ードバンク 新型コロナ
影響で活動に支障も

企業や個人から寄付された食料品などを無償で提供する「フードバンク」。ひとり親など生活が困窮する家庭にとっては大きな支援となっています。ところが、新型コロナウイルスの影響で活動が難しくなっている団体が出始めています。いったい、何が起きているのでしょうか。

申請急増で人手と資金が足りない

話を聞かせてもらったのは、千葉県内で活動する「フードバンクちば」の担当者です。

ここでは新型コロナウイルスの感染拡大でひとり親家庭などから申請が急増しています。申請の理由は「仕事を休職となり収入が減った」「学校が休校となり、食費が増加して家計が厳しくなった」「食べるものがない」などという切実なものばかりだといいます。

団体ではなんとか対応しようとしていますが難しさも出ています。ここではふだんは地域のボランティアに来てもらい、食料品の仕分けや詰め込み作業などを手伝ってもらっています。ところが緊急事態宣言が出された今月7日以降は感染拡大を防ぐためにボランティアにも自粛してもらわざるをえなくなり、作業が追いつかなくなっているといいます。

さらに、申請者が増えたことで資金面でも課題がでてきています。この団体では、利用者に食料品を届けるのに宅配便を使っていますが、その配送料には寄せられた寄付金を充てています。新規の申請が増える一方で寄付金は増えておらず、今後、さらに申請が増えれば人手も寄付金も足りなくなるといいます。

「フードバンクちば」の高橋晶子さんは「新型コロナウイルスの影響で地域での必要性が高くなっています。ただ今後、人手と資金不足で要望に応えきれなくなる可能性があります。本当に困っています」と話していました。

食品調達の課題“キャパオーバー”も

提供する食料品などを確保するのが難しくなっている団体も出始めています。

栃木県内で活動する「フードバンクうつのみや」でも新型コロナウイルスの影響で新たな申請者が増えています。ところが、提供するための食料品などの確保が難しくなっているといいます。

この団体では、これまで地域のイベントにブースを出店し、提供する食料品などの寄付を募っていますが、新型コロナウイルスの影響でイベントの中止が相次ぎ、それらの確保が難しくなっています。

先月末には食料品が底をつきかけたことまであったといいます。地元の人たちの呼びかけなどで今は、なんとか食料品を確保できていますが今後も増え続けるニーズにどこまで対応できるのか、不安を抱えているといます。

「フードバンクうつのみや」の徳山篤理事長は「さらに申請が増えれば活動も正念場になる。私たちのような小さなフードバンクはどうしてもキャパオーバーになってしまう」と話していました。

全国でニーズ増加でも支援団体は疲弊

全国の38の支援団体で作る「全国フードバンク推進協議会」によると、新型コロナウイルス影響で、こういう状況に陥っている「フードバンク」の運営団体は少なくないといいます。

米山広明事務局長は次のように話しています。「新型コロナウイルスの影響で全国の支援団体には、『毎日の食事にも困る』といった相談や新規の申請が続々と寄せられています。しかし、人手や資金面、食料品の確保が難しくなり、気持ちだけで頑張っている団体も少なくありません。国や自治体などに支援を求めていきたいです」