ムーズビズ」都職員
朝は公共交通機関利用しない

来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて交通混雑の緩和に取り組む「スムーズビズ推進期間」が22日から始まり、東京都はおよそ1万人の職員が、混雑する朝の時間帯に公共交通機関を利用しない取り組みを始めました。

「スムーズビズ」は、来年の東京大会で懸念される鉄道や道路の混雑緩和に向けて、東京都が企業などと連携して混雑時間を避ける時差出勤や通常の職場から離れた場所で働くテレワークなどに取り組むもので22日から9月6日までを推進期間と位置づけています。

都は、この一環として22日から5日間、新宿区の本庁舎で働くおよそ1万人の職員に対して、午前8時から午前10時まで公共交通機関を利用しないよう呼びかけています。

このうち、およそ130人の職員が在籍する総務局人事部の部屋は、時差出勤やテレワークなどを行っているため、午前8時半をすぎても職員は10人程度しか見られず、その後、午前10時半を過ぎると職員が徐々に出勤していました。

午前11時に出勤した総務局人事部の33歳の男性職員は「いつもは身動きがとれない電車に乗って通勤していますが、きょうは快適でした。スケジュールの管理をふだん以上にきちんと行い、業務に支障が出ないように取り組みたい」と話していました。

都は、スムーズビズ推進期間でテレワークの積極的な活用なども行う予定で、取り組みの効果を検証し来年の東京大会での対策に生かすことにしています。

都の担当者「課題の洗い出しを」

東京都オリンピック・パラリンピック準備局の松本祐一輸送課長は、来年の東京大会の期間中に懸念される交通混雑について「鉄道の面では、朝の通勤ラッシュに、東京に不慣れな観客が乗ってくることが予想され、対策を行わないと、列車の遅れやホームの混乱などのリスクが高まると思う」と話しています。

このため、時差出勤やテレワークなど、交通混雑の緩和の取り組みを進める必要があるとしたうえで「来年の夏に、いきなり対策をとっても失敗するリスクが高い。まずは大会と同じ時期に取り組んで課題を洗い出し、きちんと対策をして来年の夏を迎えることが必要だと思う。どのような対策を行っていくかも、われわれと一緒に考えていただきたい」と呼びかけています。

都は、このまま対策をとらなかった場合に想定される鉄道や道路、それに競技会場周辺の混雑をまとめた「大会輸送影響度マップ」をホームページで公表しています。

松本課長は「まずは、ご自身の会社や取引先が影響を受けるエリアに入っているかどうかを確認いただきたい。また、スムーズビズは2020年のためだけではなく、その後も続ければ、交通混雑の緩和という東京大会のレガシーの1つになると思う」と話していました。
郊外にあるサテライトオフィスには、都心のオフィスに通勤せず自宅の近くでテレワークをしようというビジネスマンらが訪れました。
このうち、多摩市の京王多摩センター駅前にあるサテライトオフィスでは「スムーズビズ推進期間」にあわせて、22日から、手軽な料金で利用できるキャンペーンが始まりました。

午前中から、初めて利用するというビジネスマンらが次々に訪れ、早速持ち込んだパソコンや資料を広げて仕事に取り組んでいました。

また、共有で利用できるテーブル席や集中して仕事をしたい人のためのブース席など、数種類ある座席の使い心地を試す人の姿も見られました。

ふだんは渋谷まで通勤している男性は「雰囲気もよく落ち着いて仕事ができます。利用は初めてですが、来てみないとよさがわからないのでいい機会だと思っています」と話していました。

このサテライトオフィスを運営する鉄道会社の担当者は、「サテライトオフィスを沿線に増やして『自宅近くで働ける機会』を提供していきたい」と話していました。

都庁の各部署は勤務シフトで対応

東京都が交通混雑の緩和につなげるため、本庁舎で働く職員を対象に午前8時から午前10時まで公共交通機関を利用しないよう呼びかけていることを受けて、都の各部署では職員の勤務シフトを工夫するなどして、業務に影響しないように対応しています。

このうち、都の教育庁で、テレワークの推進を担当する石ヶ森弘輝さん(27)は、みずから、22日午前中に自宅でテレワークを行い、新宿区の本庁舎の職場には午後1時すぎに出勤しました。

教育庁では、およそ480人が今回の取り組みの対象で、22日は早出の職員が54%、遅出の職員が31%、テレワークを終日行ったり、休暇を取得したりして出勤しない職員が15%、というシフトを組みました。このため、職場では通常よりも空席が目立っていました。

教育庁総務課の石ヶ森さんは「時差出勤やテレワークは効率よく働くことにつながると思うので、今後もこうした働き方を増やしていきたい。ほかの職員にも、来年に迫っている東京大会を見据えて、どのような働き方が自分にあっているのか、考えるきっかけにしてほしい」と話していました。

教育庁は、23日以降の4日間も混雑時間を避けた出勤ができるような勤務シフトを組むほか、今後、職員がテレワークを積極的に活用する日も設けるということです。