「宇宙基本計画」改定案 “小型衛星連携で情報収集能力 強化”

国の宇宙政策についての向こう10年の基本方針を示す「宇宙基本計画」の改定案がまとまり、小型衛星の連携などによる情報収集能力の強化や人工衛星などへの脅威やリスクに対応し、宇宙の安全かつ安定的な利用の確保などが盛り込まれました。

「宇宙基本計画」は現在、防衛力の抜本的な強化に向けて去年12月に閣議決定された新しい「国家安全保障戦略」に沿って見直しが進められています。

これについて、内閣府の宇宙政策委員会が計画の改定案をまとめました。

案では「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」として、多数の小型衛星を連携させて情報収集能力を高めるシステム「衛星コンステレーション」の構築を始めることなどが盛り込まれ、日本周辺での軍事的な動向への情報収集や分析能力を抜本的に強化するとしています。

また、宇宙空間にある人工衛星などへの脅威やリスクに対応するため、同じ機能を持つ衛星を多数かつさまざまな形態で保持するとともに、サイバーセキュリティー体制を確保することなどが記されています。

こうした目標などの実現には、宇宙活動の自立性を支える産業や科学技術の基盤強化が不可欠だなどとして、宇宙機器などの市場規模を2030年代の早期に、2020年の倍の8兆円に拡大していくことが盛り込まれています。

宇宙政策委員会の後藤高志委員長は「安全保障と宇宙産業発展の好循環の実現には、先端技術の開発力強化や重要技術の確保などに取り組むことが重要だ」などと述べました。

今回の案は、政府がことし夏をめどにまとめる宇宙の安全保障構想を踏まえたうえで、新たな宇宙基本計画として決定される見通しです。