福田財務次官
「辞任申し出」会見全文

財務省の福田事務次官は、18日午後6時50分から財務省で報道各社の取材に応じました。
以下に内容の全文を掲載します。(「」内が福田次官の発言)

「週刊誌に掲載された私に関する記事については、事実と異なるものと考えており、裁判の中で、引き続き争って参りたいと考えております。他方、財務省が厳しい状態に陥っている中で、さらに私のことで、このような報道が出てしまったこと自体が、不徳の致すところであります。また報道後の現状に鑑みますと、財務事務次官の職責を果たしていくことが困難な状況になっていると私自身が考え、先ほど麻生大臣に対して辞職を申し入れました。麻生大臣からはご了解をいただいたところであります。私のことでご迷惑をおかけしたすべての関係者の皆様にお詫びを申し上げたいと思います。

一部週刊誌で報じられたセクハラ疑惑の音声について、次官自身のものと認めるか。
「自分の声というのは自分の体を通じて聞くので、私はずっと録音された声が自分のものかどうかよく分からないので、そう申し上げた。ただ福田の声に聞こえるという方が多数おられることは知っています」

あのような女性記者との会合を持った記憶はあるか。
「まあ、ここにおられるのは財研の方が多いと思うが、新聞記者とは男女問わず、というか財研は男性記者が多いので、男性記者を中心に会合を持っていることはある。で、まあ、ごく少人数、あるいは1対1で会合を持つことはもちろんある。ただし、あそこに書かれているような、あんな発言をしたことはありません。」

そうすると、あの相手は誰だったと記憶しているか。
「分かりません」

あの当日の記憶はないということか。
「あの当日とはいつのことを指しているのかよく分からない」

自身が、あの録音のような発言をした記憶はないということか。
「あんなひどい会話した記憶はありません」

次官の出したコメント見ると、接客業の女性であるという風にもとれるが、そう考えているのか。
「いや分からないから、分かりません。自分の行動について、一般的に正直に矢野官房長に申し上げただけです。あの記事がそういうものであるかどうかも分かりません、自分では」

“そういうもの”というのは自身の記憶と照らして、あの記事は自身の記憶にないということか。
「そうではなくて、あそこでそういう、接客業の人と話すことはあると一般論で申し上げているので、そのことがあの記事のもとになっていることを言っているつもりはない」

自身の発言であれば、あのテープが自身の会話かどうか覚えているのではないか。
「いやまあ、いろんな人といろんな会話をしているので、しかも、その会話をすべてを順番にとっているという風にも見えないので、部分のものをくっつけているように見えるので、そういう意味では覚えておりません」

日付の心当たり、手帳ないし記録と照らしあわせてみたか。
「あそこに書いた通り、4月8日でしたかね、グラビアの写真に撮られた日のことは、もちろん日付が書いてあるので確認した。そこで相手方に確認したことは、コメントの中に書きました」

それは民間企業の女性の方ですよね。
「はい、そうです」

女性記者とのやりとりとされるテープの日の記憶はあるか。
「それは日付がないので分かりません」

だいたいの会話の内容から記憶を探ったことは。
「一生懸命読みました。テープで『予算が成立したら云々』というのがある一方、ゴミの運び出しの記述もあって、それは前後関係が逆なんで、どういうことかよく分からないというのが、正直なところです」

辞任の理由に関しては財務省がこういう状況の中で報道を騒がせたということであって、あくまでもセクハラ音源については認めないのか。
「報道が出ること自体、不徳の致す所だと考えている。それで、まあ、本日の状況などを見ると、私に関するいろんな議論が、この役所の職務を遂行する上で、問題になっており、そういう状況では、今の職責を全うすることはできないと自分で判断致しました」

コメントの中で、被害にあったとされる女性記者に名乗り出て協力してほしいと言っているが、そのことについて批判でているが。
「そこは担当者が、こういう問題の処理の専門家に聞いて、被害者の方にも聞くんだというのが通常であるという話を聞いて、ああいう整理をしたんじゃないかと思います」

ただ担当の弁護士事務所は、財務省の顧問弁護士事務所。こうしたことが公正ではないと受け取られても仕方ないのではないか。
「私自身は取り調べを受ける方なんで、あの構想自身に、なんというか、あの調べ方のいわば対象になるので、なんというか、こういう調べ方でいきましょうということについて、そんなに自分自身の意見を申し上げたわけではないんですけど、彼ら、財務省なりに、あるいは、財務省の担当者なりに、こういうときは両方調べるのが普通の例であるということを研究の上で、提案したんだろうと理解しています」

辞任はいつ付けか。
「閣議の了解がいるので、来週だとは思う」

持ち回りではなく、通常で。
「そうだと思います。さすがに総理や大臣がいるときでないかと思いますが、そこは官邸にお任せしていますので」

辞任の理由として森友問題に関する疑惑は一切関係ない?
「まあなんというか、あらゆることに責任がありますので、個別のある問題に関して関係ないというのはちょっとまじめな態度ではないと思いますので、なんとも言えませんが、直接の原因は、私の報道をきっかけとする現在の状況が、今の仕事を続ける、全うすることができない状況を作ってしまったということが、辞任の理由です。そう大臣に申し上げました」

