脱炭素化 再生可能エネルギー
2倍に 国の基本計画決定

政府は国のエネルギー政策の方針「エネルギー基本計画」を3年ぶりに見直し、22日の閣議で決定しました。脱炭素化を進めるため、2030年度の再生可能エネルギーの割合を「36%から38%」とし、主力電源化を徹底させるとしています。

22日に閣議決定された新たなエネルギー基本計画では、2030年度の電源構成が盛り込まれています。

この中では、再生可能エネルギーの割合を「36%から38%」とし、現状の2倍の水準まで引き上げるとしています。

太陽光を中心に導入を拡大することで、再生可能エネルギーの主力電源化の徹底を目指します。

また、原子力については「20%から22%」として、これまでの計画の水準を据え置き、安全性をすべてに優先させて国民の懸念を解消したうえで再稼働を進めるとしています。

一方、二酸化炭素を排出する火力は、現状ではおよそ76%ありますが、計画では41%と大幅に減らすとしています。

政府は新しい計画に基づき、再生可能エネルギーと原子力という脱炭素電源で、およそ6割の電力を賄い、二酸化炭素排出の削減につなげるねらいです。

低レベル放射性廃棄物の海外委託も

新しいエネルギー基本計画では、原発の廃炉で発生する低レベルの放射性廃棄物の処理について、新たな取り組みが盛り込まれています。

低レベル放射性廃棄物は、原則国内で埋設処分などを行うことになっていますが、経済産業省によりますと、現時点で原発の蒸気発生器のような大型機器を処理する専用施設が国内にはなく、敷地内に保管したままとなると廃炉作業に影響する可能性があるということです。

一方、アメリカなどでは一部の放射性廃棄物を除染するなどして再利用するビジネスが確立されているということで、経済産業省は例外的に廃棄物を輸出できるよう規制の見直しを進めるとし、エネルギー基本計画にも明記されました。

輸出対象として想定しているのは蒸気発生器のほか、給水加熱器、核燃料の輸送や貯蔵に使う容器の、3種類の大型機器です。

規制の見直しでは、相手国の同意を前提に、事業者が廃棄物を資源として安全に再利用することなど一定の基準を設け、これらを満たす場合、例外的に輸出可能にするということです。

日本での廃炉をめぐっては、放射性廃棄物を国内で処分する場所の選定が難航しているほか、放射性物質をほとんど含まない廃棄物をリサイクルする「クリアランス」という取り組みも進んでおらず、課題が山積しています。