宇和島市三間町 今が旬 早掘りたけのこを求めて
- 2023年04月26日
春の味覚の1つ「たけのこ」。漢字では、竹に旬と書いて「筍」。
一旬(いちじゅん)=10日で、竹になるほど成長が早いのがその由来とされているんです。旬を迎え、まさに伸び盛りのたけのこ、県内有数の産地を訪ねました。
(NHK松山放送局 國武唯奈)
出荷ピークを迎える たけのこ
まず初めに訪れたのは、宇和島市三間町にあるJAえひめ南のたけのこの出荷場。この時期、ほぼ毎日、たけのこの出荷が行われています。
1日100本以上持ってくる農家さんも!
取れたてのたけのこを車に積んだ農家さんが次々とやってきます。多い人は、1日100本以上も持ってくるそうです。また、重さは、なんと5キロ近くになるものも。出荷場で分けられたたけのこは、松山の市場を通して主に県内に出荷されています。
インタビューしてみると、ほとんどの方がご年配の方でした。
退職後の楽しみとして健康のためにしている方や高等学校を卒業されてから60年以上たけのこ農家をしている方も。皆さんのお話を聞きながら、私も元気をいただきました。
“早掘りたけのこ”を探しに!
たけのこ農家・岡本裕之さんを訪ねました。たけのこが生えるのは、自宅の裏山。重さ2キロほどある「くわ」をもって、急斜面を登り・・・無事に到着。
皆さんは、たけのこというと、土から芽が出ているものをイメージしませんか?
実は、岡本さんは、たけのこが土から出ていない状態で掘るんです。
その名も、「早掘りたけのこ」。
直接日光に当たらないため、柔らかく、えぐみが少ない味なんだそうです。
私もたけのこ掘りに初挑戦!!
岡本さんに、たけのこを掘るポイントを3つ教えていただきました。
・土が微妙に盛り上がっているところを見つける
・たけのこがどのように埋まっているかを考える
・たけのこを傷つけないように掘る
実際に掘ってみると、根が重なりあって張っているため、1本掘り終えるのに15分かかりました。岡本さんは2、3分で掘るそうです。その速さに圧倒されました。
取れたてでしか味わえないとっておきの食べ方があるんです!
それは・・・そのまま生で食べること。
甘くてみずみずしくシャキシャキとした食感を味わえました。
おいしいたけのこを育てるためにしていること
それは「竹林の環境整備」です。
岡本さんが宇和島に帰って来たのは、10年前。
それまで荒れていた竹林をこまめに間伐し、日当たりや風通しを確保しました。
また、切った竹を細かく砕き肥料としても土に還元しています。
岡本さん
「早くから掘るたけのこのために日をよく当てられるようにして、たけのこの生育状態がいいように作っていますね。たけのこもとることもできるし、地域全体がすっきりして気持ちよくなるし、そういうのがいいんじゃないかなって思います」
たけのこレシピを紹介!
ここからは、たけのこを使ったアレンジレシピをご紹介します。
岡本さんの妻・慶子さんに作っていただきました。
たけのこの刺身
ゆがいたたけのこにわさび醤油を付けていただきました。たけのこ本来の味を楽しみつつ、わさび醤油がピリッと効いていてお酒のおつまみにも合いそうです。
たけのこの土佐煮
砂糖・みりん・おだしなどを入れて煮込んだら完成。
少し濃いめの味付けにしたことで出汁もしっかりたけのこに沁み込んでいて、煮てもシャキシャキ感がしっかりと感じられました。
たけのことアスパラガスの和風パスタ
味付けはしょうゆと塩でシンプル。ハムやしめじなどを入れると旨味が増してさらに美味しくいただけます。
たけのこと手羽のこっくり煮
手羽とたけのこを炒めたら、おだし・しょうゆ・みりんなどの調味料を加えてぐつぐつ煮込んだら完成。たけのこの水分が多いからこそ甘さも程よく、食べ応えがありました。
今後の思いとは
色々なたけのこ料理を作って、毎日楽しんでいる岡本さんご夫婦。
最後に、今後の思いについて聞きました。
岡本さん
「古くから三間町ってたけのこの産地として有名だったみたいで、僕らの先輩方もたけのこの品質を落とさないように頑張ってこられた。我々もそれを引き継いでやっていきたいですね」
感想
取材中の数時間で芽が出てくるたけのこもあるほど、たけのこは成長が早く、鮮度が命。たけのこ農家の皆さんは朝早く起きて、多くのたけのこを掘っていると思うと頭が下がります。たけのこを掘ることはもちろん、竹林整備も決して簡単ではないですが、岡本さんのたけのこに対する愛が感じられました。4月いっぱいは、たけのこを楽しめるということで、私も自宅でたけのこ料理を楽しみたいと思います。