月探査の宇宙飛行士募集へ
「アルテミス計画」で

宇宙飛行士を再び月面に降り立たせて探査することを目的とした、国際的なプロジェクト「アルテミス計画」をめぐり、萩生田文部科学大臣は、日本から参加する宇宙飛行士を新たに募集することを明らかにしました。

「アルテミス計画」は、アメリカが主導して月を周回する、新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設するほか、2024年に再び月面に宇宙飛行士を送り、その後も継続的に月探査を行う国際的なプロジェクトで、日本も参加することになっています。

この計画をめぐり、萩生田文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で、日本から参加する宇宙飛行士を新たに募集することを明らかにしました。

そのうえで、萩生田大臣は「日本の宇宙探査研究の取り組みを国民に知ってもらううえで、日本人宇宙飛行士が参画することは極めて大事だ。チャンスを生かしていけるよう国としても後押しをしたい」と述べました。

文部科学省によりますと、日本人宇宙飛行士は現在7人いますが、平均年齢が51歳となっていて「アルテミス計画」で日本人宇宙飛行士が月面に降り立つことが想定される2020年代後半には、半数近くの飛行士が定年を迎えるということです。

このため、次の世代の宇宙飛行士を募集することになったもので、文部科学省が所管するJAXA=宇宙航空研究開発機構が主体となり、応募の条件を検討したうえで、来年の秋ごろに募集を開始したいとしています。

これまで選ばれた日本人宇宙飛行士

これまで日本では、宇宙飛行士を選ぶための選抜試験は5回行われ、11人の飛行士が選ばれています。

宇宙飛行士の最初の国内の選抜は、当時のNASDA=宇宙開発事業団が行い、1985年にスペースシャトルに搭乗し、科学実験を行うための飛行士として毛利衛さん、向井千秋さん、土井隆雄さんの3人を選びました。

その後、スペースシャトルの運用のほか、国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」の組み立てと運用など、役割が次第に広がるのに合わせて、若田光一さんや野口聡一さんなどの飛行士を選抜していきました。

そして、前回の選抜試験は、12年前の2008年に募集が始まって、過去最高のおよそ1000人が応募して行われ、書類選考のあと、医学的な適性のほか、一般教養などの筆記試験や面接試験などを行い、油井亀美也さん、大西卓也さん、それに金井宣茂さんの3人が選ばれました。

これまでに行われた選抜試験は5回で、合わせて11人の日本人宇宙飛行士が選ばれています。

このうち、現役の飛行士として活動を続けているのは若田さんや野口さんなど合わせて7人です。

これまで日本人飛行士は、アメリカのスペースシャトルやロシアのソユーズに搭乗したほか、国際宇宙ステーションの建設や運用を行い、さまざまな科学実験も実施してきました。

宇宙ステーションの運用は2025年以降も続くとみられるうえ、アメリカが提案して日本も参加する月探査計画「アルテミス計画」でも、日本人飛行士が月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」に滞在したり、月面で活動したりすることが想定されるなど、新しい役割が期待される段階に入っていました。