岸田首相 インドと連携確認で国際的課題の議論主導を目指す

G20の議長国を務めるインドを訪れた岸田総理大臣は、モディ首相との首脳会談で、法の支配に基づく国際秩序を堅持していくことで一致しました。
G7広島サミットにインドや韓国などを招待することも明らかにし、ウクライナ情勢への対応を含め国際社会が直面する課題についての議論を主導していきたい考えです。

インドを訪問した岸田総理大臣は、20日、モディ首相と首脳会談を行い法の支配に基づく国際秩序を堅持していくことで一致したほか、食料安全保障や気候・エネルギーなどの分野で、G7とG20の間で緊密に連携していくことなどを確認しました。

また、岸田総理大臣は現地で講演し、中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」を推進していくため、ODA=政府開発援助の拡充などを通じ、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をこの地域に投入する計画を表明しました。

一連の日程のあと、岸田総理大臣は5月のG7広島サミットにインドや韓国、それにオーストラリアなど、8か国の首脳らを招待することを明らかにしました。

岸田総理大臣としては、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国の代表格とされるインドとの連携を強めることで、ウクライナ情勢への対応を含め国際社会が直面する課題についての議論を主導していきたい考えです。

首相“自由で開かれたインド太平洋推進へ 750億ドル以上投入”

岸田総理大臣は、訪問先のインドで行った講演で「自由で開かれたインド太平洋」の新たな推進計画を明らかにしました。ODA=政府開発援助の拡充などを通じ、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をこの地域に投入し、成長を後押しするとしています。

講演は、インドのシンクタンクの主催で行われました。

この中で、岸田総理大臣はロシアのウクライナ侵攻などで世界で分断と対立が生まれる中、日本が提唱した法の支配や自由に根ざした構想「FOIP=自由で開かれたインド太平洋」は、これまで以上に重要になっていると指摘しました。

そして、「FOIPのビジョンを共有する各国の輪をさらに広げ、共創の精神で取り組みを進めていく」と強調し、取り組みの方向性を「4つの協力の柱」として打ち出しました。

具体的には、
▽国連憲章などの平和の原則や貿易のルールなどを守り、
▽食料危機や気候変動、感染症対策などの国際課題に対応していくとしています。

また、
▽インフラ整備や人の交流など、多様な手段で各国間の連結性を高めるほか、
▽空域にも安全保障や安全利用の協力を広げていくなどとしています。

そして、これらの協力を推進するため、今後10年間に日本のODAの拠出を増大させるとともに、民間投資の拡大も促し、2030年までに官民合わせて750億ドル以上の資金をインド太平洋地域に投入し、成長を後押しするとしています。

岸田総理大臣は「日本がG7議長、インドがG20議長のことし、両国が多くの国と協働することで試練の時を迎えている国際社会に平和と繁栄をもたらすことが私の希望だ。そのためのビジョンが『自由で開かれたインド太平洋』で、この地域が力や威圧とは無縁で自由と法の支配などを重んじる場となることを信じている」と述べました。

G7広島サミットに韓国ユン大統領ら8か国の首脳招待

岸田総理大臣は、5月のG7広島サミットに、韓国のユン・ソンニョル大統領など、8か国の首脳らを招待して拡大会合を開くことを明らかにしました。

G20の議長国を務めるインドを訪れている岸田総理大臣は現地で行った首脳会談で、モディ首相を5月のG7広島サミットに正式に招待し、モディ首相も出席の意向を示しました。

岸田総理大臣は、会談のあと記者団に対し、さらに幅広いパートナーとの議論が不可欠だとして、インドとともに、
▼韓国のユン・ソンニョル大統領や
▼オーストラリアのアルバニージー首相、それに、
▼ASEAN=東南アジア諸国連合の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領など、あわせて8か国の首脳を招待する方針を明らかにしました。

また、
▼国連や
▼IMF=国際通貨基金、それに
▼WHO=世界保健機関など7つの国際機関の代表も招き、
拡大会合を開くとしています。
岸田総理大臣は「広島サミットでは、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く強い意思を示すとともに、エネルギーや食料安全保障、気候変動、保健、開発といった課題への対応の議論を主導したい。これらの国々と機関の知見を得て議論をさらに有意義なものにしていきたい」と述べました。