EZ内で武装船舶
北朝鮮関係とみて抗議

先月下旬、能登半島沖の日本の排他的経済水域で北朝鮮に関係するとみられる武装した船が確認され、菅官房長官は北朝鮮に対し、外交ルートを通じて抗議したことを明らかにしました。

これは、菅官房長官が、閣議後の記者会見で明らかにしました。

それによりますと、先月23日午前9時半ごろ、能登半島沖の日本の排他的経済水域にある「大和堆」の西側で、警戒に当たっていた水産庁の船が、船籍不明の船を発見しました。

翌24日午前9時ごろには、同じ海域で海上保安庁の巡視船に、小銃のような武器を保有する船籍不明の船が接近してきたということです。

水産庁と海上保安庁の船にはいずれも被害はありませんでした。

菅官房長官は記者会見で、「直ちに関係省庁で情報共有を図るとともに、これまでに判明している事実関係から北朝鮮関係船舶である可能性が高いとみて、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議している」と述べました。

「大和堆」の海域では数年前から北朝鮮や中国の船が違法操業を繰り返していて、菅官房長官は「今後とも、日本漁船の安全を確保するため、関係省庁が連携して、適切に対処していきたい」と述べました。

高速船乗組員 小銃構えて威嚇

海上保安庁によりますと、先月23日の午前9時半ごろ、日本の排他的経済水域にある「大和堆」と呼ばれる漁場周辺で北朝鮮の漁船の違法操業の警戒にあたっていた、水産庁の取締船から「船籍不明の高速艇が接近しているので対応してほしい」と通報を受けたということです。

これを受けて、海上保安庁の巡視船が現場海域に向かったところ、石川県能登半島の西北西378キロの海域で、北朝鮮の国旗が描かれている貨物船のような船と、北朝鮮の海軍のような旗が掲げられている高速艇の合わせて2隻を確認したということです。

2隻は巡視船からいったん離れたものの、翌日の午前9時ごろにも同じ海域で確認されました。この日は、高速艇が、一時、巡視船から30メートルほどの距離まで接近し、その際、巡視船に対して高速艇の乗組員1人が、小銃を構えて威嚇してきたほか、ビデオ撮影をしている乗組員を確認したということです。

発砲するなどの動きはなかったということです。海上保安庁は、大和堆の周辺海域の警戒を、引き続き強化していくことにしています。

河野防衛相「制裁の中で水産物重要か」

河野防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で「国連安保理決議に基づいた経済制裁がある中で北朝鮮としても水産物は食料として重要な物だと捉えられるのではないか。国際社会が安保理決議をしっかり履行しようとして、一致団結している状況を北朝鮮が脱しようとすれば大量破壊兵器やミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現が必要になってくる。キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が、北朝鮮の国民のための判断をすることを期待をしたい」と述べました。