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ツツジが見頃! 大洲の冨士山(とみすやま)

えひめふる里山歩き(10)
  • 2024年04月24日

愛媛県内の身近な里山の魅力を紹介するシリーズ「えひめふる里山歩き」。10回目は、ツツジで有名な大洲市の『冨士山』です。歴史ある街並みと、咲き始めたツツジの様子を見てきました。

(NHK松山放送局 松田利仁亜 アナウンサー/岡部 馨 カメラマン)

特集の内容はNHKプラスで配信中の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。

画像をクリックすると見逃し配信が見られます!見逃し配信は4/29(月) 午後6:59 まで

大洲市・冨士山

こちら「ふじさん」ではありません、「とみすやま」と読みます。
大洲市中心部のすぐ東側に位置する、標高320メートルの里山です。山頂部の「冨士山公園」はツツジの名所として知られ、例年4月下旬から5月にかけて、およそ6万3000本のツツジが咲き、たくさんの人でにぎわいます。

今回のルートです。大洲市の中心部を起点に登山を開始。肱川を渡り、川の流れを右手に見ながら進みます。山のふもとにある寺の参道から山頂を目指します。

冨士山を愛する ディエゴさん

案内してくれるのは、スペイン人のディエゴ・コサ・フェルナンデスさんです。
ディエゴさんは「日本の建築」を研究するために来日しました。歴史ある建物が残る大洲の町並みを気に入り、6年前から街づくりにも携わっています。

ディエゴ・コサ・フェルナンデスさん

ディエゴさん
冨士山はそんなに高くはないですが、大洲の街に対してとても大事な役割や殿様との強い関係がある山ですので、その魅力をできるかぎり伝えたいと思います。

“伊予の小京都” 大洲の町並み

登山を始める前にディエゴさんお気に入りの場所を案内してもらいました。城下町として発展してきた大洲は、江戸時代からの建物が数多く残っていて、「伊予の小京都」とも呼ばれています。

街の中を歩いていると、あることに気がつきました。
古い建物のいくつかに、同じデザインの、のれんが下がっているのです。

のれんに「ホテル」って書いてありますね。でもホテルっぽくない。これ蔵じゃないですか。

実はこれ、それぞれの建物がホテルの部屋なんです。

じゃあ、この古い家とか蔵に泊まることができて、それがこの大洲の街にいっぱいあるということですか。いいですねー。

江戸時代に建てられたという、こちらの蔵もホテルの1室になっています。古い蔵ならではの重い引き戸を開けてみると、おしゃれな空間が広がっていました。

ディエゴさんが所属する団体では、大洲に残る古い建物を維持していくために、建物を借りたり、買いとったりして、観光客向けのホテルとして活用しています。年間およそ6000人が宿泊するということで、町並みの保存に一役買っているんです。

肱川の流れと “逆さ冨士”

肱川橋

街の中心部から肱川(ひじかわ)を渡ります。
橋の上からは、みなもに映る冨士山。“逆さ冨士”を見ることができました。そして、山頂部をよく見ると、わずかにピンクに色づいていました。ツツジの咲き具合にも期待が高まります。

逆さ冨士

大洲の名建築「臥龍山荘」

臥龍山荘・不老庵

冨士山のふもとには歴史ある建物が数多く残っています。
肱川沿いに建てられた明治時代の建物で、国の重要文化財の「臥龍山荘」もその一つです。「水と建築」をテーマに研究をしているディエゴさんにとって、ここは大洲に移住するきっかけになった場所なんだとか。

この風景が大好きです。建物と川と周りの山の組み合わせが素晴らしい。でも、あんまり知られていなくて「宝物を見つけた」という感じがしました。

如法寺参道から 冨士山へ

「肱川」や「臥龍山荘」を右手に、舗装された道をしばらく進みます。すると道標を見つけました。「如法寺参道」とあります。

ここから本格的な登山が始まるよ。

如法寺の参道

杉の並木と苔むした石に時間の積み重ねを感じながら歩いて行くと、お堂が見えてきました。
「如法寺」は大洲藩の2代藩主・加藤泰興が再興したもので、この仏殿も国の重要文化財に指定されています。ここもディエゴさんおすすめの建物なんだそうです。

如法寺・仏殿

ツツジの咲き具合は

境内からさらに先へ進むと急な階段が待ち受けます。

あー階段か・・・。
けっこう段差ありますね。

しかたがないね、てっぺんまでは。

150メートルほど続く、長ーい階段を登りきると、山頂部の「冨士山公園」に到着です。園内では、色とりどりのツツジの花が咲き始めていました。今にも咲きそうなつぼみもあって、今後がさらに楽しみです。

そして展望台からは、大洲の町並みを一望することができました。肱川の流れと歴史ある建物が織りなす大洲の町を見下ろしていると、ディエゴさんが冨士山を愛する気持ちが分かった気がしました。

山頂からみた大洲の町並み
ディエゴ・コサ・フェルナンデスさん

ディエゴさん
「冨士山は本当に街の中心部とすぐにある山。すぐにある自然です。だから街の一部ですけれども、山に入ると街と離れている世界に入ることができます。冨士山はとても大事。街に対してもとても大事なところではないかと思います」

最後に1句詠んでみた

恒例の「里山ハイク」です。今回も1句詠んでみました。

てきちょくとすいのかいちょう やまたぎる
「躑躅と翠の階調 山滾る」

躑躅(てきちょく)とはツツジ、翠の階調(すいのかいちょう)は緑のグラデーションのこと。ツツジが咲き始め、あざやかな新緑の色合いで、山が沸き立つように感じた様子を詠んでみました。
 

冨士山について

 所在地:愛媛県大洲市
標高 :320m
(備考)
町の中心部から山頂までは、歩いて1時間半ほどで登ることができます。山頂近くの展望台まで、車で上がることもできます。
撮影に訪れたのは4月17日。すでにツツジは咲き始めていましたが、大洲市観光協会によると、この日はまだ1分咲きだったということです。見ごろは4月末だということですので、この大型連休に訪れてみるのもいいかもしれません。

特集の内容はNHKプラス配信後、下記の動画でご覧いただけます。


「えひめふる里山歩き」のコーナーでは、皆さんおすすめの里山の情報を募集しています。その理由と画像もあれば、こちらのリンクからお送りください。

  • 松田利仁亜

    松田利仁亜

    2002年入局。2014-2017年以来2度目の松山局勤務。公私共にさらに愛媛の良いところを探し求めています。 

  • 岡部馨

    岡部馨

    NHK山岳取材班のカメラマン。「えひめふる里山歩き」のコーナーを担当。

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