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Q11 相続トラブルで手詰まりになった空き家、どうにかしたい!

クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「親族との相続トラブル」についてのお悩み。NPO法人 空家・空地管理センターの専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)

相談内容

土地の名義は自分なのですが建物が亡くなった祖父の名義のままで、叔父・叔母が相続放棄してくれないため空き家になってしまっています。連絡が取れないため手放すこともできません。弁護士に相談もしましたが、「そんなお金にならないことは誰も受けない」と言われてどうにもなりません。法律改正でどうにか処分できるようにしていただきたいと思っております。

(匿名希望)

回答

“ 諦めずに弁護士を探すところから始めましょう。受けてくれる人はいるはずです ”

解説

(NPO法人 空家・空地管理センター 上田真一)

ご相談内容を読んだ限りでは、祖父が亡くなってあなたの親が相続をした際になんらかの理由で建物の相続登記ができておらず、登記名義人が祖父のままとなっており叔父・叔母が権利を主張されているということだと思われます。そうであれば、対応にはいくつかのパターンが考えられます。

まず、土地の相続登記をした際に使用した遺産分割協議書は手元にあるでしょうか。その中に建物もご相談者さまの親に相続させる旨が書かれていれば、その遺産分割協議書をもとにご相談者さまへの建物の相続登記が可能です。

遺産分割協議書がない場合、または遺産分割協議書の内容が建物を親御さんに相続するものではない場合、建物は相談者さまと叔父・叔母との共有となります。相談された弁護士はきちんと対応してくれなかったようですが、諦めずに別の弁護士などに相談し、叔父・叔母を探して遺産分割協議を行いましょう。弁護士の先生は報酬を受け取って業務を遂行してくれるので、高い・安いはありますが、受けてくれる弁護士が見つからないということはないと思います。

土地はあなた名義、建物は祖父名義という状況から、おそらく使用貸借(家賃負担なく土地を借りること)だと想定されます。期間の定めがない使用貸借では、使用目的が終了したときに土地を返さなくてはならないとされています。もし、叔父・叔母が見つからない、または見つかっても相続放棄や土地の返還に応じてくれない場合、今回は共有者である叔父・叔母も含めて建物を使用していないことから、土地の使用目的は終了していると主張することができます。協議がまとまらなければ、裁判所に土地返還の申立てをすることも検討してみてください。

最後に、叔父・叔母ともに探してもどうしても見つからない場合、建物を壊してしまう方法もあります。ただ、建物の解体をあなた一人で決断することは民法709条の不法行為による損害賠償にあたり違法です。長らく一切連絡がつかなかったのに、解体後になって「なぜ壊したのか」と損害賠償請求される可能性は当然あります。当センターに寄せられた相談の中でも、共有者と連絡が付かないため、損害賠償請求を覚悟のうえでやむを得ずに荒廃した空き家を解体したケースがありました。

法改正を期待したい気持ちはとても理解できます。日本では個人の持つ所有権・財産権が強く、こうした空き家問題を解決するには民法や憲法から見直すような大きな話になるため、簡単ではないのです。

いずれにせよ、まずは、親身になって相談に乗ってくれる弁護士を探してみてはいかがでしょうか。多くの自治体では、無料の法律相談窓口を設けていています。空き家のある地域に限らず、いまお住まいの市区町村で相談してみてください。

上田真一(NPO法人 空家・空地管理センター代表理事)
2013年 NPO法人設立。全国で空き家などの適正管理や利活用に取り組む。
東村山市空家等対策協議会副会長など、複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員も務める。
『あなたの空き家問題(日本経済新聞出版社)』著者。

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