“1年前に比べ物価上がった”89% くら寿司 飲料 ガソリンは

日銀が行った個人の生活意識に関する調査で1年前に比べて物価が上がったと答えた人の割合が89%と、およそ14年ぶりの高い水準になりました。一方で暮らしのゆとりがなくなってきたと答えた人の割合も増えていて、物価の上昇が生活に影響を与えていることがうかがえます。

日銀は個人の生活意識などを把握するため全国の20歳以上を対象に3か月ごとにアンケート調査を行っていて、今回は5月から6月にかけて2193人から回答がありました。

それによりますと、1年前に比べて物価が上がったと答えた人の割合は前回ことし3月の調査から7.8ポイント増えて89%となりました。これは2008年9月以来、およそ14年ぶりの高い水準です。

また1年後に物価が上がっていると答えた人の割合も87.1%と、14年ぶりの高い水準でした。

一方、1年前に比べて暮らしのゆとりがなくなってきたと答えた人の割合は43.2%と前回の調査から1.5ポイント増えました。

その理由として「物価が上がったから」と答えた人の割合が78.9%に上っていて、物価の上昇が生活に影響を与えていることがうかがえます。

日銀は生活に身近な商品の値上がりが人々の生活意識に影響を与えているとみていて、引き続き消費の動向や家計への影響を注意深く見ていくことにしています。

「子ども食堂」 コスト増で今後の活動に不安の声も

9年前から運営を続けている東京 豊島区の「要町あさやけ子ども食堂」は現在は新型コロナウイルス対策として食堂形式ではなく、米や野菜などの食材を月に2回、無料で配っています。

3か月ほど前から希望者が増え、小分けにした55家族分の食材が早ければ25分ほどでなくなってしまうということで、運営する山田和夫さんは物価の上昇が続く中、支援の必要性が高まっていると感じています。

この食堂では大人が手間をかけて作ったものを食べることで人のつながりを感じてほしいと、寄付された食材だけでなく毎回手作りのおかしやパンも配っています。

ただ小麦粉やバター、それに砂糖などの材料費が軒並み上昇し、寄付金中心の活動資金を圧迫しているということで、寄付された食材を中心にメニューを考えるなど工夫しているということです。

物価上昇の影響はほかの子ども食堂でも出ています。

NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」がことし6月に全国の子ども食堂を対象にアンケート調査を行ったところ、回答した623か所のうち
▽影響は特に感じていないとしたところが30%
▽影響は感じているが料金や食事の内容には変更はないとしたのが54.4%でしたが
▽15.6%が開催頻度や料金、食事の内容などを変更したか変更する予定だと回答したということです。

自由記述では「たまねぎ1個を減らすかどうか迷う」とか「電気代や弁当容器の上昇の影響は大きい」といった声も寄せられたということです。

豊島区で子ども食堂を運営する山田さんは「これから夏休みに入ると給食がなくなるので私たちもさらに力を入れて量的にもカバーしないといけないと思っています。食材が値上がりしたからといって量を減らすことはできず、さらに価格が上がっていくとどうなってしまうか不安です。無償でやっていますが持ち出しになることも覚悟しています。どこまで耐えられるか、我慢比べです」と話していました。

くら寿司 価格帯見直し “1皿110円”減らし“1皿220円”新商品

原材料価格の高騰が続く中、回転ずしチェーン大手の「くら寿司」は、これまで原則税込み1皿110円としていた定番のすしの価格帯を見直し、1皿220円の商品を新たに導入することになりました。

発表によりますと「くら寿司」はこれまで原則すべて税込み1皿110円だった定番のすしについて、8日からは110円の品目数を、今のおよそ70から60程度に減らし、1皿220円の商品を新たに19品目導入します。

例えば「あぶりチーズサーモン」の場合、使うチーズの種類と量を増やしたほか「えびアボカド」は従来2枚使っていたアボカドのスライスを4枚に増やし、それぞれ1皿220円に引き上げるなど、一部の定番商品では中身を見直したうえで値上げします。

今回の見直しについて会社では、コロナ禍で控えられていた旅行や外出の機会が増え、付加価値の高い商品への需要が高まっていることへの対応だとしたうえで、岡本浩之取締役は「個別の商品を考える上で原価の上昇を考慮しなかったとは言わないが、目的はお客のニーズに合わせていくことだ」と述べました。

回転ずしチェーンでは、原材料価格の高騰などコストの上昇が課題となっていて、最大手の「スシロー」が、ことし10月から税込み1皿110円の商品を120円に引き上げることを決めるなど、対応の動きが広がっています。

食品 飲料メーカーなどの値上げは「すでに計1万5000品目超」

原材料価格の高騰や円安を受けて国内の主な食品や飲料のメーカーがことし、すでに値上げしたか値上げする予定の商品は1万5000品目を超えたことが民間の信用調査会社の調査でわかりました。今月と来月で合わせて4000品目を超える商品が値上げされる予定で「値上げの夏」になりそうです。

民間の信用調査会社「帝国データバンク」は国内の主な食品メーカーや飲料メーカー105社を対象に調査を行い、先月末時点での各社の値上げの動きをまとめました。

それによりますと、7割近くにあたる72社がことしに入ってからすでに値上げしたか、今後値上げする予定があるとしました。

値上げの対象は各社で合わせて1万5257品目となり、先月1日時点の調査よりも4400余り増え価格は平均13%の値上げとなっています。

今月と来月の2か月間で合わせて4000品目を超える商品が値上げされる予定でことしは「値上げの夏」になりそうです。

品目別でみると、ハムやソーセージ、冷凍食品などの「加工食品」が6712品目と最も多く、原油高に伴う物流コストの上昇などを背景に平均15%の値上げとなります。

また「酒類・飲料」は麦芽やトウモロコシなどの価格上昇やペットボトルの包装資材の高騰の影響で3585品目と平均15%の値上げとなります。

信用調査会社は「円安が急速に進んだ影響などでこれまでに値上げした商品でさらに値上げする動きも出ていて、こうした動きは広がっていく可能性が高い。年内に値上げされる商品は2万品目を超えるとみられる」としています。

離島でもガソリン高騰 沖縄 西表島では1リットル210円前後に

ガソリン価格の上昇が続く中、物資の輸送にコストがかさむ沖縄県の離島の西表島では、1リットル当たり210円前後となっていて、住民などからは困惑の声が聞かれました。

全国的にガソリン価格の上昇が続く中、竹富町の西表島にあるガソリンスタンドでは先週、レギュラーガソリンが1リットル当たり211円となり、5日も少し安くなったものの208円で販売されていました。

島では、もともと物資の輸送にコストがかさむため物価が割高になりがちですが、これまでにない価格の上昇に住民などからは困惑の声が聞かれました。

島に住む男性は「2000円で10リットルも入らなかったので驚きました。沖縄本島などより高く感じるので、もう少し安くなってほしいと思います」と話していました。

埼玉県熊谷市から旅行で訪れ、レンタカーで観光を楽しんだという女性は「200円台は初めて見ました。埼玉より30円から40円は高く、離島だからしかたないとは思いますが高いですね」と話していました。

ガソリンスタンドを経営する会社の玉盛雅治社長は「200円を超えるのは経験がない。沖縄本島や石垣島並みに値段を下げろと言われると、心が折れそうになる。離島の西表島では車の台数が限られ消費も増えないうえ、人件費も下げられず同じようにはできないのが現状だ。行政など含めて対応策がないのかと思う」と話していました。