気「急速な悪化続く
極めて厳しい状況」

新型コロナウイルスによる経済への影響が深刻になる中、政府は今月の月例経済報告で、景気の現状について「急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」という判断を示しました。およそ11年ぶりに「悪化」の表現を用いた先月の判断と同じ厳しい景気認識となっています。

政府は28日の関係閣僚会議で、今月の月例経済報告をまとめました。

それによりますと、「輸出」は「感染症の影響により、急速に減少している」として、2か月連続で判断を下方修正しました。アメリカやヨーロッパ向けを中心に、自動車などの輸出が一段と落ち込んでいるためです。

「雇用情勢」は、3月の完全失業率が2.5%に悪化したうえ有効求人倍率が低下したことなどから、「弱さが増している」という判断を示し、3か月連続で下方修正しました。

一方、「個人消費」は、「急速な減少が続いている」という判断を示しました。

飲食店の休業などで外食が大幅に減少したほか、自動車の販売も大きく落ち込んでいるためです。

これらを踏まえて、景気の現状について「急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」という判断を示し、10年11か月ぶりに景気判断に「悪化」の表現を用いた先月の判断と同じ、厳しい景気認識となっています。

感染拡大 雇用に及ぼす影響に懸念

今月の月例経済報告では、「雇用情勢」についての判断が3か月連続で下方修正され、新型コロナウイルスの感染拡大が雇用に及ぼす影響に懸念が高まっています。

3月の全国の完全失業率は2.5%と、前の月と比べて0.1ポイント悪化し、有効求人倍率は1.39倍と3年半ぶりに1.4倍を下回りました。

28日の関係閣僚会議では、1日ごとの企業からの求人数が、5月は前の年より26%減少し、月を追うごとに落ち込み幅が拡大していることが示されました。

一方で、休業している人は、3月の時点で200万人程度に達し、2月の186万人程度から増加していることも示されました。

4月の失業率が一気に14%台まで悪化したアメリカと比べると、日本の企業の間では、今のところ従業員を休業させることで、解雇を避けようという動きが出ていることもうかがえます。

しかし、雇用関係の指標は、景気の動きを反映するのに一定の時間がかかると言われています。

このため、新型コロナウイルスの影響で景気悪化が長期化した場合には、雇用情勢が一段と悪化することも懸念されます。

西村経済再生相「過去に例を見ない厳しい状況」

今月の月例経済報告について西村経済再生担当大臣は、関係閣僚会議のあとの記者会見で、「景気は過去に例を見ない、厳しい状況が続いている。海外も欧米向けの輸出が落ち込んでいて、全体として日本を取り巻く状況は厳しく、下向きの景気判断を維持している」と述べました。

そのうえで西村大臣は景気の先行きについて、「極めて厳しい状況が続くという見方は変えていないが、厳しい状況をできるだけ短くしたいと思っている。感染防止策をしっかりやりながら経済活動を段階的に引き上げ、経済の回復につなげていきたい」と述べました。