省内の聴取はいつ受けたのか。
「えっと、週末と、きょうは木曜日でしたっけ。(水曜日です)水曜日。週のあたまですね」

じゃあ土日月?
「そうですね」

今回の騒動がおきて、次官は何も言わない、否定も肯定もしなかったが、普通、思い当たる節がなかったら否定すると思うが、なぜ何も言わなかった?
「文字に書かれると、あれっと本人も思うもんで、たとえば、あのコメントで、民間の人の電話もらったというのを書きましたけれど、電話もらう前は、そのときも不愉快な思いさせたのかなという気持ちになるもんですから、よく分からなくて、何度も何度も読み返していたというのが正直なところです」

大臣に対してきょう直接やめる考えを伝えたのか。
「もちろんです」

その中で今後の処分の可能性について、大臣から言われたのか。
「大臣の話はノーコメントにさせて頂きます」

セクハラ自体を認めていないということだが、告発した女性の気持ちについてはどういうものだと考えているか。
「分かりません。その、どういうことがあったのかが、どういうことを仰っているのか分からないので、ちょっとよく分かりません」

自身のセクハラに対しての認識が甘いのではないか。
「今回、「言葉遊び」のところはけっこうご批判を受けているというのはなるほど、その、今の時代というのはそういう感じなのかなとは思います」

セクハラに対してそういう認識でありながら記憶にないと言われても、ご自身がセクハラと認識していないだけではないかと思われるのではないか。立ち戻って考えたことはあるか。
「したがって正直にセクハラという認識はないというふうに表現していると思います。私のコメントは」

最近の中で我慢できなかったなあと思ったことはあるんですか。
「(笑)そんな・・。特にそういうことはありません」

普通の人は自分の声はわかると思いますが。
「私は子どもの頃からテープレコーダーで自分の声を聞くと、よくわからないんですけど、それはそうなんですか」

よく国会答弁されたこともある。月曜日にはテレビの前でコメントされてましたし。
「あのテープを聞いたときは、ああ、これ俺の声なのかなと思いました。ただ、私の声に聞こえるという人が多数いることは認識しています」

財務省は財政健全化とか来年控える消費増税とか、重要な政策を抱えている。そういった政策への影響も考えての今回の判断か。
「そこまで余裕がないというか、当面は、今のこういう私が・・現在の状況がですね、仕事を、職責をまっとうできないということですが、まあ、財政の問題というのは、負担する人も給付を受ける人も国民なんで、その、我々はいわば管理人なんで、管理人に問題があるから、そこをどうこうして良いということではないと思うので、そこはぜひご理解いただきたいと思っています」

文書改ざんもあって、財務省の対応は後手後手に回っているのは否めない。組織トップとしてどうだったのか。対応のまずさについてはどう考えるか。
「太田理財局長が答弁していると思うが、3月12日でしたっけ、書き換えの史料を提出したが、その前にご注文があって、ぽちを打ってないやつを出せとか、そのへんが誤解を招いたような気はするが、報道があったのはその少し前だったと思うが、そこからは理財局は本当に昼夜を分かたず作業して、出せるものは全部出すという精神で対応したと思う。そこは少し皆さんも正当に評価して頂いても良いのかなと思います」

財務省は国民から税をとる、国民に痛みを与える立場。信頼性が必要なのに、今回で信頼性を失った。一連の問題を含めて、後任の人に言葉を。
「後任の人というより一般的に申し上げると、おっしゃることは誠に不徳の致すところで、そんなことが影響を与えるとすれば、非常に残念ですが、申し上げたように財政は財政当局のものではなくて、国民のものなので、負担も給付も、国民が負担し国民が給付を受ける。管理人の不祥事は本当に許されないことだが、だからと言って、こういう方向を変えると、あるいはそれをきっかけに考え方を変えるというのはやっぱり国民にとって良いことではないと、ぜひご理解いただきたい」

同期の佐川さんも辞任。次官も辞任。同期で不名誉なことでは。
「ちょっと個人的感慨なので、皆さんの前で申し上げるのは許して頂きたいと思います」

決断が一週間かかったのは組織防衛ではないかという指摘もある。
「そういう新聞記事は時々読みますけど、難しいことが書いてあるなあと思って、あまりよく理解できません。書いてある論理の意味が正直言ってよく理解できません」
ではなぜ一週間かかったのか。
「今の状況になって、現在の仕事の職責をまっとうすることができないと私なりに判断したからです。それまでは私として信じていることを言うことによって打開できるのではないかとも考えましたが、この状況はやっぱりもう仕事、職責をまっとうすることができない状況だと気がついたということ」

国民の多くが財務省は大丈夫かと思っている。
「そこは全く不徳の致すところで反省しています。ただ、何度も申し上げますが、どうしても管理人、財政の管理人が財政問題に結びつけた議論があるが、そうじゃないということをぜひご理解いただきたい」

なるべくして財務省トップになったと思うが、そういう中でこういう問題が起きてしまったことは、残念ではないかと思うが、個人的な感情は。
「まあ、個人的感情なんで、恥ずかしいので。・・・どうもありがとうございました」