岸田首相 広島開催のG7サミット5月19日から21日の日程

岸田総理大臣は、ドイツで開かれたG7サミットの閉幕に当たって記者会見し、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアに対しさらなる制裁措置を取ることで一致し、エネルギーや食料の価格高騰に連携して対応する決意を共有したと強調しました。また、広島で開催する来年のG7サミットを5月19日から21日の日程で行う考えを明らかにしました。

岸田総理大臣はドイツで開かれたG7サミット=主要7か国首脳会議に出席したあと、日本時間の6月28日夜10時ごろから現地で記者会見を行いました。

冒頭、岸田総理大臣は、ウクライナ情勢をめぐり「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜くため、またロシアの暴挙によってもたらされた世界的なエネルギーや食料の価格高騰に対応するため、議論に参加・貢献し、G7として結束した力強いメッセージを発信することができた」と述べました。

そのうえで、ロシアの軍事侵攻を1日も早く終わらせるため、G7として、ロシアに対しさらなる制裁措置を取るとともにウクライナを引き続き強力に支援していくことで一致したと説明しました。

さらに、エネルギーや食料をはじめとする世界的な物価高騰をめぐり、ロシアの軍事侵攻が原因だという認識で一致したとしたうえで「今回の物価高は単なる経済の問題ではなく、世界の平和秩序の枠組みに突きつけられた挑戦だ。各国が経済状況に応じた機動的な対策を取り、連携しながら困難を乗り越えていく決意を共有した」と述べました。

そして、G7としてロシアへの圧力を強めるため、ロシア産の石油価格に上限を設けることを検討するとしたうえで「ロシアの石油販売による収入を減らす一方で、高騰している国際石油市場の下押し圧力となる効果を持つ取り組みだ」と述べました。

一方、インド太平洋地域の情勢をめぐり沖縄県の尖閣諸島周辺で中国海警局の公船などによる領海侵入が続いていることなどに触れ「力による一方的な現状変更の試みは認められないという原則を改めて確認した。G7として台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すことで一致した」と述べました。

日中国交正常化50周年となることし、習近平国家主席と首脳会談を行うかどうかについて「現時点で決まっていることは何もないが、さまざまなレベルでの対話は重要だ。主張すべきは主張しつつ、具体的な会談についても考えていきたい」と述べました。

さらに、北朝鮮による核・ミサイル開発をめぐり、G7として、すべての大量破壊兵器や弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄の実現を追求していくことの重要性を確認したと説明しました。

そして、今回の成果を踏まえ、広島で開催する来年のG7サミットを、5月19日から21日の日程で行う考えを明らかにしました。

そのうえで「G7の首脳が広島の地から、核兵器の惨禍を二度と起こさない、武力侵略は断固として拒否するという力強いコミットメントを世界に示したい。普遍的価値と国際ルールに基づく新たな時代の秩序づくりをG7が主導していく意思を歴史の重みをもって示すサミットにしたい」と意欲を示しました。

これを受けて広島県と広島市は今後、G7サミットの担当部署を中心に開催に向けた準備を本格的に進めていく方針です。

松井広島市長「核兵器ない世界どんなに大事か実感を」

広島市の松井市長は、28日夜、NHKの取材に対し「梅雨前に多くの首脳に来てもらい、実りある会議にするには季節としていいタイミングではないか。核兵器のない世界がどんなに大事かを広島の地で開催する会議で実感してもらい、しっかりとわかってもらうための努力をしたい」と述べました。

湯崎 広島県知事 開催に向け万全尽くす

また湯崎知事は、28日の記者会見で「あらゆることが課題で、1年しか準備期間がないので、相当な勢いを持って、いろんなことを準備していかなければいけない」と述べ開催に向けて万全を尽くす考えを示しました。