クアッド首脳 軍事侵攻に
緊密連携し対応の方針確認
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組み、「クアッド」の首脳によるテレビ会議が3日夜開かれ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、緊密に連携して対応していく方針を確認しました。また、力による一方的な現状変更をインド太平洋地域で許してはならないという認識で一致しました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、岸田総理大臣をはじめ「クアッド」4か国の首脳は、3日夜11時すぎから1時間あまりテレビ会議を開きました。
この中で岸田総理大臣は「今回のロシアによる侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際社会の秩序の根幹を揺るがすもので、厳しく非難する」と述べました。
そのうえで、日本政府としてG7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携して迅速に厳しい措置を打ち出しているほか、ウクライナへの支援にも取り組んでいると説明しました。
会議では、今回の軍事侵攻に対し、ロシアとの伝統的な友好国であるインドも含めた4か国で緊密に連携して対応していく方針を確認しました。
そして、力による一方的な現状変更をインド太平洋地域で許してはならないという認識を共有し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みをいっそう推進していく方針で一致しました。
また、クアッドの首脳会合を数か月以内に東京で対面で行うことで一致し、成功に向けて連携していくことも確認しました。
会議では、成果文書となる「共同発表」もまとめられ、ウクライナ情勢に対処するとともに、インド太平洋地域で人道的危機などが起きた際に支援にあたるための情報共有システムを立ち上げることが明記されました。
林外相 インドネシア外相と会談 ウクライナ情勢で連携を確認
ウクライナへのロシアの軍事侵攻をめぐって林外務大臣は、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのルトノ外相と電話で会談し、国際秩序の根幹を揺るがすものだという認識で一致し、今後の対応で緊密に連携していくことを確認しました。
会談で両外相は、ロシアによる軍事侵攻を「侵略」という表現で強く非難するとともに、力による一方的な現状変更の試みは、国際秩序の根幹を揺るがすものだという認識で一致しました。
そして今後の対応で緊密に連携していくことを確認しました。
また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、インフラ開発や海上保安などでの具体的な協力の在り方をめぐって協議したほか、南シナ海や北朝鮮などの地域情勢に関する課題でも引き続き連携していくことを申し合わせました。
一方、会談では、ミャンマー情勢についても意見が交わされ、林大臣は事態打開に向けたASEAN=東南アジア諸国連合の取り組みを全力で後押しする考えを伝えました。
ウクライナに支援物資で調整 政府専用機で隣国のポーランドへ
ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナに対し、岸田総理大臣は、日本がウクライナの国民とともにあるという姿勢を強調し、国際機関と協力して1億ドルの緊急人道支援などを行うことにしています。
3日夜の記者会見で、岸田総理大臣は「資金的な支援ももちろん大事だが、物品などの支援も考えられるのではないか。お金に限らず、医薬品をはじめ、日本として可能な人道的支援のあり方を状況を見ながらしっかり考えていきたい」と述べました。
これを受けて、政府は、まずは自衛隊が保有する物資などをウクライナに送る方針で、非常用の食料や衛生用品、防寒着などを支援物資として送る方向で調整に入りました。
また、支援物資に防弾チョッキを加えられないか検討を進めています。
政府は、自衛隊が運航する政府専用機で隣国のポーランドに運ぶことを検討しており、近く、関係閣僚で協議して、決定することにしています。