「不のいたすところ」
福田次官 辞職を申し出

財務省の福田淳一事務次官は、森友学園をめぐる決裁文書の改ざん問題で財務省の責任が厳しく問われる中、複数の女性記者にセクハラと受け取られる発言を繰り返していたと報じられ、波紋が広がっていました。
こうした中、麻生副総理兼財務大臣は18日夜、記者団に対し、「福田次官から疑惑について、引き続き身の潔白を明らかにしていきたいが、報道をきっかけとした現在の状況を鑑みると、職責を果たすことは困難であるとして辞職の申し出があり、それを認めることとした」と述べ、今後、閣議での承認を得て、福田次官が辞任することを明らかにしました。

辞職を申し出た財務省の福田淳一事務次官は、18日午後7時前から財務省で記者団の取材に応じました。

この中で福田次官は、「週刊誌に掲載された私に関する記事については、事実に異なると考えており、裁判で引き続き争っていきたい」としたうえで、「私の報道が出たのは不徳のいたすところであり、職責を果たすことが困難と考え、麻生大臣に辞職を申し入れた。ご迷惑をおかけしたすべての関係者におわび申し上げる」と述べました。

また福田次官は、公開された音声データが自身の声かどうかについては、「自分の声というのは自分の体を通じて聞くのでよく分からない。福田の声だという人が多いのは承知している」と述べました。

さらに福田次官は、「記者とは男女を問わず、会合をもっている。ただし、書かれているようなあんな発言をしたことはない」と述べました。

福田次官は当初、週刊誌が報じた内容を否定するコメントを出し、財務省は、顧問契約を結んでいる弁護士事務所の調査に対し、女性記者へ協力を呼びかけていました。しかし、財務省のこうした対応に政府・与党内からも「国民の感覚とずれている」という声が上がるなど批判が強まっていました。

こうした事態を踏まえ、福田次官は、決裁文書の改ざん問題をめぐる内部調査や再発防止策の取りまとめなどを指揮する、財務官僚トップを続けるのは難しいと判断したものと見られます。

財務次官の途中辞任は20年ぶり

福田淳一氏は、58歳。昭和57年に当時の大蔵省に入省しました。財務省の人事や官邸との調整を行う「官房長」や、予算編成を担う「主計局長」といった主要ポストを歴任し、去年7月、財務官僚トップの事務次官に就任しました。決裁文書の改ざん問題では、内部調査や再発防止策の取りまとめなどを指揮する立場にあります。

財務省の事務次官が任期途中で辞任するのは、平成10年、当時の大蔵省で接待汚職事件が発覚した時以来、20年ぶりのことです。
国の予算編成に大きな影響力を持ち、「官庁の中の官庁」とも言われる財務省では、決裁文書の改ざん問題で国税庁のトップだった佐川宣寿前国税庁長官も先月辞任しており、わずか1か月余りの間に財務省、国税庁の事務方のトップが相次いで辞任するというかつてない深刻な事態となっています。