電 元助役に事前情報
発注工事の7割以上で

関西電力の経営幹部らの金品受領問題で、関西電力は、福井県高浜町の元助役が顧問を務めていた建設会社に発注した工事の7割以上で、元助役に対し、事前に、概算額などの情報を伝えていたことが分かりました。

社内調査によりますと、関西電力の原子力事業本部は、2014年9月からおととしの間に、福井県高浜町の「吉田開発」に対し、直接、間接合わせて、113件の工事を発注していました。

このうち、7割を超える83件の工事では、吉田開発の顧問を務めていた高浜町の森山栄治・元助役に対し、事前に、概算額や工期などの情報を伝えていたということです。

こうした情報は、森山元助役から面談の要請があった際などに、資料にまとめて渡していて、担当の社員は、元助役がどのように活用しても、問題ないと考えていたということです。

関西電力は、吉田開発と契約するうえで、情報提供の影響はなかったとしていますが、社内調査の報告書は、吉田開発との関係を踏まえれば、森山元助役に工事の概算額などを伝える行為は、コンプライアンスの観点から不適切だったと指摘しています。

橋下徹氏「俺の調査はきついよ…」

関西電力の経営幹部らの金品受領問題を受けて、大阪市の元市長で弁護士の橋下徹氏はツイッターで、「俺を第三者委員会に入れる企業はうみを出し切る決意がある企業のみで、関電にはできない」と述べ、関西電力の体質を疑問視する考えを示しました。

この問題で、関西電力は、新たに第三者委員会を設置して、金品の受領が始まったきっかけなどを調べることにしていますが、筆頭株主の大阪市の松井市長は市が推薦するメンバーを委員会に加えるよう求め、橋下徹元市長が「有力な候補だ」としています。

これについて橋下氏は3日夜、ツイッターで、「俺の調査はきついよ。俺を第三者委員会に入れることのできる企業は本気でうみを出し切りたいという決意のある企業のみ。経営陣の首を切る結論になることもある。関電にはできんやろ」とつぶやき、徹底した調査が行われるか、関西電力の体質を疑問視する考えを示しました。

一方、大阪市の松井市長は4日、記者団に対し、「橋下さんが第三者委員会に入ってすべてを明らかにすることは、大阪市民だけでなく、ほかの株主や利用者にもプラスだ」と述べ、改めて橋下氏が第三者委員会のメンバーとしてふさわしいという認識を示しました。

専門家「電力会社との関係が地元企業の経営を左右」

関西電力の経営幹部らが原子力発電所の立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題について、原発と立地地域の関係に詳しい東洋大学の井上武史准教授は「原発立地は国策で始まり、電力会社は人口規模が小さく大きな産業がない地域に一大産業となる原発を立地させるケースがほとんど。そうなると当然に原発が地域を引っ張る存在になり、地域は安定を図るためにいかに原子力との関係を構築していくのかが重要になる。その結果、『従属』する形になってしまう」と述べて、立地地域が原発に依存しやすい環境にあると指摘しました。

そのうえで、「原発が長く立地すると、地元企業にとっては電力会社との関係そのものが企業の経営を左右するような状況になる。今後も関係を続けていこうとする中で、金が『還流する』こともありうるのではないか。福島の原発事故で信頼回復を進める中での出来事であり、関西電力は疑念を払拭(ふっしょく)するための説明を十分尽くす必要がある」と述べました。