愛媛県宇和島市 夏にもピッタリ!生甘酒
- 2023年08月30日
甘酒というと、温まる飲み物として冬のイメージがあるかもしれません。
実は甘酒は、俳句では「夏」の季語で、昔から夏にもよく飲まれていたそうなんです。
今回ご紹介するのは「生」甘酒。
加熱処理せず、甘酒に比べて酵素などの成分が残っているという特徴があります。
生甘酒を作っている宇和島市を訪ねました。
(NHK松山放送局 國武唯奈)
生甘酒を作っている宇和島市岩松地区へ
まず訪ねたのは、明治時代の建物が残っている、宇和島市岩松地区。
古き良き町並みが続くこの場所で、生甘酒を作り始めて6年目になる兵頭肇さんに出会いました。
シンプルな作り方にある「こだわり」とは?
兵頭さんに作り方を見せてもらいました。
まず、地元産のお米をおかゆの状態に炊いた後、こうじを入れます。
後は、8時間ほどかけて発酵させたら完成。
ふたを開けると甘い香りが広がりました。
一見簡単そうな生甘酒づくりですが、兵頭さんがこだわっているポイントが2つあります。
1つ目は、自家製のこうじと市販の乾燥こうじを「ブレンド」して炊飯器に入れること。
混ぜる量を試行錯誤する中で、こうじの香りが強すぎず雑味の少ない生甘酒ができる配合を見つけたそうです。
もう1つは、「加熱処理」をしないこと。
甘酒は、酵母菌の活動を止めるために加熱処理を行います。
加熱処理をしない生甘酒は、日持ちがしないというデメリットがありますが、兵頭さんはその味に惹かれ、生甘酒づくりを始めました。
加熱処理をしないことで、酵素などの成分をそのまま体に取り入れることができるそうです。
生甘酒を口に含むと、程よい甘さが広がりコクを感じました。さっぱりとして飲みやすく、お米の粒々も感じられました。
生甘酒でまちおこしを
まちおこしの一環として、どぶろくや生甘酒を作っている兵頭さんに、 今後の思いを聞きました。
「甘酒やどぶろくを求めて、多くの人に岩松地区に来ていただくというまちおこしを目標に始めました。今ではその目標も達成できたので、このままできる限り作り続けていきたいと思っています」
暑さを吹き飛ばすドリンクとは!?
次に訪ねたのは、宇和島市内にあるテイクアウト専門店です。
兵頭さんが作っている生甘酒を使った、あるドリンクを飲むことができるというのです。
それが、こちら!「生甘酒スムージー」です。
地元産の果物や野菜と、生甘酒をミックスさせたスムージー。
私はブルーベリー味をいただきましたが、ブルーベリーと生甘酒の甘さがしっかり伝わり、夏の暑さで疲れ切っていた体に、パワーが戻ってくるようでした。
生甘酒スムージーを飲んだお客さんは・・・
「夏にピッタリ。さわやかな感じがします」
「甘酒の粒感が残っていて、おいしいです」
5年前の西日本豪雨をきっかけに
オーナーの中村桂子さん。
5年前の西日本豪雨の際、被災地にペットの支援物資がないことを知り、中村さんは支援物資を届けてもらうよう、SNSで呼びかけました。
その支援物資を運んでいる中で「甘酒」との出会いがあったといいます。
「被災地のワンちゃんにご飯をあげにいったら、被災した方が『この甘酒を飲んで頑張って!』って言われたのがきっかけです。炎天下の作業で、自分でも何をやっているのかわからないくらいの暑さ。そんな中でも、持ちこたえられたのは甘酒のおかげなんじゃないかなって思います。あれから5年、ずっと飲み続けているんです」
今後の思いとは
年齢問わず、リピーターで購入している方も多い生甘酒スムージー。
中村さんは生甘酒の良さを今後も多くの人に伝えたいと思っています。
「栄養があるし、飲む点滴っていうのは嘘じゃないのかなと思います。ちょっと疲れたなってときとかに立ち寄って、いっぱい飲んでもらって、みなさんが健康になってもらえれば」
感想
兵頭さんと中村さんのお二人に共通していたのは、生甘酒の良さをもっと知ってもらいたいという気持ちの強さ。兵頭さんがまちおこしの一環として作り始めた生甘酒は、今では地域の人たちにとって大切な存在になっています。また、ロケに伺った日はかなり蒸し暑く体力も消耗していたので、中村さんのお店の生甘酒スムージーには、パワーをもらったような気持ちでした。
甘さ控えめで飲みやすい生甘酒、私もふだんの生活から取り入れてみたいと思います。