバイデン氏の当選が確実となったことについて「トランプ大統領はキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と会って拉致問題を話し合ってくれた。バイデン氏も引き続き取り組んでほしい」と述べました。

パネル展は、新型コロナウイルスの影響で従来通りの署名活動などが制限される中、拉致被害者の支援団体が初めて開き、横田めぐみさんなど拉致被害者9人の顔写真や、拉致された状況を説明するパネルなどおよそ60点が展示されています。